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第一章 002 日常編 ①

 昼休みの開始を告げる(チャイム)が鳴った。


 生徒たちは四限目終了の一礼を済まし、昼食をとるため各所へと散る。


 無論、高校一年生である僕も例外ではなく、教室の一番後ろにある窓辺の席で風呂敷を開く。


 前の席には、美しい黒髪を背中まで伸ばした、学校一の美女と謳われる白咲彩華が座っている。


「あら、(じん)くん。今日も一人なの」

「お前には関係ない」


 白咲は規則正しく整えられた髪をなびかせながら僕の顔を覗き込んでくる。


「なら、ご一緒してもいいかしら」

「早期撤退をオススメする」


 僕は急いで机いっぱいにお弁当包みを広げた。


「ご覧の通り、僕の机は使えない」


 白咲は雪のように白い首を曲げ、僕の机上に視線を落とした。


「風呂敷の上に置かせてもらうわね」

「断固拒否」

「こんな美少女がお願いしているのだから、少しは融通きかせなさい」


 僕は白咲の戯言を聞き流し、白咲を横目に、白いご飯を頬張った。


「自分で自分を美少女と言うようなやつに譲る敷地はない」

「ならいいわ。自分の席で食べるもの」


 そう言うと、白咲は座っていた席からスッと立ち上がり、自分の机を一八〇度回転させ、さも当然のように、僕の向かい側に腰を下ろす。


「白咲よ。何故僕の机にくっつける」

「学校一の美少女が、あなたの寂しい昼食を彩ってあげるわ」

「いつもながらに、自分勝手ここに極まりですね。白咲さん」

「その引きつった笑顔も素敵よ。人くん」


 白咲は上機嫌にお弁当箱の蓋をあける。

 僕の話など聞いちゃいない。


 僕も白咲を机から追い払うのを諦め、食事に専念することにした。


 今日の昼食も荒れてしまう。


 僕は正面で鼻歌交じりにお重をバラす和やかな白咲を見て、思わずため息をついた。


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