表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

1分で解ける推理クイズ

1分で解ける推理クイズ:女子生徒の悲鳴

作者: ACT

 8月14日の午後12時36分、都内にある名門校──囚人女子学園高等学校で事件は起きた。校舎一階にある学生食堂で昼食を済ませた貞子は、校舎三階にある教室に戻るため、階段を上がっていた。


 その途中──二階の廊下の方から女性の悲鳴が訊こえたらしい。驚いた貞子は急いで声のした方に向かうと、頭部を血で染めた女子生徒が音楽室の床に倒れていたという。


 貞子はその女子生徒に駆け寄ると、その場で声を上げて助けを求めた。だが、周囲には誰もいなかったのか人がくる気配はない。教室にいる担任に助けを求めるため音楽室を飛び出そうとしたところに担任が駆けつけてきたという。


──貞子の担任は、若手の刑事と年配の刑事の二人組にそのように事件を説明した。


「……なるほど」年配の刑事はそういうと、グラスに入った麦茶を氷ごと口に含んだ。


「あの、よろしければ麦茶のお代わり入れましょうか?」貞子の担任はハンカチで額の汗を拭うと、ソファから腰を上げた。


「いえいえ、結構です……お構いなく。それよりも、今日は一日中こんな感じで?」年配の刑事は天井を仰いでから、窓の外に広がる青空に目を向けた。


「はい、今日中には業者がくるそうなのですが……あ、ちょうどその業者から電話がきました。少し席を外しさせていだだきます……」そういうと、貞子の担任は来賓室から出ていった。


「第一発見者の貞子さん……怪しいですね」ワイシャツの第一ボタンを外すと、若手の刑事が言った。


「……そうか?」


「現場がどこだったのか……そこから考えれば矛盾は明らかです」


「……なんとなく、お前の言いたいことはわかるが、疑うには早いんじゃないかな」


「そうでしょうか」若手の刑事がそう言うと、年配の刑事の携帯電話が呼び出し音を鳴らし始めた。年配の刑事は電話に出た。病院に搬送された女子生徒が一命を取り留めたらしい。「よかった……」と呟くと、携帯電話の通話を終了した。


「じゃ、現場を見てみるか……」



問題:

 Q1:若手の刑事が主張する矛盾とはなんでしょうか?


 Q2:年配の刑事がその主張を疑う理由とはなんでしょうか?





















Q1の解答(若手の刑事の主張):

 女子生徒は音楽室で倒れていた。音楽室には防音設備があり、二階の階段を上がっていた貞子が聞こえたのは不自然である。



Q2の解答(年配の刑事の主張):

 事件が発生した日時は8月14日の午後12時36分、青い空が広がる真夏の昼時だった。外は炎天下だろう。来賓室に通された刑事たちと担任の様子から、部屋の中の暑さと、来賓室の冷房が故障しているのがわかる。


 そこで年配の刑事は想像を働かせた。空調の故障は校舎全体に及んでるのでは? もし他に冷房が効いた部屋があればそちらに刑事たちを案内しているのではないだろうか。担任の対応から刑事たちを無下に扱っている様子はなさそうだったからだ。


 真夏の密室は暑い。空調の壊れた音楽室に人がいたのなら、窓や扉を開放して風通しを良くしたのではないだろうか。演奏のため、開放し続けることはできなくても、昼時くらいは空気を入れ替えただろう。


 そうであれば防音設備のある音楽室の中からの悲鳴を、階段にいた貞子は聞くことができたかもしれない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ