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セシャトのWeb小説文庫2018  作者: セシャト
第十章 『探偵と助手の日常』著・ 藤島紫
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殺害成功の確率とは? かなめの正体

そろそろハロウィンですねぇ! 皆さんは仮装をされますか? ハロウィンは日本のお祭りと同じで死者が紛れるらしいです。お面をかぶっている人、仮想をしている人。果たして本当に生きている人なんでしょうか? ふふふのふ^^

「セシャトちゃん、ユーカリの葉っぱってこの作品にも書かれているようにコアラさんが食べるけど、人はお腹壊しちゃうから食べれないじゃない」



 量によってはユーカリの葉は致死量になりうる。実際にユーカリは防腐剤や防虫剤に使われるくらいには毒であり、中毒例も時折聞くが、反面漢方に使われていたりもする。

 そんな事をセシャトは知らない。

 そんなセシャトにかなめは「ふふふのふ」とセシャトの口癖のように笑う。



「このお店の化粧室の石鹸もユーカリ油が使われてるわよ」

「えっ? そうなんですか? それって口に入ったら危なくないですか?」



 そりゃ石鹸を全部食べたら、それがユーカリ成分が入ってなかろうが健康を害すかもしれない。そして一口入って死んでしまうような物を国が認可するハズもない。



「本当にセシャトちゃんは可愛いわね。むかーし、私のような女の子に子供がいたのよ。その子が小さい頃、タバコを食べちゃったの」



 タバコの誤飲の危険性は一本・二本で、大人でも致死量。恐らく日本で一番簡単に手に入る猛毒はタバコに含まれるニコチンだろう。事実、タバコから煮出した珈琲を飲ませて殺害した保険金殺人が存在する。珈琲の味でニコチンの独特の匂いをカムフラージュしているわけだ。

 セシャトはタバコの危険性はWeb小説である程度理解があった。それ故にその子供が心配になる。



「ええっ! 大丈夫なんですか?」

「耳鼻科に連れて行って吐かせて、胃の洗浄をして、その私に似ている女の子は物凄く病院の先生に怒られたらしいわね。でも子供は大丈夫だった。その時はね」



 その時は。

 という事はの先を聞いてはいけないとセシャトは思った。今かなめが読んでいるところは謎解きの部分。成程、確かにまどろっこいい事をせずとも手っ取り早い毒は日本といえどもそこら中にアルカロイド系の毒であふれている。

 かなめは清明の謎解きを楽しみながら、セシャトに何か飲み物と砂糖の瓶を所望した。セシャトは喉が渇いたのかと母屋へ入り珈琲と砂糖の瓶を持ってかなめのいるお店の売り場へと再び戻る。



「じゃあ、セシャトちゃん遊びましょうか?」



 またしてもかなめは突飛した事を言う。落ち着きがないのか、自分の欲望に忠実なのか? かなめは何処から出したのやら食塩を取り出した。

 そしてそれをセシャトが持ってきた砂糖の入った瓶にどばーっと入れた。



「えっ! なんですか?」



 はっきり言ってテロみたいなかなめの行為にセシャトは理解が追い付かない。さぁ彼女は何をしだすのかと思いきや砂糖の瓶にずぼりとスプーン刺して一杯、二杯、三杯と砂糖を珈琲に放り込んだ。

 そして当然のように混ぜる。神聖な儀式でも見るようにその光景をみているとかなめはカップを口元に運び一口飲む。

 甘いのか? しょっぱいのか? それとも甘じょっぱいのか? 未知の味がする珈琲を見つめているとかなめはセシャトにカップを渡す。



「セシャトちゃん、飲んでごらんなさい」

「でも……」



 かなめは面白そうに笑う。



「どんな味がするのかは飲んでみないと分からないわ。さぁ!」



 しかたがなくセシャトは珈琲に口をつけた。珈琲という、もしかしたら普通の人が生涯をかけて飲む量を飲んだかもしれない嗜好品。

 今やそれが未知の味と頭が認識していた。ゲシュタルト崩壊を起こしそうになりながらもテイスティング。



「あら、甘いですねぇ!」



 しょっぱさは感じない。塩は入っていないのかもしれない。そんな様子にかなめは面白そうな顔をしていた。



「セシャトちゃんは砂糖しか入っていない世界を選んだのね。スプーンですくうと重みで一番下の砂糖しか残りにくいというお話聞いた事ないかしら?」



 ある!

 セシャトは青酸カリを使ったトリックでそれを見た。毒を確実に飲ませる方法として自分の飲み物に今のトリックを使って飲んで見せてから殺害したい人物にスプーンを渡し殺害に持って行く方法だが……一つ突っ込みたい事がある。

 本当に青酸カリの入った砂糖瓶の中にスプーンを突っ込んで、そこからすくった砂糖を入れた珈琲が飲めるのか? という疑問。

 そんなトリックをかなめはやってくれたわけだ。理由は分からない。



「セシャトちゃんの可能性はほぼ砂糖のみの入ったコーヒーになるのよ。それより確率が低くなる物で両方混ざってしまうパターンね! カラメル味でおいしいかもしれない。そして最も確率が低いのが全て塩の珈琲ね。私は好きなんだけど、セシャトちゃんは抵抗があるみたいね?」



 頭を掻いて笑うセシャト。塩入珈琲はどうも苦手だった。セシャトが選んだ未来は実に無難な未来だったのだろう。100人いれば8割9割はセシャトと同じ珈琲を飲める。



「その確率をもし自分でいじる事が出来たとしたらセシャトちゃんはどう思うかしら? シュレディンガーも真っ青の質問だけれど」



 理論の否定に使われるシュレディンガーの猫。もしあの猫を生かすも殺すも選択できるとしたらそれはもう人の領域のお話ではない。



「ふむ、成程。それがかなめさんという事でしょうか? かなめさんが私が作った生チョコレートをお食べにならなかったのもそういう事なんですか?」



 可能性、確率を上げる為……生チョコレートに関してはかなめは『探偵と助手の日常 著・藤島紫』を真似て食べなかったのかもしれない。



「セシャトちゃん、私は年を取る事ができないのよ。そう、普通の人が普通に年を取るという可能性が私には突如起きなくなったの」



 これはまた特殊な事を語るお客様だなとセシャトは考える。このかなめは神様の知人でもあったなと思い出した。

 であるならば、本当にそういう人なのかもしれない。そこでセシャトはふりだしに戻る事にした。



「成程、かなめさんはハイランダー症候群の方なんですね」



 ハイランダー症候群とは年を取らない病気……と言われているがその存在や信用おける例が存在しない。

 似たような症状の病気は実在しているが、それはしっかり年を取る。

 セシャトがあえてかなめにハイランダー症候群の名前を出したのかは、彼女が何をしにここにやってきたのか薄々と気づいてしまったからである。

 セシャトの心を読んだのか、かなめは『探偵と助手の日常 著・藤島紫』を読みながら大げさにセシャトに話しかける。



「セシャトちゃんセシャトちゃん! 手首を切る自殺ってあるじゃない? あれって実は殆ど死ねないのよ! 成功率も数パーセント程度なの、なんでか分かるかしら?」



 リストカットで死ねない理由は、ドラマやアニメ、漫画等のリストカット方法が根付いている為、実際の方法を知らないからである。自殺を誘発するような事は書けないが、よくあるリストカットは生存率を上げる。

 そして一番は本人が死ぬ気がないから、ストレス発散に行っているケースがある。血を抜くという方法は昔、精神病の治療でも行われてきた。そういう意味では精神衛生にはある程度の意味はあるのかもしれない。


 しかし、タバコや酒、各種麻薬のように悪い依存をしやすいという事に繋がっていたりするのだろう。

 セシャトはこの死に場所を探してやってきたであろう自称年を取らない女性をなんと言ってやればいいか分からない。

 そうしているとかなめは語りだす。



「ロケットクシー。それが私が乗ったスペースシャトル。今程GPSがしっかりしていなかったからスパイ衛星も日本が月に向けてロケットを飛ばしてもアメリカや他の国々は気づかなかった」



 セシャトは宇宙飛行士というのは事実だったんですねぇと言いたかったが、それを言えるような空気感ではない。であれば別の質問を投げかけてみる。



「月には行けたんでしょうか?」



 今ここにかなめがいるという事は宇宙に飛び立ち、地球に戻って来るという偉業が成功している。それも日本初の有人飛行という事。

 一枚の写真を見せるかなめ。そこには若々しいが、良い年の取り方をした女性の姿が写っていた。かなめによく似ている。



「かなめさんのお母様でしょうか?」

「これ、地上を飛び立つ前の私。この時で五十手前くらいかしら?」



 まだ三十代後半と言っても信じられる程度に見えるかなめの写真。そしてふとセシャトは疑問い思う。



「かなめさんは、五十前のご年齢で宇宙に行かれたのですか?」



 普通パイロットはもっと若い年齢を選ぶのではないか? そういう疑問がセシャトの中に生まれるがかなめはこう言った。



「私を含めてここに写っている人はみんな自殺志願者よ。宇宙飛行士の勉強をしていれば誰だって分かるわ。あの頃に月になんか行けるわけないってね」



 死ぬために宇宙という広大な海に片道の旅に出たかなめ達。そしてここでセシャトは先ほどとは真逆の疑問を覚える。



「ですが、かなめさんはお戻りになられましたよね? それも宇宙に飛び立たれた時よりも若々しくなって、それは一体どういう事でしょう?」



 いよいよわけが分からなくなってきたところでかなめは『探偵と助手の日常 著・藤島紫』の疑似小説文庫をセシャトに見せる。



「もし、清明さんの助手枠が余っているなら私もここで働きたいわぁ!」

「えぇ、分かります! 清明さんにちょっと小馬鹿にされてみたい気持ちはありますよねぇ! そして珈琲談義で延々と語れそうです」



 Web小説の話に戻ったのでセシャトは乗ってみたが、かなめは返事をしない。



「セシャトちゃん、私はね。お宇宙そらで事故にあったの。宇宙空間に放り出されてもすぐには死なないのよ! びっくりでしょ? そこで、私は助けられたの……セシャトちゃん達が宇宙人って呼ぶような人たちに」

『探偵と助手の日常 著・藤島紫』を読むならアルファポリスさんがいいかもしれませんねぇ^^

他サイトで掲載されていないお話がありますよぅ! そして、作者さんの最新作もはじまったようです!

さてさて読書の秋、ここに極まれりですねぇ!……かなめさん、まさかの展開ですねぇ


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