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セシャトのWeb小説文庫2018  作者: セシャト
第七章 『ヤドリギ』著・いといろ
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聖地巡礼ならぬ物語追従 荒人神ブランドなん!

さてさて、そろそろお気づきの方もいるかもしれません^^

今回7月紹介作品はWeb小説の楽しみ方という物をコンセプトに書かれています。

そして、今までの物語は前座でしかありません!! ふふふのふ^^

「買い物にいくん!」



 それはヘカの突然の思いつき、場所は東京都千代田区、元闇市跡……



「秋葉原じゃねーすか!」



 ヘカと欄にとっては庭みたいなここだが、東京都その周辺地域に住まう人以外は皆こう思うのではないだろうか? あらゆるところでお祭りがおこなわれていると。



「日本で唯一治外法権の異世界なん!」



 異世界以外はヘカのついた嘘である。ここで、ヘカはミレーヌにアールが感じたような買い物を楽しんでもらう事にした。



「しかしまぁ、私達が唯一まともに人を案内できる街っすけど、ここは本当に異質っすからね! ジュクとかで買い物したりした方がよっぽど女の子っぽくねーすか?」

「いや、僕はここがいいよ! ここがなんだかワクワクするよ! この気持ちなんだね? アールが感じていたのは!」



 さて気分を出す為に、ヘカは手ごろなケバブ屋でケバブを四人分買うとそれを欄、ミレーヌ、ルーラーに渡す。



「私にも?」

「喰うん! 合成ナッツとはくらべものにならない美味さなんよ!」



 ルーラーは機械である。だが、それを受け取りじっと見つめていた。ベンチに座り、この日本であり日本にあらずな秋葉原、適当な場所に腰掛けてケバブを齧りながら、スマホとタブレットで『ヤドリギ 著・いといろ』を読む。



「この、フリッツさんが局長のサイン持ってくるシーンって秀逸っすよね? というかここリアルにしちゃうんすね!」



 前例のない撃牙の使用許可をどう取ろうかと斑鳩が頭を悩ましている中、フリッツが首尾よくその許可を得てくるシーンに関して欄はこういう間の良い従業員の存在になんともリアルを感じていた。実際にいるのである。こういう仕事が出来てしまう存在。

 それにヘカが手についたサルサソースを舐めながら答える。



「事実は小説より奇なん。何故なら事実は筋書きがないん。これも、人の書くリアルなんよ! わざわざ撃牙に使用許可を取るんという面倒な情景をフリッツが偶然取ってくる事で相殺したん。持ってるんね! 荒人神」



 ヘカがそういうので、欄とミレーヌ、そしてルーラーまでもがヘカに注目する。何故なら、荒人神という言葉は『ヤドリギ 著・いといろ』に存在しない。



「まぁ、ヘカくらいの有名人ならイラストを描かれるんよ!」



 そう言ってバンとヘカは自分の似顔絵を描かれたイラストを二人に見せる。確かにそっくりなヘカ、そしてその絵面はいといろ氏の物である。



「うまいっすね! なんつーか可愛さ三倍マシマシみたいっすけど」



 欄の言葉を無視してヘカはイラストのポーズをとるとこう言った。



「『ヤドリギ 著・いといろ』の作者を前世から愛してた者が仕えるタグが、『荒人神ブランド』なんよ! これは選ばれた者にしか……」



 ヘカがそう語っている間に、欄はスマホを操作して一枚のイラストを見せる。そこにはアメリカンドックを食べる欄とミレーヌの姿。それはヘカにとって衝撃の走るイラストであった。



「あー、じゃあこれ私らも荒人神ブランドタグっすかね?」



 荒人神ブランドタグの由来は所説があるが、プロの漫画書きのようないといろ氏が描いてくれたイラストをこのタグを使って紹介しているものではないかと考察される。



「ぐぬぬぬぬ! 描きすぎなん!」



 ヘカはヘソを曲げそうになるので、欄は死んだような目でヘカを見ながら、なんとなくそれっぽい事を言ってみた。



「なんつーか、自分って五葉つかささんとキャラ被るっすよね? 喋り方とか? だから似てるんすかねぇ?」



 その欄の投げやりな質問に対して答えたのは欄がお味噌の中をいじったルーラー。



「適合率4%」



 その重い言葉に言わなければよかったと後悔する欄にヘカは言う。



「妖怪キャラ被りを狙って人気を上げようとしても無駄なん! この『ヤドリギ 著・いといろ』にはキャラ被りが存在しないん。これはしっかり軸を練って考えてる証拠なんよ。まぁヘカでもできるけどん」



 ヘカと欄がじゃれあっている中、ミレーヌは第二章における一つの盛り上がりである幼樹発見の場面で二人に質問する。



「グランドアンカーってどんな感じなんだ?」



 正直、日本国でエンタメ作品を見聞きしてきた者からすれば容易に想像がつくこのアイテムをミレーヌは全く文章から想像できないでいた。

 さてどうしたものかと思う欄にヘカは大きなモニターを指さした。



「駆逐するん! あんな感じなん」



 国民的アニメと言っても過言ではない進撃の巨人、その映像が大きなモニターで流れている

その立体起動装置。まさにあんな動きをする物という事をミレーヌの頭に刷り込む。



「うわっ! あれがこの時代のアニメーション? 凄いなぁ!」

「進撃の巨人はすげーっすね! でも、これでグランドアンカーについて分かったっすか?」  



 百聞は一見にしかず、影響されやすい欠点はあるものの、映像作品の時短吸収を越える資料はそうそうないだろう。偶然必要なアニメ作品が見れる、見つかりやすいというのは秋葉原という街におけるリミット技にも近いが……



「このアイテムがある事でより、動きのある情景が書けるん。これを元々持ってこなかったのは中々興を感じるん。あるいは作者の意地なんね?」



 ヘカの意味深な言葉を理解できない欄とミレーヌ、そんな中ルーラーが口を開いた。



「笑いをここで取りに来たと?」



 ヘカの口元が猫みたいに緩む。ヘカは手を空にかざすと高いビルの上で止まっていたカラスがヘカの元めがけて飛んでくる。ヘカは最後のひとかけらのケバブを投げるとそれを与える。



「ルーラーやるんね! 長々と道具の使い方を説明して少しダレた時にあの一枚絵と共にエアバックの演出なん。あえて笑いを取りにこない作品だからできるリミット技なんね。こういう仕組み、というより順序を恐ろしい程に理解してるん」



 この辺りから挿絵の頻度が増える。読者によりキャラクターと物語の方向性を刷り込んでくれる。この日々が終わりに向かっているかもしれない事を彷彿させ、そして恐らくは多くの読者の心を掴んだであろう第三章へとつなげているのだ。



「このシーン、たまらんのね」



 そう言ってヘカが斑鳩とギルバートの入浴シーンを見せる。欄は「そうっすね」と答え、ミレーヌは顔を真っ赤に染める。



「捕まっちゃうよ! そういの! だよね? ルーラー!」

「管理世界なら地下幽閉、及び作品と記憶の抹消……ですが、この世界の投稿サイトより指摘がない為、問題ないようです。この世界における警戒レベルを記憶しました」



 ルーラーが手に持ったままのケバブを袋に入れると一同は欄が先導するのでついていく。ヘカは何処に行くのか分かっているようで、ミレーヌとルーラーは顔を見合って怪訝そうな表情をした。



「昔はアキバにこんなお洒落なところはなかったん!」



 ア・ラ・カンパーニュ。超本格派なタルトを食べる事ができるこのお店、あまり秋葉原に来る事がないセシャトをよく連れてヘカがトトと三人でお茶をする店でもあった。



「さすがに万能ナッツのパイは食べれないっすけど、気分だけでも味わって頂こうかなって思うっす! ギルやんさんの妹さん、リアさんのパイだと思って楽しもうっす!」



 各種フルーツを乗せたタルトを前にミレーヌは気絶しそうになっていた。その様子を見てヘカは呟く。



「欄ちゃん、未来を変えるん」

「マジっすか! やっちゃうんすか?」



 当然二人に未来を変えた事の経験があるはずもない、だが、ミレーヌの住まう世界というものはヘカと欄が住み心地がいいとは到底思えなかった。



「アールたんが決意してるように、ヘカもWeb小説とミレーヌちゃんの為なら覚醒するん」



 いつも通りの冗談だろうと欄は思っていたが、ミレーヌはそんなヘカの言葉に感動しているので突っ込むのは野暮かとタルトを楽しんだ。



「フリッツって凄い奴だよね! 武器以外も何でも直せるじゃん。これも優秀な奴ははみ出し者にされるってやつ?」



 ミレーヌは口の周りにシロップをつけているのでそれをルーラーが綺麗にふきとってくれる。それに欄は答えた。



「どちらかというと、フリッツ君は玩具を与えられたら延々と遊べるタイプなんじゃねーすかね? 私と同じならって感じっすけどね! もう少しルーラーさんの頭いじりたかったっすよ!」



 それにルーラーはぐっと身構える。まさか過去の人間に自分の一部を書き換えられるだなんてルーラーとしても規格外の事件であった。



「ねぇ、ヘカ先生。欄さん。ヤドリギはタタリギに勝てるの?」

「えっ?」



 欄のなんと返していいのか分からない表情、これには変わりにヘカが答えた。



「タタリギの偽物、ヤドリギが勝てないんって話なんな? 負けないん。Web小説が未来の世界でもちゃんと存在してるようになん。そうすればミレーヌちゃんの探しているWeb小説も見つかるんな!」



 ミレーヌの住む世界、所謂未来においてはWeb小説は全滅した。なのにヘカは生き残るという。



「でもどうやって?」

「それは……欄ちゃんが考えるん」

「えっ? マジっすか!」



 いきなり話を振られた欄、笑いながら会計を済ませようとした時、異変に気付いた。まわりの人々が皆停止している。



「これ、結構ヤバい奴じゃねーすか?」



 多めの料金をテーブルに置くと店を出る。そしてヘカ達はこの時間を止めたであろう存在を目視確認した。四つ足の砲台みたいな何かが秋葉原の歩行者天国を闊歩していた

ふふふのふ^^

東京にもし来た際は、今回物語で紹介している場所を訪れながら『ヤドリギ <此の黒い枝葉の先、其処で奏でる少女の鼓動> 著いといろ』を楽しんで頂けると嬉しいですよぅ^^ 今後も色んな地域にトトさんに出かけて頂き皆さんのご近所を紹介させて頂こうと思います^^

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