序章 ミライセカイ
「――タイムマシンを発明したから、実験台になって」
全ては、母のこの言葉から始まった。
この言葉によって、僕は彼女と出会った。
光を反射する鏡のように眩い髪。あどけなさが残る上品な美貌。花嫁のような純白で可憐なドレス。初めて彼女を目にしたとき、僕はその美しさと愛らしさに釘付けになった。
しかしながら、一介の男子高校生である僕が絵に描いたような美少女と出会うことは、普通に生活していればありえないことである。相手だってそうだっただろう。
そう、普通では。
僕と彼女との出会いは、普通ではなかった。
僕にとって彼女は、見知らぬ土地で初めて遭遇した人物である。
そして彼女にとって僕は、窮地に現れた救世主であった。
互いに非日常で非常事態な状況下での出会い。その出会いはまるで、さまよう者同士が運命に導かれてひかれ合うかのようだった。
そしてこの出会いにより、彼女は世界を滅ぼす魔王みたいな……いや、事実一つの世界を滅ぼした悪役となった。僕も共犯だ。
そんな僕と彼女の出会いは、未来と世界を股にかけた、少し不思議な……いや、かなり不思議な出来事である。