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三ノ宮中学女子卓球部2

文章は前回より短いですが、切りが良かったので投稿しました。今回の話で、前回登場しなかった恩田さんが登場します。これだけの文章に時間を掛けすぎだなーと思うと同時に、お話をかける人達へのリスペクト度合いが急激に上昇してます。純粋にすごいな…みなさん。

卓球を始めてわかったことがある。


やはり、天才と呼ばれる人物は実在するということだ。


中学1年の春、私は天才という存在に初めて出会った。

私の様な凡人とは一線を画する存在。

1教われば、10の事ができ、人が1ヶ月掛けて身に付けることを1週間でものにする。


そんな存在。


どれだけ理不尽で、どれだけ不条理だろとも、人生を過ごしていく過程で幾度となくその存在と合間見えることになるのだろう。

天才と呼ばれる彼等とどのような出会いをし、どのような関係を築くか…彼等の存在をプラスと取るかマイナスと取るか、疎ましく思うのか、好意的に取るか…。


仮に、仮にだ恐れ多くも彼等を数値化して評価するとしよう。

あなたはあなたの人生に関わったその天才にどのくらいの評価をするだろうか?

勿論、技術的な面だけで評価するも良し、人間性に問題があり嫌なヤツだからとマイナス評価をつけるのも良しとしよう。

妬みだったり、羨望だったり、はたまた他の何かであったり…。

そもそも天才の存在に気づいていないなんてこともあるだろ。


…ん?何故そんなことを聞くのかだって?

そんなこと決まっている。

私は私の天才との出会いがとても良いものであったと自慢したいだけなのだ。

私が出会った天才をただ自慢したいだけなのだ。

三ノ宮女子卓球部エースで、私の先輩である恩田(おんだ) 観月(みづき)さんのことを…。


そう、ただ自慢したかったんだけど…





「すみません!遅れました」


体育館の扉がその声と共に開かれたのは、基礎メニューである多球練習を終え、休憩を挟んだ後いよいよ試合形式の練習…まぁ、練習試合か…を始めようという時だった。


「おーぅ、遅ぇーよ恩田ー」

「す、すみません!和葉副部長」

「お前なぁー私だって時間通りに来てんのに、エースが遅刻してどうするんだよー」


和葉さん…偉そうだ。

あ、いえ、違いますね。

単に自分が早起き(さして早くない)をさせられたのに観月さんだけ惰眠を貪っていたことが羨ましいのだろう、恐らく…いえ、十中八九。


「まぁまぁ、和葉あなたはいろいろと他人のこと言える立場ではありませんからね?」

「お、おはようございます!和音部長!」

「おはよう恩田さん、私達が練習している間によく眠れたかしら?」

「あ、はい、それはもうぐっすりと…じゃなくて!?」

「ふふっ、心配しなくてもいいわよ?恩田さんには練習後に特別メニューを用意しますから」

「え゛っ!?あ、あの、それだけは勘弁して…」

「恩田さん、部活開始は何時からでしたか?」

「く、9時からです」

「では、今の時間は?」

「10時…ちょい過ぎ…です」

「正確には?」

「10時…20分です」

「はい、良く出来ました。では練習後、3時間の居残りです。いいですね?」

「うぅ……はい」


練習後の3時間とか…鬼だ…明らかにオバーワークだ…って、部活開始3時間前から朝練してた私が言えたことではないのだけれど。


ふと、横に目をやると薫ちゃんと梓ちゃんが震えていた。

どうしたのだろうか?


「部長の特別メニュー3時間とか…」

「恩田先輩…今日でお別れかもしれませんね…」

「お別れって…あぁ、そう言えばふたりとも受けたことあるんだったね、その…特別メニュー?ってやつ。そんなにキツかったの?」


ふたりは…えっと…なんと言いますか、やたらと張り合うことが多いので…その、ちょっとケンカみたいになってしまったところを和音部長に仲裁され、喧嘩両成敗と言うことで特別メニューを受けたことがあったのだ。


「私らの時で1時間だったのに…」

「アレを3倍だなんて…とても常人が耐えられるとは思えません…」

「でも、何回か受ければ慣れるんじゃない!?現に観月さんはもう何度も特別メニューをやらされてるけど、ケロっとしてるじゃん!」

「そうですね、だからエースなのかもしれません」

「でしょ?」

「でも薫、あなたは慣れるまでの期間、あの練習に耐えることができますか?」

「え?それは…無理…かな?」

「そうでしょう?もしあなたにそれが出来るなら、私のカットであなたの為にマグロの解体ショーを披露して差し上げます」

「私に対抗して、一緒にって選択肢はないんだね…?」

「当たり前です。私はまだ死にたくありませんから…」


ふたりとも顔面蒼白だ。


「えっと…だから、どんな練習だったの?」

「ど、どんな…と聞かれても…ねぇ?」

「そうですね…と、とても私の口からは…ただ、あれは肉体的にも精神的に辛く、キツいメニューでした…」


むむっ…余計に気になる…よーしっ。


「あの部長、その特別メニュー私にも…うぐっ!?」

「バ、バッカ!何言おうとしてんの!?ミク!?」

「そうです!自殺行為です!!自ら死地に赴くなんて馬鹿げてます!」


ふたりに押し倒され、口を塞がれる。

ちょっ!?昼間から何を…しかも先輩が見てるのに!!

ふたりともダメだよ…私達友達なのに…し、しかも3人だなんて!

…と、思わず脳内妄想をしてしまった…。


「もっと練習したいと言うなら、私も朝練に付き合いますから…アレだけは止めてください!私はまだ友達に死んでほしくありません!」

「そうだよ!ミク!ミクが死ぬとみんな悲しむよ!」


いくら何でも大袈裟過ぎる気しかしないのだけれど…。

取り敢えずわかったこととして、和音部長のお仕置き専用メニューは身体だけではなく精神も鍛えられるということ。


そして梓ちゃんが朝練に加わることになった。



だけど、観月さんの災難はまだ続く。

今度は結城さんだ。


「もー何やってんのよーアホ観月」

「うぅ…ごめん、美空ぁ…」

「私に謝っても仕方ないでしょ…だいたいあんた、私がモーニングコールしてあげた時には既に起きてたじゃない?それが何で遅刻なんか…って、二度寝したに決まってるわよね」

「ち、違うよ!二度寝なんかしてないもん!」

「じゃー何で遅刻してんのよ?」

「う…ぅ…」

「?」

「に、二度寝はしてない」

「だったらどうしてって、さっきから」

「ずっと起きてた、その…寝付けなくて」

「それで私からの電話の後、落ちたと?」

「…うん」

「はぁ…もぉ子供じゃないんだから、あんたはホント、何やってんだか」

「あの、美空、中学生はまだ子供だと…」

「だいたい観月が後輩の練習見るから朝起こしてくれって頼んだんでしょ?だから私まで早起きするハメになって…もう絶対モーニングコールなんてしないかね!?」

「あぅ…そんなぁ」


ぼやきまくる結城さんと、なんか凄く残念そうな観月さん。

結城さんは普段はインテリお姉さんという感じでなのだけれど、観月さんが相手だとちょっとヒステリーと言うと言い過ぎだが、少し口五月蝿くなる。


とは言っても、今回の件は自業自得な気がしなくもないけど。


そして我が部のエース、観月さん。

ショートヘアで癖っ毛が可愛い2年の先輩だ。

今日も遅刻…と言ってもこんなに遅くなったことはなかったのに。

どうしたんだろうか?



ひと段落したところで和音さんが休憩の終了を告げた。


「それじゃあ練習再開するわよ。最初に言ったとおり今から試合をします。恩田さんも身体は温まってるわね?」

「はい!マッハで来たのでいつでもいけます!」


和音さんの問い掛けに、元気良く頷く観月さん。


「いいでしょう、では恩田さんには九条さんの相手をしてもらいます」

「任せてください!よろしくね、未来ちゃん」

「よろしくお願いします。観月さん」


私の相手は観月さん。

最初からエースが相手とは…気合入れなきゃ!


入部してからの観月さんとの戦績は、哀しきかな15戦15敗。

相手はエースだし当然と言えば当然なんだけど、それでも悔しい。

ぶっちゃけ、勝てる気配がない。

うぅ…気が重い…


「和葉は早瀬さんと、結城さんは渡嘉敷さんと、その組み合わせで試合をしてください。では、始め!」


でもっさ、負けっぱなしじゃ引き下がれないじゃん?


夏休み初日、7月21日土曜日AM10時30分。

校内練習試合開始。

次回から試合描写です。ようやく卓球します。面白く書けるといいんですけど…たぶん無料。ですが、自分でやりたくて始めたことがなのでちゃんと書けるよう努めます。

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