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遠い日の思い出。
綺麗な景色の場所だった。
透き通った水が流れる川に、青々と生い茂った木々。澄んだ空気。
森林の中央には、ひと際目立つ一本の大木が立っていた。
その中に、綺麗な少女が一人。
白くて細い腕と足。大きな麦わら帽子。
純白のワンピースが眩しい。
ぱしゃぱしゃぱしゃ。
川に足を入れて、ただ一言。
「気持ちいいですね」
と、微笑んだ。
俺も嬉しくなって微笑み返す。
「裕也さんも、入ったらどうですか?」
綺麗な瞳で俺に問う。
「いや、俺はいいや」
「そうですか。⋯景色に免じて、それも良しとしましょう。」
そう言って彼女はまた微笑み、
ぱしゃぱしゃぱしゃ。
と、水とたわむれに行った。