聴覚障害者の日常 歩行者道路編
聴覚障害は、見た目では判断できない障害のひとつだ。
学生時代の夏休みのこと。
帰省中に、母と姉とで町にでかけた。姉も聴覚障害者だ。
大通りのわきの広い歩行者道路で、姉と並んで歩いていた。
二人並んでも十分なくらいの広い歩行者道路だが、町の賑わいもあって、まぁまぁ混んでいたのかもしれない。
突然、すぐそばを自転車が通り、乗っていた作業着のオジサンにいきなり怒鳴られた。
目を合わせれば何をいったかわかった。
「どかんかいっていったろう!!」と怒鳴られたのだ。
まだ怖いもの知らずだったアタシはカチンときた。
「うちら、聞こえないんやからしょうがないやろ!!」と言い返した。
母があわてて諌め、姉はオロオロ。
オジサンも
「なにぃ〜〜?!!」
とおこりだし、自転車をわきに置いて追いかけようとするから、母と姉はアタシを引っ張り逃げ出した。
それ以上追いかけられなかったのでよかったのだが、不満はのこった。
世知辛いこのご時世、逆らわないほうが身のためなのだと、追々理解するのだが、それにしても、思い出すにつけ、なんだかなぁ、と思う。