仮
生存報告も兼ねて投稿。
その、してはならない失敗と、目の前で殺されてしまった人間……だったものを見た俺は、考えることを放棄した。
目の前に死が迫っていることも、原始的な恐怖も、敵わないものがある。それが、絶望や喪失感。
それが、日常と化している俺の仕事だったエンバーマー、その仕事から数年離れてぶり返した感覚ともいうべきもの。
「まだ、こちらに来てはいけませんよ」
「……法王」
「今回は私が力を貸します。ですけど、わかっていますね」
「ですが、もう、俺には……」
「後ろを見てみなさい」
「……っ、ラシアとイシー……エクシーラ」
「いいですね」
「はい」
元の世界で、エンバーミングを施した法王にとって、俺は特別な存在らしい。歴代の法王の中でもエンバーミングを生前にお願いできる人物に会うことができたのは十代近く前の法王だという。
法王のエンバーミングする特殊な司祭、別名信愛の騎士という。シュエンに来てこの称号を得たときは、驚き、そして悲しくなった。俺はここでもエンバーミングをしなければいけないのかと。
俺が、高校の修学旅行の時に、日本に来日した法王と偶然出会ったのだが、その法王が自分の目の前まで歩いてきて、法王が自らの法衣を裏返しその法衣を俺に着せた。、俺の足元で、自らひざまずいた時は凄かった。なんせ、周りのカメラマン、記者、SPともども動けなかったのだから。
そんなこんなで、家族は忙しく、俺は、エンバーミングの初実践を法王で行うという、素晴らしくプレッシャーになるエンバーミングを法王の国で行うこととなり、宗教に入っていないのに法王よりも偉い立場になってしまった。