第22話~最大の失敗~
俺は、ここで死ぬんだろうか。
「少年」
「……何ですか」
アークナイトを倒すことはできないと思っている。逃げることができないのだから相手に退いてもらえばいいとは思う。
「……俺に仕事はさせるなよ」
俺が死ぬのは仕方ないが、少年や美少女達が死ぬなら……俺が、しなくちゃいけない。
「……ヨシツグさん、僕の名前はエクシーラって言います」
「行こうか、エクシーラ」
「はい」
右手がまだ治りきっていないのが気になるし、この装備もどれだけ通用するだろうか。
俺は、カードを引く。思考を感知し、自分の思った通りのカードを引けるはずだが、何を引けばいいのか分からない。
引いたカードは無難なカード、実体のある分身を作り出すカードだった。
カードを挿入する音で相手に大まかな位置は悟られるだろう。この洞窟では、隠れることができる場所なんてそんなにないから。
『ブービーイリュージョン』
4体の分身が、アークナイトに4分も経たずに倒される。この装備の都合上、一回の戦闘では1種類1回のカードしか使えない。召喚モンスターがない、周囲に鏡が無い以上、戦術は多くない。
「……分身は自分の力と同等の動きしかできないんだが、弱いな」
やられた分身は、鏡のように割れてアークナイトに襲いかかるが無傷だ。
「でも、やるしかないですよね」
「遠距離からの攻撃ができないエクシーラはきついだろうが」
「行きます」
「ああ」
俺は、装備を逆にする。利き腕で剣を持ってみたが、思ったよりも握力が戻らなかった。まだ、左手の方が掴める。シャドウソードを左で握り、シャドウシールドを右腕に装備している。
「我が剣に『シューティング』斬れるものなし!」
何か急に迫力が増したアークナイトがエクシーラに斬りかろうとする動作をした瞬間、俺はアークナイトにぶっ放した。
エクシーラから3m程まで一瞬で近づけられたが、どうやらうまく狙えたらしく、アークナイトの動きが一瞬止まる。俺はここぞとばかりに連射するが、全部剣で防がれた。どうするよ。
「……中々やる」
アークナイトが距離を取ってくれた。だが、俺を警戒している。
「はぁ~、結構ギリギリだったな。あんなの反応できないぞ」
「えっ?」
「右肩見て見ろ」
「鎧が……」
探索者としては、まだまだの装備だが、剣撃を防ぐには十分の鉄製の鎧を装備しているエクシーラの肩の部分が綺麗に切断されていた。防御の時もそうだが、剣閃が全く見えなかったので、攻撃を仕掛けた後にやられたのか、仕掛ける前にやられたのか分からない。
ここは、わざと攻撃を外すことはないと思う。あんな宣言したんだから。
「長引くと不利だ。たたみかける!」
俺は、必殺技を出そうとカードを引いて挿入する。
『召喚モンスターがいないため使用できません』
俺は、してはいけないときに最大の失敗をしてしまった。
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名前:宮下義嗣
レベル:100
職業:異世界の死化粧師
職種:葬祭サービス
信仰神:葬祭の神
クラス:クシャトリア
称号:信愛の騎士
所属ギルド :バックロード
ギルド種別 :ダイヤ
ギルドランク:QUEEN
筋力:3
体力:4
速度:7
魔力:7
知力:6
器用:6
精神:7
運勢:5
霊力:3
超能力:3
称号特性:遺族、ご遺体の信愛度が高ければ、高いほど、そのご遺体の能力を受け継ぐことができる
???
???
???
クラス特性:
教会からの依頼を選んで受注できる。
祝福:葬祭の神愛、神々の愛、人々の愛
特技:
混乱上昇、記憶力低下、コミュニケーション能力低下、気力低下、二重人格、「霊力、超能力使用不可」
特記事項:
職業はSEだが、不況の影響で運用オペレーターをやっていた。
特殊基本能力:
霊力、超能力
ギルドランク特性:
射撃能力上昇、腕力上昇、脚力上昇、火炎魔法強化、幻想魔法強化、魔力吸収能力、略奪能力、暗視能力
使用魔法:
加速魔法、強化魔法、幻術魔法、飛行魔法、火炎魔法、特殊魔法
魔法カード:
METAL(銃に強化魔法をかける)
PANCH(パンチの威力強化)
KICK(キックの威力強化)
TRICK(幻術系分身魔法)
FIRE(炎魔法攻撃)
CHARGE(魔法カードの魔力を補充)
FLY(飛行魔法)
CHANGE(登録しているカードの中で、プログラムされたパターンからその場で所持している最適な魔法カードになる)
NASTY(不快な音波を発生させる)
ACCEL(瞬間的に加速する)
残り3枚ブランクカード
装備
武器:フォンチェンジャー、シャドウバイザー(楯がシャドウシールド、剣がシャドウソード)
装備特性:
全耐性
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