第17話
「……」
「はぁ~」
最近になって寝起きに心臓バクバクするようになってきた。
「さてと」
体を起す。
「サエさんの葬儀はどういう風になるんだ」
俺は、起きているだろう隣にいる紅暗に問いただした。素肌をさらしている彼女を見ているのに、欲情は感じない。
「サエさんの葬儀……ですか……少し待ってください」
彼女は、カードを取り、スクリーンに何かを投影した。それは、サエさんのギルドカードの情報だったが、目的の情報を探し当てたのかスクリーンを反転させて俺に見せた。
「うん……ここは……火葬なんだね」
「不思議に思うかもしれませんが、冒険者、それも、かなりの実力者が亡くなった場合はシュエンでは火葬をしています」
「何で?」
「ネクロマンサー、死霊使いに悪用されるのを防ぐためです」
「そうか……」
「葬儀には?」
「出ない。もう、別れは済ませた。後はこの国の人達にお別れ時間を」
「そうですか」
話もそこそこにして、俺は、持ち物の確認をする。そう、迷宮に入る準備をするためだ。自分の戦闘力はギルドカードを見ても分かる通り、ちょっと早く動ける程度、最弱だ。
それに、剣なんて中学の時に体育でかじった剣道と、アニメの主人公のように抜刀術をやってみたかった昔に、家にあった木拵えの模造刀を使って練習してみたくらいだ。接近戦は避けるべきだ。
それなら、銃で攻撃がメインだな。まあ、銃も撃ったのはモデルガンだけだが……
ビジネスバックを背負いながら戦闘なんてありえないので、転送登録をしておく。
「後は、眼鏡どうするかな……」
これが問題だ。眼鏡である以上、俺の視力が低くて遠くのものが見えない、銃撃には凄すぎるマイナスである。しかし、眼鏡って戦うときにしてるやつってあんまりないんだよな。スポーツはあくまでスポーツだし、実際コンタクトでもどうかと思うのでやめとこう。
「よし、ギルドに行くか」
「はい」
すぐそばで準備万端の紅暗が返事をするのを聞いて、1階に下りる。
因みに、朝飯は食べない習慣になってしまったので、軽食を1階で貰った後にギルドに行く。ギルドはこの宿の3軒隣の近場だった。紅暗に感謝する。
ギルドに行くと、その居心地の悪さに体が震える。これは、癒しが欲しい。
「フィージェル」
「何?」
「えっ? このくらいの狐耳の少女知らない?」
「だから何の用? 義嗣?」
「義嗣、彼女がフィージェルよ」
目の前の少女を見る。俺が見たフィージェルは膝上位までしか身長がなかったが、彼女は背中辺りまでの身長だ。狐が化けるというが、この世界でもそうなんだな。
「こんな時こそ私なんだけど、あの姿だと気弱で、この位までの姿じゃないとだめなのよ」
「そう、姿に精神も引きずられるのか」
「そう思ってて構わないわ。因みにこの姿は人族の……そうね、17歳位かしら」
「ふぅん、で、迷宮に入りたいんだけど」
「そう。じゃ、義嗣は初めてだから初心者迷宮に行くことになるわ。そんなに魔物も強くないし、義嗣の装備なら下手なことしなければ大丈夫よ。何かあっても紅暗が助けてくれるだろうし」
「うん」
「ギルドカードに通行許可を出したわ。確認して」
「確かに……って紅暗はいいの?」
「はい。神ですし」
「まあ、そうだね」
「いくら初心者迷宮って言っても危険がないわけじゃないわ。サエさんが亡くなったことで、むしゃくしゃした人がストレス発散の為に無茶をするのが絶えないの。」
「……そうだな。俺も暴れたいな。もう少し若かったら」
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名前:宮下義嗣
レベル:1
職業:システムエンジニア、運用オペレーター、エンバーマー
職種:システムサービス、葬祭サービス
信仰神:葬祭の神
クラス:クシャトリア
称号:信愛の騎士
称号ストック:神の寵愛を受けし者(神から様々な恩恵を受けることができる。)
神を従えし者 (マイナススキルの緩和、ただし、従者が側にいなくてはいけない。)
教会所持者(教会でシャワーを浴びることができ、エンバーミングを行う場所がその教会で提供される。)
筋力:2
体力:2
速度:3
魔力:3
知力:2
器用:2
精神:2
運勢:2
霊力:3
超能力:3
称号特性:遺族、ご遺体の信愛度が高ければ、高いほど、そのご遺体の能力を受け継ぐことができる
???
???
???
クラス特性:
教会からの依頼を選んで受注できる。
祝福:
プログラミング能力上昇
特技:
混乱上昇、記憶力低下、コミュニケーション能力低下、気力低下、二重人格、霊力、超能力使用不可
特記事項:
職業はSEだが、不況の影響で運用オペレーターをやっていた。
特殊基本能力:
霊力、超能力
所持金:200円、60万ミラ
持ち物:
ビジネスバッグ、仕事用のノートと書類、クリアフォルダ、うがい薬入り喉飴、栄養剤、風邪薬、コムラガエリ用(足つった時)薬、洗顔シート、筆記用具、煙草、ライター、胃薬、折りたたみ傘、タイマー機能だけ使っている折りたたみ式携帯電話、スマートフォン、iP○d、携帯食料、飲み物、銃弾。
着ている服:スーツ、コート(ナイロン製薄くて安いものと、取り外し可能な2枚重ねのコードで高いやつの2着)、マフラー。
折りたたみ携帯の転送登録:
スーツ、携帯食料、飲み物、栄養剤、銃弾 ビジネスバック
装備
武器:折りたたみ式携帯、桜蒼、デザートイーグルカスタム50AE
胴体:防弾刃ジャケット
足:グラスファイバー製プロテクター(黒)
腕:グラスファイバー製プロテクター(黒)
アクセサリー:時計、(眼鏡)
装備特性:
火炎耐性、対弾耐性、対刃耐性、(射撃命中率上昇)
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