第13話~裏のギルド~
そんなこんなで、そろそろ探索者として迷宮に潜ってお金を稼ごうと思う。とりあえず提案書を出して、紅暗にPRをお願いした。
「まあ、工数見積もりは算出できるほどのデータが自分にないし、調べるにしても誰かの経験話になるから宛てになるか分からないからな」
「でも、サエさんが細かくデータを取ってくれてたのは助かりました。」
「そうだな。2分の1にすればいいだけだから算出が楽にはなるが、性差はな」
「……そこはどこまで義嗣と差がでるか分からないわ」
「あっ、義嗣」
「何?」
「ギルドの説明は一人で聞いてきて下さい。私は、ダイヤのギルドの統括補助の仕事があるので」
「そう、分かった」
時間がずれる空間。鏡に映しだされたかのように文字が反対であるギルドの1Fでとある打合わせが、始まっていた。
「すいません。遅れました」
紅暗は打合わせ時間に遅れたらしい。座席の中央には、紅暗、その周囲には4人の男……、3人の青年と1人の老人が座っている。
「分かっているとは思うが、ここで再確認の為に、説明させてもらうわ」
「表のギルドの上位ランクは、J、Q、K。通常のギルドと同じく、依頼をこなし、上位ランクより、認められた者がなることができる。そして、裏のギルド、こちらは上位ランク以外存在しない。表で上位ランクの者が引退した時になる可能性がある。任命は神がする。そして、その裏ギルドランクの目的は葬祭の神の力の一部を封印すること。その恩恵として封印した力を行使することができる。その中から優れた者が各ギルドを統括する」
「だから僕達がいるんだね」
4人の中では一番年下の男は言う。
「ええ」
「ああ」
目がはっきり開き過ぎていて、子供には怖いと思われそうな男。
「わしは初めて知ったぞ」
1人の老人は、もういっぱいいっぱいな顔をしている。
「しかたないですよ。まだ、代替わりして日が経っていないですし」
最後の1人、好青年の感じが強く印象的な男。
「でね、今回招集したのは、裏のランクの者が殺されている……もしくは重傷を負う事件が起きている。その確認よ。ブレイダー、ロッダー、アリストの順でお願いするわ。ガンナーの現状報告は私が代行するから」
「はい」
「スペードは、裏のJが重傷、表のクイーンが殺されている」
「クローバーは表は全員大丈夫。裏はQ以外は復帰は難しいかも」
「ハートは全員傷を負っているが、比較的軽症だ」
「じゃ、最後、ダイヤなんだけど、みんなが知っている通り、先代ガンナーが力にのまれてしまって、空席を埋める為に裏のKを特別にガンナーの代行として役に立ってもらうわ」
「俺が止めに行ければ」
ブレイダーが言う。その手は強く握りしめられていた。
「無理だな」
アリストが状況から判断し、冷たく答える。そのブレイダーが抱えるものは―――。
「そうです。この中で一番力の影響が出てるんですから」
そう、ブレイダーはこの4人の中では一番封印の力の影響が現れている。
「それに、誰かが止めに行ったところで、会っただけであなた達もかなりの影響を受ける。無理なのよ……はぁ~」
紅暗は、疲れているのかため息を吐く。
「紅暗殿、気になるんじゃが、キメラギルドがいないのはなぜなんじゃ」
「それは、キメラだけは、質が違うからだ。」「協調性がないからです」「キメラなんて嫌いだ」
「?」
「ああ、キメラだけは私も放置しています。キメラは封印なんて考えずに力を使うからだめなのよ。でも、そのせいか使える力はここに居る3人よりも大きいし、適正も高い人が多い。だから、キメラの方に多くの力の封印を回してしまっているのが現状よ」
「っで、どうなったんですか? ガンナーの処分は……」
3人は緊張した面持ちになる。
「Qが戦っている。」
「ダイヤのQ、表裏の体現者か」
「でも、老化は避けれないのに大丈夫なの?」
「ガンナーに括って戦っているなら大丈夫」
「ブレイダー……、大丈夫な訳ないでしょ。結果は分かっているのを承知で、サエさんは行ったわ。」
「そう……ですか」
「それで、Qの後継は決まっているのか?」
「裏は決まったわ。でも」
「表は大会で決めるの?」
「今の状態ならそういう運びになるか」
「もしや、わざと決めておらんのか?」
「えっ、裏が決まったんじゃ、サエさんと同じく表と兼任なんじゃ……」
「……実力で選んだ訳じゃないのよ」
「どんな基準で選んで、表はできない?」
「むしろ、その基準に絶対に入ってほしくなかったのよ。私としては……、でも、エトファさんの大好きな人なの。―――しかも、誤魔化しているけど、たまに嫉妬を超えて封印解除した殺気をピンポイントで送ってくれるから……ひtっtっ」
「?」
「……なるほど」
「あははあはは(汗)」
「うおっ」
「? ああ懐かしいな」
「何でそんなに落ち着いてるんですか!」
「殺気に当てられて、力が暴走したか」
「まあ、一様裏のキングからガンナーになったから大丈夫だろう。慣れろとしか言えないしな」
「こ、こんなのが、毎回あるのか」
「しゃべるな、意識を自分の中に向けろ」
「ふぅ、これを毎回経験するのかい。しんどいのう」
「うん、飲み込みの速さは納得の実力かな」
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名前:宮下義嗣
レベル:1
職業:システムエンジニア、運用オペレーター
職種:システムサービス
信仰神:葬祭の神
クラス:クシャトリア
称号:教会所持者
称号ストック:神の寵愛を受けし者(神から様々な恩恵を受けることができる。)
神を従えし者 (マイナススキルの緩和、ただし、従者が側にいなくてはいけない。)
筋力:2
体力:2
速度:3
魔力:3
知力:2
器用:2
精神:2
運勢:2
霊力:3
超能力:3
称号特性:
教会でシャワーを浴びることができ、エンバーミングを行う場所がその教会で提供される。
クラス特性:
教会からの依頼を選んで受注できる。
祝福:
プログラミング能力上昇
特技:
混乱上昇、記憶力低下、コミュニケーション能力低下、気力低下、二重人格、霊力、超能力使用不可
特記事項:
職業はSEだが、不況の影響で運用オペレーターをやっていた。
特殊基本能力:
霊力、超能力
所持金:200円、60万ミラ
持ち物:
ビジネスバッグ、仕事用のノートと書類、クリアフォルダ、うがい薬入り喉飴、栄養剤、風邪薬、コムラガエリ用(足つった時)薬、洗顔シート、筆記用具、煙草、ライター、胃薬、折りたたみ傘、タイマー機能だけ使っている折りたたみ式携帯電話、スマートフォン、iP○d、携帯食料、飲み物、銃弾。
着ている服:スーツ、コート(ナイロン製薄くて安いものと、取り外し可能な2枚重ねのコードで高いやつの2着)、マフラー。
折りたたみ携帯の転送登録:
スーツ、携帯食料、飲み物、栄養剤、銃弾
装備
武器:折りたたみ式携帯、桜蒼、デザートイーグルカスタム50AE
胴体:防弾刃ジャケット
足:グラスファイバー製プロテクター(黒)
腕:グラスファイバー製プロテクター(黒)
アクセサリー:時計、眼鏡
装備特性:
火炎耐性、対弾耐性、対刃耐性、射撃命中率上昇
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