第09話~ギルドに行ったら神様が従者になって、昔を思い出した。俺って二重人格だったな~
「さてとギルドについてだが、まあ、お前さんが知っているのと余り変わりがないが、美人さんの受付嬢から説明された方がいいじゃろ?」
「う、うん、どうだろう?」
「うむ、たいていの男ならここで嬉しい仕草や言葉を吐くのじゃが」
「まあ……そうだな」
俺は、理性的な部分では、対人関係に常に不審、警戒心を持っている。でも、精神的には、その逆で、常に信頼しているって言ってもいい。そんな状態だからか、子供や老人相手は問題ないが、それ以外の人になると話すという行為に疲れてしまう。
それに、人間観察をしなくては生きていけないような、今の状況に人を観察や疑うことをしたくない気持ちが板挟みになる。そうすると、どうしても、しゃべりにくい状況になって、口下手に拍車がかかり、良く下を噛むようになってしまう。
美人なら緊張して上手く話せなかったり、騙されたりするのは当たり前だろうと考えているので、できれば江戸っ子とは言わないが気前のいい美人か、年配の女性を望む。
「まあ、一般的なギルドの通り居酒屋とくっついてるぞ」
そして、ドアを開けると想像通りの人達がいっぱいだったので、かなり緊張しているのか、体が震えている。
「体付きがいい奴ばかりだ」
見た目、俺は、俺は、肩幅も一般男性の平均よりもない。まあ、女性並みで体つきは細い。はぁ~。
「まあ、気をしっかり持てば、じきに慣れるじゃろうて」
「できればすぐに慣れたい」
「まあそうじゃろがな。そうそう、フィージェル、居るか」
「は~い♪」
少し大きめな声で人の名前を呼ぶサエに少しビクリとした。返事がした方向を向くと、動物の耳が頭に付いている美少女がいた。なんか癒されそうだ。
「フィージェル、久しぶりだのう」
「おばあちゃんこそ、さいごの、おしごとは?」
「そうじゃの、私がもう少し若かったら一緒に探索したかったのう」
「そんなに、いい人なの? おばあちゃんだったら、まだ探索者できるよ!」
「義嗣は、クシャトリアのクラスになったのでな。騎士が来るまでが私の仕事じゃ」
「そう」
「じゃ、ギルド登録からはじめます」
「いや、登録は契約の神が終わらせてくれたみたいでな。後は、普通の依頼とクシャトリアのクラスに纏わる依頼についての説明をしてくれ」
「今日はらくちん。すごい、サービス、神様」
「そうじゃの」
「じゃ、あそこで座って話そうかの」
「話すのわたし」
「そうじゃった。私も聞かせてもらおうかのう。あんまり詳しくは知らんかったからのう。ほれ、その姿じゃ話にくいじゃろうて、変化しとく」
「は~い。まず一般の依頼からね」
「……はい」
状況についていけなかったので返事が遅れた。フィージェルの周りに煙がでて覆い隠すと、美女が出てきた。それと同時に待ってましたと周囲の男共は騒ぎ出した。後から聞くと、どうもこのギルドの名物らしく、新人が来るとこういうことになるらしい。
「一般の依頼は、討伐、採取、護衛が一般的ね。その他は、そうね教鞭や店の手伝いとかかな。これらはランク付けされていて、義嗣は登録して何も依頼をこなしてないからギルドランクはFになるわ。その場合だとプラス1ランク上の依頼まで受けることができる。2から3へのランクアップは、依頼を3回こなせばEになれるから」
「3になったら下のランクはできないの?」
「できなくはないけど、次のランクアップはかなり遠退くわ。3から4へのランクアップは、討伐または護衛依頼を8回、その他の依頼を20回達成することだから」
「えっ、別に難しくないんじゃ……」
「義嗣、討伐と護衛は基本的に2ランクなど殆どないし、3でもかなり少ないんじゃ」
「そう、そして、5~10までの依頼は、4までの依頼とは違ってランクアップ条件、危険度、難易度も数段上がるのよ」
「面倒」
「まあ仕方ないわよ」
「それとこっちの話が本命ね。こっちは特別依頼。まだ緊急依頼ってのがあるけど、それはある時に説明するわ。で、この依頼は別名限定依頼と言われることもある依頼で、魔法使い限定の依頼だったり、あるスキルを持っている人のみだったりするからなの」
「その中でもクシャトリアのクラスの依頼は多いかな。クシャトリアの人があまり居ないってこともあるけどね」
「どんな依頼があるんですか?」
「まあ、この国の王直属の騎士の遺体修復とか、遺族の関係修復やその他いろいろだけど、葬祭関係の仕事だね。結婚式とかの依頼は殆どないよ」
「そう言えば従者さんは?」
「まだじゃ、そうじゃの、従者についても説明してくれんか?」
「まあ、祝福を受けた所じゃこんなこと説明できないよね」
「所謂、クシャトリアってクラスは、王族や貴族って感じで、でもってその従者っていうのは葬祭の神に祝福を貰ったもののシュードラ、奴隷のクラスになってしまった人のことよ。だからダブーなの」
「奴隷!」
「まあ、この世界にも奴隷の売り買いはあるからのう」
「わざわざ商人が奴隷を祝福させて価値を上げに来ることもあるけど、基本的に祝福する人はやらないのよ。賄賂とは別だから本当の所は違うけど」
俺の主人格は、冴島英治。二重人格者である。冴島英治のもう一つの人格は、俺、宮下義嗣。冴島英治は、至極一般的で、年頃か特撮、アニメ、ゲームをやりくりする男。俺は、霊力、超能力が使えて、バイリンガルな男の子。
冴島英治が主人各であり、俺は、たまにしか出てこない―――ハズだった。
そんな俺、いや、英治は、友達の家に遊びに行こうとしている途中、外国人の女の子、リリベットと出会う。それが、俺が主人格になり変わるきっかけかもしれない。
そう言えば、他人が俺と英治を名前で呼ぶのを聞いたのは久しぶりのような気がする。昔、中学時は……どこの中学校に通ってたっけか。
そうそう、埼玉県立さいたま中学校。凄くありふれた名前の中学校で、歴史はそれなりに長い。広さは昔は広かっただろう広さと言えばいいのだろうか、色々な陸上のスポーツを行う部活ができたので、狭い。その中の校庭を眺めている少年がいた。
「きしょい、サッカーしに行くぞ」
「おう」『はぁ、いい加減名前で呼べよ』
昼休みにクラスメイトとサッカーをするべく、校庭へと向かう。彼は冴島英治、小学生からの同級生には、きしょいといわれている。本人すらどうしてそんなあだ名なのか忘れてしまっているので何とも思っていないが、そう思っていない人物もいる。
毎日、英治の深層意識の一番下で、ストレスをためている人格が俺、冴島英治のもうひとつの人格だった。
「さえじぃ」
「パスくれ、サエ爺」
英治の友達は、大抵二つのあだ名を使って呼びかけてくる。一つは、いつから言われているのか分からない『きしょい』と、苗字を省略した『さえじぃ』『サエ爺』だ。さえじぃの方は、イントネーションの違いから、爺とも聞こえる。
「噂をすれば、来たわね」
ふと、自分の過去を回想していると、目的の人が来たようだ。
「それじゃ、私は邪魔になるだろうから帰るね。「バイバイ」」
「?!」
説明がある程度終わった後に、誰かが来たのか颯爽と持ち場に戻るフィージェル。頼むから突然少女になるのはやめてほしい。心臓に悪い。思わず胸に手を当てた。
「どれ、誰が義嗣の従者かのっ……」
「?」
変な所で言葉を止めたサエを不思議に思いつつも、同じ方向を見ると2人の美人がいた。一人は腰まで届くストレートの金髪、赤瞳、長身でスタイルは出るところは出て引っ込むところは引っ込んでるナイスな体の持ち主で、ミニスカートに袖なしのジャケット、ブーツとニーソックス、そしてマント。白いマント以外は黒で統一している。対してもう一人は、金髪の女性よりもスタイルは良くないが、体はきちっと引き締まっている。肩までのショート、色は染めないと見かけないオレンジ。身長は金髪の女性が170cmを超えるなら彼女は大体160cm後半位だろう。服装は金髪の女性と正反対の白ベースで、マントは無く、スカートではなくてスパッツに近いものをはいている。義嗣はテレビでしか見たことないような美女を目にしたとたんに、すぐ視線を落として出されていたお茶のようなものを飲む。
二人は、サエを見ると直ぐにサエのいるほうに向かおうとした。
「キャっ」
金髪の方の女性が、すぐそばで酒を飲んでいた探索者の1人に酒を掛けられて服が濡れた。
「おっとすまねー。ほら早く乾かさないと」
「止めてください」
「服がシミになるから早く脱げや」
目をつけられたのか、服を乾かすついでに彼女を脱がすことが目的らしい。
「エトファさん! ―――動くな」
もう1人の女性がいち早く気付くと、カードのようなものを取り出し、それが直ぐに銃に変わった。
「貴様、今すぐここから去れ」
「何だ嬢ちゃん、お前さんも―――「死にたいのアンタ」」
「ちょっと待て「うるさいわよ」」
「わかったよ」
「ちゃんと飲み代と服の弁償代出しなさい」
「ふんっ、これでいいんだろ、これでったく」
「紅暗、そんな強引に解決しなくても」
金髪の美女、エトファはもう1人の美女、紅暗に言う。
「これぐらい強く言っとかないと変な男がうろついてしまいます! それより、今日は何でギルドなんかに来たんですか?」
「それはね。えぇ~と、実はちょっと本人に直接会って話がしたくて」
「それで、どんな男性ですか?」
「えっ、何で男の人だってわかったの?」
「勘です」
「じゃ、会ってみようか。えっと、よしつぐぅ~、何処?」
「ここじゃよ、葬祭の神様」
「サエさん、お久しぶりです」
「元気でしたか?」
「元気じゃて、それより、私は帰るから義嗣をよろしくな」
「はい」
「はじめまして、エトファ・エクシズです。葬祭の神をやらせていただいてます」
「どうも、宮下義嗣です」
「私はエトファさんの弟子で、走星紅暗です」
「義嗣には、シュードラのクラスの女性を従者に指名しようと思ったんですが、基準を満たす人がいなかったので異例ですが紅暗に従者をやってもらおうと思いまして」
「そうなんですか? 別にかまいませんが」
「えっと、よろしくお願いします」
『~♪ 紅暗が従者になった』
頭の中で何やら効果音のようなものが鳴り響き、従者になったことが伝えられたためカードを確認する。すると、称号が貰えている。神を従えし者ということだが、紅暗は神なのだろうかと顔を窺う。
「どうしたの?」
「称号に神を従えし者ってあるから、紅暗は神様なの?」
「そうよ。ただし、何の神になるかはまだ決めてないから力はそんなにないけど」
「そうなんだ。でも、称号のおかげで、マイナススキルが緩和されてるみたいだから凄いと思うけど」
「まあ、そんなところで、あなたも疲れたでしょ、今日はもう休んだ方がいいわ」
「ああ。宿取って寝るわ……すまん、金貸してくれ」
「それじゃ、私も休むわ。えっと、義嗣だっけ、一緒に寝る?」
「ああ」
「じゃ、エトファさん。これからがんばりますね」
「うん。大変だろうけど頑張ってね」
□□□□□□□□□□□□□□□□□
名前:宮下義嗣
レベル:1
職業:システムエンジニア、運用オペレーター
職種:システムサービス
信仰神:葬祭の神
クラス:クシャトリア
称号:神を従えし者
称号ストック:神の寵愛を受けし者(神から様々な恩恵を受けることができる。)
筋力:2
体力:2
速度:3
魔力:3
知力:2
器用:2
精神:2
運勢:2
霊力:3
超能力:3
称号特性:
マイナススキルの緩和、ただし、従者が側にいなくてはいけない。
クラス特性:
教会からの依頼を選んで受注できる。
祝福:
プログラミング能力上昇
特技:
混乱上昇、記憶力低下、コミュニケーション能力低下、気力低下、二重人格、霊力、超能力使用不可
特記事項:
職業はSEだが、不況の影響で運用オペレーターをやっていた。
特殊基本能力:
霊力、超能力
所持金:200円
持ち物:
ビジネスバッグ、仕事用のノートと書類、クリアフォルダ、うがい薬入り喉飴、栄養剤、風邪薬、コムラガエリ用(足つった時)薬、洗顔シート、筆記用具、煙草、ライター、胃薬、折りたたみ傘、タイマー機能だけ使っている折りたたみ式携帯電話、スマートフォン、iP○d、宝石、携帯食料、飲み物、銃弾。
宝石:50万3000円
着ている服:スーツ、コート(ナイロン製薄くて安いものと、取り外し可能な2枚重ねのコードで高いやつの2着)、マフラー。
折りたたみ携帯の転送登録:
スーツ、宝石、携帯食料、飲み物、栄養剤、銃弾
装備
武器:折りたたみ式携帯、桜蒼、デザートイーグルカスタム50AE
胴体:防弾刃ジャケット
足:グラスファイバー製プロテクター(黒)
腕:グラスファイバー製プロテクター(黒)
アクセサリー:時計、眼鏡
装備特性:
火炎耐性、対弾耐性、対刃耐性、射撃命中率上昇
□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□
名前:サエ・ダイヤ
レベル:300
職業:異世界案内人
職種:フィナンシャルサービス
信仰神:案内の神
クラス:先行者
称号:シュエンの母
所属ギルド :バックロード
ギルド種別 :ダイヤ
ギルドランク:QUEEN
筋力:6
体力:9
速度:A
魔力:A
知力:12
器用:13
精神:A
運勢:10
ギルドランク特性:
射撃能力上昇、腕力上昇、脚力上昇、火炎魔法強化、幻想魔法強化、魔力吸収能力、略奪能力、暗視能力
称号特性:
シュエンの人々に愛される。
クラス特性:
先制攻撃の確率が上がり、バックアタックの確率が下がる。
祝福:
どんな状況下でも笑顔を絶やさず、案内者に安心感を与えることができ、信頼も得やすくなる。
特技:
プログラミング、無詠唱、速射、精密射撃(ピンホールショット、ワンホールショット等)
魔法耐性:
火炎魔法耐性、幻想魔法耐性、精神魔法耐性
使用魔法:
加速魔法、強化魔法、幻術魔法、飛行魔法、火炎魔法、特殊魔法
魔法カード:
METAL(銃に強化魔法をかける)
PANCH(パンチの威力強化)
KICK(キックの威力強化)
TRICK(幻術系分身魔法)
FIRE(炎魔法攻撃)
CHARGE(魔法カードの魔力を補充)
FLY(飛行魔法)
CHANGE(登録しているカードの中で、プログラムされたパターンからその場で所持している最適な魔法カードになる)
NASTY(不快な音波を発生させる)
ACCEL(瞬間的に加速する)
残り3枚ブランクカード
装備:
武器:専用武器『リバース』、日本刀、小型ナイフ10本
胴体:炭化チタナイト繊維のジャケット
腕:龍の髭で作ったグローブ
足:計測の足甲
アクセサリー:受け継がれしダイヤの指輪
持ち物:
魔法の袋、携帯食料、薬
装備特性:
魔法カード使用可能、火炎耐性、地形の目視計測力上昇
所持金 :5億4000万8900ミラ
□□□□□□□□□□□□□□□□□