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異世界の死化粧師  作者: 死化粧P
異世界デイズ
30/49

第05話~食事~

 腹減った。そう言えば、15時間以上何も食ってない。


「山菜そばでも食うかな」


「じゃ、私も食べようかのう」


 すぐそばにあった店の券売機でPASMAを使う。


「すまんがおごってくれんか? 私はこの場所のお金は持っておらんのでな」


「あっ、はい、同じでいいですか?」


「ああ」


 券を買って、店の中に入る。誰もいない。誰かいないかぁ~(笑)


「えっと、誰もいないってことは、全部セルフですか?」


「そうだのう」


「ちょっと待って下さいね」


 厨房に入ると目の前に鍋がある。鍋の中は水とスープだったので火を点けておく。そばの麺もテーブルに置いてあったので、山菜を探す。


「ないなぁ」


 棚を探すが、山菜が見つからず、仕方なくラーメンの具であるメンマやチャーシュー、後は肉とネギをどんぶりに入れる。


「サエさん、山菜が見つからなかったから適当に具入れるね」


「しかたないのう。肉は入れんでくれ」


「はい」


 汁は、結構濃いめで麺に味がしみ込みやすいな。


「初めてだが、結構うまくできるもんだな」


 麺類と言えばカップラーメンがメインで、アルバイト経験もない。なので、よくやっている湯切りは初体験。


「はい、できた。」


「いただきます」


「……」


「ごちそうさま」


「……」


 食べ終わるのは同時だった。


 サエさんのことで気になった、彼女に質問してみた。


「サエさんは、自分みたいな人をいつも案内してるんですか?」


「そうじゃな。だが、お前さんで最後じゃよ」


「えっ」


「私も昔は帰る為の方法を探しとったんじゃよ。私の世界の平均寿命は君の世界の約3倍だからのう」


「えっ、サエさんいったいいくつなんですか?」


 見た目60歳後半なサエさんの世界の平均寿命が長いことに驚く。


「今年で200歳じゃ」


「じゃ、俺で最後ってのはおかしいと思いますけど」


「そうでもない。探索者、この世界では冒険者が正しいのだが、それをやってるときに無理をし過ぎてのう。体にガタが出てきたときから50年経ったのじゃ。もうしゃべるだけでも痛い」


「……」


「まあ、そう辛そうな顔をするな。しょうがないんじゃから」


「そうなんですが、最近母親が死んだばかりですからどうしても」


「そうなんか」


「ええ、何日か前には会えたんですが、間際には会えなかったんですよ。だから、サエさん」


「……なんじゃ」


「俺にはみとらせて下さい。貴女の最期を」


「っ! ああ」


『~♪ 握った拳の強さで砕けた ~♪』


 駅内に音楽が流れてくる。どうやら、流れてくるのは、義嗣が聞いたことのある歌だ。バラードを聞くことが多かったのか、幸先が悪い歌ではある。


「もう、1段階目か。はやいのう。どうやら、義嗣は、案内人の神に好かれているのかの」


「案内人の神? 1段階目?」


「この世界には、数千の神がおる。その中に案内のエキスパートたる神もおるのじゃ」


「そうなんだ」


「で、ここにずっと居続けても問題でな。永遠に居たいと思い続けてしまったら最後、複数の神にそれが伝わってのう。時間の感覚をずらされて、数週間で老衰してしんでしまうんじゃ」


「まるで、神隠しやらオカルトじみてるな」


「そんなことを神も望んではいないからのう。1段階目として、何かここでしか価値がないものを使えないようにするんじゃ。だが、普通なら5日位後なんじゃがな」


「えっ」


「……うむ。どうやら、そのPASMAが使えなくなるようじゃ」


「うそ」


 PASMAを慌てて店の外の券売機にかざす。すると反応がない。


「うん。残金は3千位だったから、1日分のご飯が無くなった。まあ大丈夫っちゃ大丈夫だけど」


「どうだった?」


「やっぱり使えない」


「そうか。どうも、お前さん、神様達から目をつけられているみたいじゃ。本来ならギルドに行って、冒険者として登録をしなければいけないんじゃが……契約の神から連絡が来てのう、登録を済ませただと」


「えっ、まあ、ありがとうなんですかねぇ」


「まあ、面倒な手続きが済んだんじゃ、得したと思っておればいいじゃろう。それと、ギルドカードじゃが、悪戯の神がそのPASM○をギルドカードに変えとるようじゃ」


「えっ、悪戯の神って、悪魔じゃないの?」


「……そう言えばそうじゃが。そう言われているんじゃから、いたずらが好きなんじゃろ」


「……まあいいや。それより、PASMAを見て見ますか」


「義嗣、お前、筋力と体力がお前さん位の一般人の女性よりもない。子供並みじゃよ」


「ああ。困ったが、これはしょうがないんだよ運動嫌いだからな」


「それにしては、速度がえらい高い」


「6年間位は子供の時鍛えたからその名残だ」


「特技にマイナスなものがあるのを、私は初めて見たぞ」


「……昔普通にまで治したんだが、また戻ってきたんだろう」






□□□□□□□□□□□□□□□□□

名前:宮下義嗣


レベル:1

職業:システムエンジニア、運用オペレーター

職種:システムサービス

称号:なし


筋力:2

体力:2

速度:3

魔力:3

知力:2

器用:2

精神:2

運勢:2


特技:

混乱上昇、記憶力低下、コミュニケーション能力低下


祝福:


特記事項:

職業はSEだが、不況の影響で運用オペレーターをやっていた。




所持金   :283万2千円

引落金額  :

合計    :283万2千円




持ち物:


ビジネスバッグ、仕事用のノートと書類、クリアフォルダ、うがい薬入り喉飴、栄養剤、風邪薬、コムラガエリ用(足つった時)薬、洗顔シート、筆記用具、煙草、ライター、胃薬、折りたたみ傘、タイマー機能だけ使っている折りたたみ式携帯電話、スマートフォン、iP○d。


着ている服:スーツ、コート(ナイロン製薄くて安いものと、取り外し可能な2枚重ねのコードで高いやつの2着)、マフラー。






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