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その少年、主人公&その少女、ヒロイン Part-C

話は全然進まないよ。

主人公の妄想とクラスの女子との高蜜度な掛け算のお話。

数十分後、授業終了のチャイムが校舎に響き渡り、汗だくの男子だけが教室に戻ってくる。

『男子に更衣室なんてあると思ったの?バカなの?アホなの?』

と体育の最初の授業で体育教師が言ったとか言ってないとか……。

ホントは、『女子は女子更衣室で着替えて、男子は男子更衣室という名のこの教室で着替えてグランドに集合』が正解。

中学校でもそうだったし、むしろ男子更衣室のある学校の方が珍しいのでは?

男子たちが着替えを始め、鞄からスプレー缶やら液体が入った小瓶を取り出し吹きかけ始める。

それを見て僕は窓を全開に開け放つ。

窓側の席になってしまったのだし、空気の入れ替えを目的とした窓開け係を買って出ようではないか。

この男臭くて香料剤臭い淀んだ空気を4月終わりの爽やかで涼やかな澄んだ空気に入れ替えようではないか。

主に僕のところだけの空気の入れ替えを目的だけど。

てか臭いから有無を言わさず開け放つけどね。

「おぉ、瀬兎ありがてぇ。涼しい~」「こっちも開けようぜ」と感謝されたり、賛同者が出たり。

自分のためにしたことが皆のためにしたことになった。


クラスでの評価が上がった↑

ある種のゲームならこんな表示がされていそうだ。

それを見ていたその手のゲームのヒロイン6人の内の1人(同じクラスの委員長。成績優秀。文武両道。明るくハキハキとしているが重度の男性嫌いである。そのため百合の噂も……。だがそれがいい!! 参照:付属説明書)の評価も上がりそうだ。

などとくだらない妄想の世界に休み時間と2時間目、3時間目を費やすというダメな方に優等生。

そして現在、4時間目の数学の授業中。

クラス委員長ルート、エンディングの間近の妄想中である。

中学時代に恋愛で裏切られ、ひどく傷付き男嫌いになってしまった彼女。

主人公(僕)に恋をしていることに気付きながらも否定し続ける。

『あいつは男だ。また裏切られる。傷つくのは嫌だ』と思い主人公(僕)との距離を取り始める。

そんな彼女の手を無理やり引いて学校を抜け出す主人公(僕)。

街を一望できる主人公(僕)お気に入りスポットで夕焼けをバックに抱きしめての愛の告白。

彼女も否定していた恋心を素直に受け止める。

最後はハッピーウェディングという名のハッピーエンドに――。

自分の脳内に大人になった彼女のウェディングドレス姿のスペシャルギャラリーを追加。

ブラボー!おぉブラボー!!

過去の中でも結構上位に食い込むんじゃね的な仕上がりだったよ委員長。

しかしこの脳内恋愛シュミレーションゲームはまだ5人のヒロインがいる。

委員長のハッピーエンドの余韻を残しつつも、今日中に2人目のヒロインを攻略するべく現金にも次のルートを選択中。

3年生の幼馴染か、中学時代の部活の後輩(中学3年生)か……――ハッ!?

数学の授業中にルート(√)選択とか地味にダジャレが出来てることに気付いてニヤニヤしてしまった。

ニヤニヤしたアホ面をしながらヒロインを選んでいると4時間目終了のチャイムであり昼休み突入のチャイムが校内に鳴り響いた。

ルート選択はあとで考えるとして、心のメモリーカード(8MB)にセーブ。


机に一応広げていた教科書やノートを片づけて弁当を鞄から取り出す。

鞄から、取り出す。

鞄から……取り出す。

鞄から…………取り出せない。

(しまったー。母さんは旅行で弁当作れないからコンビニで買ってこなきゃいけないんだった!)

この私立城西学園しりつじょうせいがくえんには学食はない。

が、街のパン屋さん2店舗からパンをお取り寄せ販売している購買がある。

売れ残ることなど絶無といっていいほどに大好評で、昼休みと同時に開店し10分後には無くなるという大盛況である。

そして現在。

昼休みに入ってからすでに4分経過している。

急げばなんとかなるかもしれない!

ダッシュで購買に行けば、行け、行…………行けない。

何故なら僕の目の前を名前も知らない女子が僕を見て立ち塞がっているからである。

「はい、これ。私の机に瀬兎君宛ての手紙が入ってたよ」

「あ、ありがとう」

見覚えのない封筒を受け取り、見てみると封筒前面に『瀬兎無月へ』とデカデカと書かれていた。

「むふふー、ラヴレターかい?瀬兎君やるねー」

「いやこれをラヴレターというのは無理があるんじゃないかな」

「いやいや、私には分かるよ。この封筒からはラヴの匂いがプンプンするよ」

クンクンと匂いを嗅ぐしぐさをする女子。

あどけない顔立ちと行動をする女子からはいい匂いがして僕の鼻孔をくすぐる。

その匂いに釣られ、僕もクンクンと匂いを嗅ぐしぐさをしてしまいそうになるが思いとどまる。

そんな僕の気持も露知らず、「誰だろうねぇー」と言いながら回りを見渡して「あの人かな」「あっちの人かも」と人に向かって指を差している。

人に向かって指を差すとはマナーがなってないと思ったので注意の促しに入る。

「あのさ、人に向かって指を差すのはマナーとしてどうなのかな?それに、――どうしてさっきから男子にしか指を差さないのかな?」

この女子の人差し指の直線上はどれも男子だった。

「どうしてって、この字はどう見ても男の子の字だよ。それに女の子はもっと可愛い封筒を使うはずだし」

「まぁ、確かに。でも男子が男子にラヴレ――」

「恋愛は自由でこそ恋愛なんだよ!国も、年齢も、性別も関係ないよ!それが恋愛なんだよ!男と女でしか恋をしちゃいけないなんてルールはないんだよ!瀬兎君が男の子を好きになってもいいんだよ!瀬兎君が男の子のことが好きでも私は全然引かないよ!だから隠さないで良いんだよ!」

「ちょっ、こ、声がデカい!てか誤解される言い方はやめて!」

「えっ、違うの!?」

「違いますから!」

「数学の時間中、先生見てニヤニヤしてたのに?」

「それはー……――思い出し笑いだよ?」

疑問形を何故か棒読みの疑問形で返しているというマナー違反。

そしてこのジト目である。

……。

…………。

………………。

「な~んだ、私の勘違いか」

良かった。

なんとか誤解が解けた。

時間が解決してくれるものだね。

「瀬兎君が先生に無理やり攻められてるとこ妄想してたのに。残念」

「僕が受けかよ!普通に考えて攻めだろ!」

何気に爆弾発言してますよ、この子。

「……弱気攻め?」

「命令させねえから!ガンガンいくから!」

「攻められてガンガンイッちゃうんだね」

「そういう意味じゃねえから!」

「ガンガン攻められてイッちゃうんだね」

「結局的に僕が攻められてるじゃないか!しかも強気に」

「先生のまじんのかなづちでいつもクリティカルヒットするある意味運のいい瀬兎君『らめ、先生そこ、そこ、ぼ、僕、弱い「僕と先生で妄想始めないで、お願いだから!」先生のまじんのかなづちでもう僕、もう、僕イッ、イッちゃう「やめてくださ~い」ーっ!』みたいな」

「汚されちゃったよ、僕……」

――こんな感じで掛け算と会話のやり取りを5時間目の始まりまで繰り広げた。

彼女とは掛け算の趣味が合わないようだった。

会話はなかなか楽しめたけど。

だが彼女が誰なのかは分からずじまい。

まぁそれは時間が解決してくれるけどね。

同じクラスだし。

しかし昼飯にありつけないという最悪の事態を引き起こしてしまった。

腹減ったー。



『話がある。


昼休みに職員棟3階の最奥の教室に来るべし。』



Q.展開遅くない?

A.え?あぁ、うん。

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