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タイトルをまた変えました。どうも違うような気がしてまして。3度目ならぬ3個目の正直でこれでいこうと思います。

あらすじはちょくちょく付け足したりなんやらしています。

 オレは自室に戻り、双子派スーザン流の型と思われるものを繰り返していた。


 あの妖剣クソ野郎は細剣術はそれは熱心に鍛錬していた。趣味の殺人を続けるにあたり最も自分に必要なものは強さだと分かっていたんだろう。


 中から30年以上見てきた?というか感じてきた?動作なのでよく覚えていた。


 それにやっぱり体が滑らかに思い通りに動く。重心移動などの内部的な体の動かし方がわかっているんだと思う。


 前の人生でのオレは剣術はもとより運動全般が苦手だった。何をやっても思うとおりに体が動いてくれなかった。


 剣を振れば剣先がブレる。水練をやれば息継ぎしたいのに顔があげられない。馬に乗れば振り落とされる。先生の説明を聞き、手本を見て、自分ではその通りにやっているつもりなのにできなかった。


 今にして分かった。体の動かし方が根本的に間違っていた。


 剣術の指導役からよく言われたものだ。


 「剣先がブレるのは腕に力が入りすぎているからです。剣を振るのに腕の力はいりません。剣は足で振るんです」


 でも、足で振るってどういうこと?一万歩譲って足で振るとしても、最終的には剣を振るためには腕を動かさないといけないから、腕に力を入れないと無理なんじゃないか?と全く理解できなかった。が、今はわかる。


 例えば基本の突きだ。半身の構えから前足を一歩前に出す、すると膝そして腰も自然に前に出る。すると、今度は当然脇腹と肩も前に出る。で、その肩が出るときに肩で肘を押してやると腕が自然に前に出る。そしたら手も剣も前に突き出されるという寸法だ。


 人間の体は足を出したら突きが出るようになっている。腕の力は要らないというかむしろ邪魔だ。剣を落とさないだけの力で十分、じゃないとスピードが鈍る。で、インパクトの瞬間だけ力を入れればいい。


 ある意味、オレは最高の指導方法で剣を学べたのかもしれない。剣術だろうが馬術だろうが体術だろうが体を動かすものの修行ってのは普通ならやって見せたり口頭で指摘したりしかできないところ、オレの場合は何てゆうか先生が体の中に入ってきて体の動かし方の感覚を直に体に覚えさせるともいうべきものだ。


 いや、ホント最高の指導だわ。しかも、その指導を30年も受けた。


 あともう一つ気付いたのが、昔は立会稽古とかで相手の剣を目で見てから避けようとしていた。でも、それは不可能だという話は聞いたことがあった。


 対人戦しか経験のない者がそれほど強くない――まぁ、この場合はスピードがないと言った方がいいかもしれん――魔獣と戦って負傷することがよくあったそうだ。


 目で見て避けるのであれば、魔獣の攻撃も人と変わらない速さだから避け損なうということはないはずだ。でも、避けられない。そして、人と魔獣の大きな違いは体の構造だ。


 ここから考えると、人は相手の予備動作つまり動きの起こりをみて避けているのであって、攻撃を目で見て避けているのではない。だから、人間と違う動きの起こりを見せる魔獣の攻撃が避けられない。……とかっていう話だ。


 で、オレは30年もの間、一流の剣士の命を懸けた真剣勝負での挙動をこの目で見てきた。しかも、戦っている剣士目線という特等席でだ。なんとなくだが、今から来るなとかここら辺を狙ってるなとかわかるようになっている。


 はぁ、流石にそろそろ言い訳を考えないとマズい……。


 ダメ人間の典型的な行動の一つである面倒なことは後回しにするをやっていたオレは木剣を放り出しベッドに寝転んだ。


 全然、思い浮かばねぇ……。


 父上から「後で執務室に来なさい」と言われた。昼めし食ってから1時に行かねばならん。絶対に事情を聴かれる。そりゃそうだよね。なんか強いし。いきなり細剣だし。しかも結構板についた動きをしているだろうし。


 流れの剣士に出会って教わった……、いやいや、オレって基本、屋敷の敷地内にしかいないし。自分で編み出した……、うん、双子派スーザン流の動き丸パクリは無理があるな。夢に武神が出てきて教わった……、うん、医者を呼ばれても文句言えん。


 いっそ本当のことを言うか、実は前世で妖剣を抜きまして……、まぁ、普通に本当のことを言えって言われそう。最悪、悪霊憑き扱いでお祓いからの幽閉とかもあり得そうだわ。


 ヤバイ、どうしよう?


 ホントに何もいい考えが思い浮かばない。だって、無理だろ。昨日までクソ雑魚だった奴が急に強くなるなんて有り得ねぇもん。あり得ねぇことに理由なんて付けられるわけがない。


 運動して少し火照った体にベッドのひんやりとした感覚が気持ちいい。ゴロンと寝返りをうった。


 それにしても、完敗だったわ。


 オレはベッドでゴロゴロしながらさっきの勝負を振り返った。ゲーリーにはずっと余裕があったように感じる。オレの剣がはっきり見えていたんだろう。


 それに、妖剣も強かったけど、最強ってわけではなかった。オレの独自採点では10段階評価でどんだけ高く見積もっても「8」ってとこだ。


 何回か一対一の勝負で負けた……というか負ける寸前で逃げたことがあった。殺しの依頼を受けて行ったら、相手の方が普通に強くて、結構高い崖から川に決死のダイブをしたりね。あったなぁ。


 しかも、今はオレだしね。剣の腕では明らかに妖剣の劣化版コピーと言って差し支えないだろう。


 とはいえ……。


 現状は悪くないといえる。あの妖剣クソ野郎の技だってのが気に食わないけどね。


 さすがのオレも前回の人生については反省していた。中の人をやりながら、あの時はこうすればよかった、ああすればよかったなどと思う日々だった。


 もっとも学園でのやらかしについてはいまだにちょっと納得がいっていない。


 平民を脅して金品を提供させたり実技試験でわざと負けるように強要する。それに筆記試験の組織的カンニングだったけ。ああ、あと校内での飲酒と賭博もあったな。


 ……やったよ、確かにやった。


 でもやったのはオレだけじゃない。王党派武官系長剣閥の中の問題児グループ皆がやったんだ。それなのに退学になったのも家名を封じられたのもオレだけだった。


 あのとき父上にはっきりと言われたからね。


「今回の一連の件はもう既に学園内どころか王都中に広まっている。明るみに出てしまった以上、誰かを切らなきゃいけない。それはお前だ」


 オレは体のいいスケープゴートにされたんだ。「嫡子でもなく文も武もさっぱりで対魔獣や対帝国との戦いで戦力外だから、ちょうどいい」ってさ。クソっ。


 でも、今考えると結構説得力があるような……。それに、こんなことをわざわざ俺に言ったってことは父上なりに誠意を見せてくれたのかもしれないとも思った。


 まあ、でも、今さらだ。


 今回は大前提として妖剣に触れない、そもそも近づかない。当然だ。


 ただ、前回、オレは妖剣を抜いてやろうと思って抜いたわけじゃない。あの日以前のオレは妖剣の存在すら忘れていたほどだ。思うに、妖剣は心が弱っている奴を操るというか喚ぶような能力があるんだろう。多分だけど。


 となると、学園であのアホ共とツルまないのも大事だ。どんな貰い事故に巻き込まれるかわからんからな。シャレにならん。それにぶっちゃけ、あのグループの居心地は良くなかったしね。


 もし、人生をやり直せるなら、とにかくちゃんと貴族として生きよう、ジュライフィールド家に尽くそう、とずっと夢想していた。特に家族のことはね。「失くして初めてその大切さに気付く」とかっていう臭いセリフは真理だと思う。


 オレは幸運にもそのやり直しのチャンスを掴んだんだ。まだ夢の可能性は残っているけど……。


 剣は正直なところ諦めていたが、30年分の御褒美というべきか細剣が遣えるようになっている。武官としてやっていけるかもしれない。ウチは武門の家だし、やっぱり男の子なんで文官よりかは武官の方がかっこいい。


 細剣なんで治安維持に携わる第2騎士団かな。


 そもそも、細剣が生み出されたのは治安維持の活動のためだといわれている。諸説あるけどね。


 長剣とリーチは同じなのに剣身は半分以下だ。犯罪者を追いかけるのに嵩張らない方がいいに決まってる。


 それに、与える手傷が小さいから、組織的な犯罪の解明のためとかで生け捕りにするのに便利だそうだ。うっかり胴に当たって内臓まで傷が達しても傷口が小さいから、ほっといても半日くらいなら生きているらしい。その間に尋問できる。長剣の斬撃だと出血死するおそれが高くなるからね。


 しかも、足に2,3発入れとけば歩けなくなるから、拘束の手間なしに次の奴を追いかけられる。


 あとは、やっぱり突き主体で狭いスペースで戦うのが得意だから、犯罪の摘発で家具などの障害物のある屋内に踏み込むのにもってこい。長剣でも突きはできるけど。


 ああ、貴人の警護をするのにも重宝されている。細剣は屋内と屋外のどっちもいけるからね。


 ただし、ちょっと魔獣、なかでも大型魔獣には不向きとは言われている。与える傷口が小さすぎるからだ。もっとも、魔剣なら十分に戦えるらしいけど。


 正直なところ、長剣には別に未練なんぞない。むしろ嫌な思い出が詰まっている。これからは細剣術を頑張っていく所存だ。


 ただね……、しつこいようだが、所詮はオレなんだよなぁ。ここから伸びしろがあるのか……。


 となると、10歳で神童15歳で才子20歳過ぎれば只の人だったけか、アレを地で行きそうな気配が濃厚だ。剣に全振りはマズい。やっぱ、文官との両にらみで行くべきだ。


 うん、ちゃんと勉強も頑張る。


 オレは物覚えは悪いし、そもそも、学問全般に興味ない。けど、勉強はやればできると周りから耳にタコができるくらい言われていた。オレ自身もそうなんだろうなとは思っていた。もちろん、学者になるとかは無理だろう。ただ文官としてなんとかやっていくぐらいにはなれると……思いたい。


 あとは、家中の人間関係改善だな。


 これは最重要課題だろう。だってオレって学園卒業後は此処で働くからな。上司は兄上、御学友たちなんかは同僚だ。……でも、オレはもう既に皆に嫌われているのよねぇ。はぁ。まぁクソ生意気な態度を大人にも子供に取っていたからな。


 でもなぁ、第三次魔獣凶悪化とか王国の滅亡やらがあるんだよなぁ。


 どうしよう?マジで。第三次魔獣凶悪化が起きますってオレが触れ回っても、前からバカだったけどとうとう頭がおかしくなったかで終わるし。


 王国滅亡の対策っていっても、実は詳しい状況を知らないんだよね。


 趣味が人殺しだった妖剣は一ヶ所にとどまらず大陸中を転々としていて、王国滅亡の話を聞いたのもだいぶ北の方にいた時だったと思う。内乱だの戦に大敗しただの魔獣の大氾濫だの情報が錯綜していた。


 内乱とかそんな高度に政治的な問題をオレに言われてもねぇ……。


 うん、まあ、先に足元を固めとかないとな。


 そうだ、決して一番面倒なことを後回しにするわけじゃない。まずはちゃんと勉強して剣も頑張って人間関係も良くして信頼されなきゃね。オレ一人で王国滅亡を阻止するとか絶対無理だしな。


 一つ大きなあくびが出る。オレはまた寝返りをうった。はあ、言い訳が思いつかん。


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