2-17
帰りも行きと同じで、商人の荷馬車に乗せてもらえることになった。婆さんの伝手だ。
そして、リナがわざわざ見送りに来てくれた。最高だ。……フランクやエリックにスー家の家中の子たちも来てくれてるけど。
エリックがオレの腰にある魔剣を見て言ってきた。
「おい、デレク。それって高位魔剣じゃねーのか?」
おっ、バカのくせに見る目はあるな。だが、いい仕事をした。オレから言い出すと自慢しているみたいで嫌だったから、どうしようかな?と思っていたところだ。
「おう、まぁな」
「マジか……」
エリックは興味津々で、「なぁ、形状が変わるってホントか?」とか「剣身の色は?」とか聞いてきた。えらく興奮している。他の連中も集まってきた。
そのとき、ちょっとしたデモンストレーションのアイデアが閃いた。
「そうだ、エリック。これは重くなる系なんだ。ちょっと持ってみろよ」
オレがそう言って、鞘の中ほどを持ち顎の高さくらいで剣を差し出すと、うまい具合にエリックが手のひらを上に向けて両手を出した。
「重いってどれくらいだよ?つーか、これでオレが持てちゃったら、持ち主変更しちゃうんじゃね?」
ヘラヘラしながらそんなことを言うエリックの手に魔剣をソッと落とすと、オレは素早く手を引いた。「バチッ」という結構大きめの音と「あだっ!」というエリックの絶叫が重なる。オレはエリックが放り出した剣を空中で素早くキャッチした。傷がついたら嫌だからね。
両手を握りしめ、うずくまっているエリックに、オレは真面目な顔で謝った。
「あっ、ゴメン。ビリっと来る系だったわ」
「テメェ、ふざけんな」
エリックが涙目で顔を真っ赤にして怒鳴った。
オレはそれをまるッと無視して、剣を抜いて見せる。「おおう」という皆の感嘆の声が気持ちいい。
「うっすら光ってるね」
リナがそう言いながらのぞき込んでくる。いい匂いがした。
そうやって盛り上がっているなか、婆さんが来た。
「もう出るってさ。早く行きな」
「いや、もうちょっと……」
ギロッと睨まれた。風情のない婆さんだ。
しょうがないので、エリック以外に挨拶してから、「んじゃ、そろそろ行くわ」と言って、オレは馬車に乗り込んだ。
エリックがまだ喚いているのをフランクがなだめている。ガキだな。
リナが近寄って来た。いつもの笑顔だ。
「じゃ、また、学園で」
……まっ、そりゃ、バレてるわな。




