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流星の英雄【りゅうせいのアイアス】  作者: 真田らき
序章:星々の揺籃

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1:人類史概略


 「遠く…もっと遠くへ…」

 

 それが当時の人々の合言葉だった。


 人類が地球の青い揺籃(ようらん)を離れ、銀河の無限の闇へ飛び出したのは、22世紀末のことである。気候変動の猛威、資源の枯渇、人口爆発の圧力――これらの枷が、地球という唯一の故郷を牢獄に変えていた。科学者たちは必死に解決策を探り、核融合エネルギーや遺伝子工学で延命を図ったが、限界は明らかだった。宇宙への移住――それは夢物語から、生存のための必然へと変わった。


 転機は、22世紀初頭に訪れた。それは、スイス生まれの物理学者、エリック・シュタイナーが開発した『フォールド・ドライブ』と呼ばれる超光速航法技術の開発と、それを可能にした鉱物『アストロニウム』の発見である。

 この革新的な技術は、空間を「折り曲げる」ことで、光速の壁を突破したのだ。従来のロケット推進では数百年かかる星間旅行を、数日や数週間に大幅に短縮した。超光速航法フォールド・ドライブの原理は、量子真空エネルギーを利用して人工的なワームホールを生成するものだった。最初の実験では、火星軌道から土星圏への跳躍に成功し、人類は初めて「星の海」を渡る手段を手に入れた。


 

 超光速航法フォールド・ドライブの普及は、爆発的な移民ブームを引き起こした。

 地球連邦政府は巨額の予算を投じ、移民船団を組織。最初は比較的近隣の恒星系アルファ・ケンタウリやバーナード星へ向かった。そこに待っていたのは、地球型惑星や資源豊富な小惑星帯だった。移民たちはテラフォーミング技術で惑星を居住可能にし、ドーム都市や軌道ステーションを建設した。だが、地球からの距離が遠くなるにつれ、中央政府の統制は弱まった。移民たちは独自の文化を育み自治体を形成。やがてそれらは独立した国家へと成長した。


 

 時が進むにつれて、銀河の地図は加速度的に塗り替えられた。

 アルデバラン星系第2惑星、青く輝く星ハイデルを首都星としたカルデニア王国は、平和主義を掲げ、立憲君主制の下で豊かな国を築いた。

 一方、人口が140億人を超え、宇宙一の巨大国家であると同時に、覇権国家でもあるラマーン帝国は、その経済力・金融力・生産力を使い、周辺星系を次々と支配下に置いていった。

 アルメリア連邦は自由と資本主義の旗の下で広大な宙域を開発し、圧倒的な経済力と軍事力で、星間国家間の中での影響力と地位を確立した。

 ハン民国は技術力との文化力(ソフトパワー)を輸出することで小国ながら少なからず存在感を発揮していた。

 これらの国以外にも宇宙に数多存在する国家間は、超光速航法フォールド・ドライブ技術の恩恵で繋がりながらも、資源争いや領宙権を巡って常に緊張を孕んでいた。


 

 超光速航法フォールド・ドライブは人類を解放したが、同時に新たな枷を生んだ。超光速航法フォールド・ドライブや、超長距離通信ポータル・コムのエネルギー源である、希少鉱物アストロニウムが争いの火種となり、アストロニウムが豊富に存在する惑星や小惑星帯のような宝の宙域は、血塗れの戦場と化した。

 人類史を鑑みれば、これらの事象は必然といえるかもしれない。また、地球という母星を捨ててでも自らの生存と進化を願った人類が、宇宙という広大な場所へと飛び出してなお争いを止められないという事実が、人類の進化の限界を示しているのかもしれない。



 かくして束の間の平和な時代は終わり、人類同士の争いは、地球という小さな惑星から宇宙へとその舞台を移すこととなった。

 争いが起こると同時に、人々は新たな英雄の登場に期待する。平和が戦争を生み、正義が悪を生むように、皮肉な事に争いが英雄を生むからである。


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