第15話:深淵レイス第二形態──“魂喰いの声”
“デュアル・ブレイク”が直撃した瞬間――
深淵レイスの胸が裂け、光と黒が爆ぜた。
『……ギ……ァ……ッ……!!』
影の身体が崩れかける。
(……倒した!)
そう思った――その刹那。
空気が“止まった”。
冷たい息が、背骨を這い上がる。
『――面白い。』
声だ。
影とは違う。
もっと深い。
もっと原始的な。
“底”から響くような声。
(こ……れ……)
深淵の主の“声”だ。
◆
深淵レイスの裂け目から、
巨大な黒い手が“内側”から突き破った。
『まだ死なん。
“鍵の器”を試すのは……ここからだ。』
「ルイ!!退がれ!!」
ユリウスが叫ぶ。
ミネルも剣を構える。
だが――間に合わない。
深淵レイスの身体が“膨張”し始めた。
骨格が伸び、
影の膜が全身に張り付き、
口が耳元まで裂ける。
第二形態。
“深淵レイス:ソウルイーター形態”
◆
空気が一瞬で変わった。
重い。
喉が焼ける。
(……魂が……吸われてる……?)
セリアが悲鳴を上げて膝をつく。
「ルイっ……息が……できない……」
「セリア!!」
ルイはセリアを抱き止め、光核に触れた。
白い光が一瞬強く灯る。
(耐えてる……ギリギリ……!)
◆
その瞬間、ラザールの声が飛ぶ。
「ルイ!!“第二形態”は魂狙いだ!!
深核だけじゃ防げない!!
光核を前に出せ!!」
「出す!?どうやって!!」
「お前ならできる!!!」
(根拠ないだろそれ!!)
だが――やるしかない。
◆
深核と光核が胸の奥で“ぶつかる”。
意識が真っ白になりそうな中、
ルイはセリアの手を握った。
「セリア……光、貸してくれ!!」
「……ルイが……呼んでる……!」
セリアの胸から光が溢れ、ルイへ流れ込む。
黒と白が融合する。
『……出る……出る……出るッ!!』
ルイの背中から光と影の翼のようなものが一瞬だけ広がった。
「いける……!!
これなら……第二形態でも――!」
◆
深淵レイスが口を開いた。
空間が凍る。
『■■■■■■■■■■■■!!!!』
“魂喰いの咆哮”。
世界がぐにゃりと歪む。
ユノが叫ぶ。
「ダメ!!あれは――
魂そのものを削る攻撃!!」
ミネルが後退しながら叫ぶ。
「受けたら終わる!!防御魔法が効かないタイプ!!」
◆
ルイが前に出た。
影と光が混ざり合った技。
「《双核防壁》ッ!!」
光が半球を描き、
その裏側に黒の線が刻まれた。
咆哮が直撃する。
世界が“割れた”ような音。
光が砕け、黒が唸る。
(く……っ……!!
押さえ込む……!!
絶対に……!!)
◆
『おもしろい。
ならば――もっと喰らえ』
深淵レイスがさらに膨れ上がる。
第二形態の“真の姿”。
(まずい……!
このままじゃ……耐えられない!!)
◆
その時。
「――ルイッ!!」
セリアの声。
少女の光が、ルイの背にそっと重なる。
「ルイ……負けないで……
わたし……ルイがいないと……いや……!」
光核が共鳴する。
ルイの内側で――白が爆ぜた。
◆
「……負けるかよッ!!!」
光と影が交わり、
ルイの右手に“刃”が形成される。
黒と白、両方を帯びた刃。
“デュアルブレード”
「行くぞ……!!
俺の世界は……まだ始まってすらいないんだよ!!」
ルイは飛び込んだ。
深淵レイス第二形態――
真正面から斬り裂くために。




