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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第12話:深淵の“触手”が残したもの──王都、目覚める影

深夜の静寂は、もう完全に消えていた。


“特別隔離寮シェルター・ゼロ”の廊下には

護衛兵、魔導師、監察官が集まり、

まるで小規模な作戦会議のように騒然としている。


ラザールは影の残滓を調べながら、低く呟いた。


「……やはり、“本体”が近いな」


(本体……? 影獣より、もっと上が……?)


ルイの背中が冷たくなる。


セリアはまだ息が荒いまま、ルイの袖を掴んでいた。


「さっきの影……普通じゃなかった……」


「うん。あれは“呼んでた”」


「呼んでた……?」


「俺を。“鍵”として」


 セリアはぎゅっと手を強くした。


「……勝手に連れて行かせないから」


(いや……かわいいけど言葉が重い……!)


 



その時、護衛少女のルナが走ってきた。


「ラザール先生!

 影反応の追加報告、入りました!!」


「言え」


「王都警護区の北壁……

 “外側から”影の侵入痕跡が見つかりました!」


「……外側から、だと?」


(え……待って。王都の外から?)


ルイは思わず声を漏らした。


「影って……外から入れるの?

 王都って、強力な結界が張ってあるんじゃ……」


ノックスが震えながらメモを書き続ける。


「普通は絶対に無理です。

 けれど今回は“影門の欠片フラグメント”を媒介してます」


「つまり……結界を迂回して侵入した、ということだ」


ラザールの顔が深刻に変わった。


「深淵は――すでに王都へ“手”を伸ばしている」


セリアが息を呑む。


「ルイ……やっぱり危ないよ……!」


 



ラザールが二人へ歩み寄った。


その気配は、教師というより――

“戦場の指揮官”。


「ルイ。セリア。」


「……はい」


「お前たちを守る体制は強化される。

 だが――同時に、“戦力”として扱う」


「やっぱりそうですよね!!」


「影門事件の時に言っただろう。

 双核は、この世界で唯一“深淵の触手”を追い払える。

 お前が狙われる理由もそこにある」


(唯一……)


(俺しか……いないのか)


胸が少しだけ重くなる。


そんなルイの手を、セリアがそっと握る。


「ルイ。わたしも……ついていくから」


(……反則すぎるだろそれ)


ラザールの視線が一瞬だけ二人の手に向いたが、何も言わなかった。


 



だが次の瞬間、

ラザールの雰囲気が――“変わった”。


影が、彼の背に一瞬だけ揺らめく。


低い声で呟く。


「……深淵が動くということは――

 “天使側”も、必ず動く」


「天使……?」


「セリア、お前の方にも“異常反応”があった。

 あれは光核が“覚醒兆候”を始めた証だ」


「えっ……私……?」


「近いうちに“教会側”から接触が来る。

 おそらく、巫女候補の選定を理由に」


(うわ、絶対面倒くさいやつ!)


セリアは怯えたようにルイへ寄った。


「……ルイと離れたくない……」


「離れさせるつもりはない」


ラザールの声は、妙に“強かった”。


 



そのとき――寮の奥で、


“パン! パンパンパン!!”


魔術信号の音が鳴る。


ルナが叫ぶ。


「北壁で第二影反応!!

 しかも、さっきのより――“大きい”!!」


「もう次……!? 早すぎ!!」


ノックスが青ざめる。


ラザールが短く言い放つ。


「――全員配置につけ。

 今夜、王都警護区は“本格的に狙われている”」


ルイとセリアを振り返る。


「お前たちも来い。

 避けられないなら、迎え撃つ方が早い」


深核が共鳴する。


光核が震える。


――逃げられない。


――もう始まってしまった。


ルイは息を吸う。


「……分かった。

 俺も行く」


セリアもすぐに続く。


「ルイと……戦う」


ラザールが短く頷いた。


「――双核、前へ」


こうして、


王都に来てたった一晩で、

ルイは“第2の襲撃戦”へ向かうことになった。


影の数は増え続ける。


深淵の“手”は確実に伸びてくる。


そして、

その裏で――別の勢力も動き始めていた。


次回へ続く――。

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