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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第11話:影の侵入者──“王都警護区での初戦闘”

 夜。


 “特別隔離寮シェルター・ゼロ”は静寂に包まれていた。


 だがそれは、平和の静けさではない。


 空気が――妙に重い。


(……深核、ざわついてる)


 ルイは胸の奥で“黒”が微かに脈動しているのを感じていた。


 隣では、セリアも落ち着かなげに毛布を握っている。


「ルイ……なんか……嫌な感じする」


「俺も。黒の方が……うずうずしてる」


「黒って……深核のこと?」


「うん」


 セリアはルイの手をそっと握りながら、小さく息をする。


「じゃあ……ちゃんと押さえる」


 その手を握った瞬間、ルイの中の黒が落ち着く。


(……本当にお前、すごいな)


 



 ――その時、


 “カン……ッ”


 金属が転がるような音が、廊下からかすかに聞こえた。


 セリアがビクッと震える。


「ルイ……いま……」


「聞こえた」


 ルイはベッドから静かに降り、扉の前へ歩く。


 ちょうどそのとき。


 ドンッ!


 扉の外で、何かが“跳ねた”音がした。


(……影、だ)


 確信と同時に黒核が反応し、ルイの視界が一瞬だけ暗く染まる。


 



「下がれ!!」


 鋭い声。

 扉を開けた瞬間、廊下の中央に――


 黒い“裂け目” が広がっていた。


 その前に立つのは、護衛少女ルナ。


「侵入反応! 中規模クラス!!」


「影門の……欠片フラグメントか……!」


 ノックスが怯えながら呟く。


 裂け目の奥から、黒い影が“ずるり”と床を這い出してくる。


 四足獣のような形状。

 だが輪郭が揺れ、重さを持たず、光を吸い込む黒。


 ルイに視線を向けた瞬間――影は口を開いた。


『……カギ……』


『……鍵……よこセ……』


(こいつ……俺、狙いなのか……!)


 



「セリア、下がれ!!」


「でも、ルイが……!」


「大丈夫、絶対に離れない!」


 セリアの手を掴んだまま、ルイは一歩前へ出た。


 深核が震える。


(黒が……呼ばれてる……でも……押されてない)


 逆だ。


 押し返している。


(……これが、“名前を得た”効果か……?)


深核アビスコア

名前を得たことでその存在が“固定”され、

以前より簡単に暴走を抑えられている。


(よし……いける)


 



 だが影は容赦なく迫る。


 床板が黒く侵食されながら、獣の形を歪にしながら突進する。


「ルナ!!」


「分かってる!!」


 ルナが二刀を抜き、回転しながら突撃。


「――“疾閃しっせん!”」


 短剣が影を切り裂くが、


ズルッ……


 切断面がすぐに戻る。


「うそっ……!」


「影は“物理耐性高い”ってユリウスが言ってたろ!!」


「今それ言う!? あーもう!!」


 



 影はルイへ一直線。


(くる!)


 ――その瞬間。


「ルイに、触るなぁぁああ!!」


 セリアの叫びとともに、


 光が炸裂した。


 白く暖かい光が、影を“弾き飛ばす”。


 影が壁に叩きつけられ、形を崩しながら呻くように揺れる。


(……セリア、完全に覚醒寸前じゃん)


「ルイは……絶対に渡さない……!」


 震えているが、その瞳は強い。


 



「ルイ、食い止めろ!!」


 ラザールが駆けつけてきた。


「戦えるか?」


「やってみる!」


 ルイは息を吸い、手を影の方向へ突き出す。


(深核……少しだけ……!)


 黒が、軽く光り――


 影の足を“縛った”。


(……できた……!)


 影は動きを止め、もがき、軋んだ声を上げる。


『……ギ……キィ……』


 その間にラザールが飛び込む。


「“断影ブレイク”!」


 影が、真っ二つに裂けた。


 闇が霧散し、フラグメントは消滅する。


 



 静寂。


 倒れ込むセリアをルイが受け止める。


「セリア、大丈夫?」


「うん……ちょっと……光が勝手に……」


 ラザールが近づく。


 さっきの獣のような目とは違い、いつもの穏やかさへ戻っていた。


「ルイ。セリア。よくやった」


 彼はふと、影の裂け目があった場所を見る。


「……王都警護区に、侵入を許したか」


 表情が明らかに険しい。


 



 ノックスが震える声で言う。


「こ、これって……ただの影じゃないですよね?」


「当たり前だ」


 ラザールは低く告げた。


「――これは、“深淵本体”の“触手”だ」


(……っ!)


「お前たちを“試している”」


 



 ラザールはゆっくり振り向き、ルイを見据える。


「双核。

 ……本格的に狙われ始めたな」


(……俺……本当に“鍵”になっちまってるんだな)


 



こうして――

ルイが王都に来て最初の夜は、


“深淵の触手”との戦闘で幕を開けた。


次の襲撃は、もう止まらない。

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