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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第9話:王都警護区へ──“双核”特別隔離寮へ入居

 馬車の車輪が石畳を叩き、低く響く。


 王都アルディア。

 その中心部にある“王都警護区ロイヤル・ガードセクター”は、外の喧騒とは別世界だった。


 静か。

 澄んだ空気。

 衛兵の眼光は鋭く、街の人々とは明らかに違う“訓練された匂い”が漂う。


(うわ……ここ完全にVIP専用区画じゃん……俺、なんでこんな所連れてこられてんだ……)


 ルイは半ば現実逃避しつつ馬車を降りた。



「到着だ、ルイ。セリア。」


 ラザールが軽く顎をしゃくる。


 だが、その表情は一瞬――影のように揺れた。


(今の……?

 なんか“黒”と似た気配……)


 ほんのコンマ数秒。

 けれど双核の感覚には誤魔化せないほど、鋭く深い“異物の気配”。


(やっぱラザール先生……普通じゃないな)


 問いただす前に、足音。



「ようこそ、“双核隔離寮”へ。」


 現れたのは――


ミネル=クレスト

王都軍直属・近衛師団所属。

淡金のショートヘア、無駄のない動き。


「アインハルト総司令の命だ。

 あなたたち二名は、しばらくここで保護・監視下に置かれる。」


(え、いきなり総司令の名前!?

 どんだけ俺、規模大きくなってんだ……)


リュミア=フェリシア

教会派遣。

セリアと同年代。

白い修道服、感情を一切見せない瞳。


 神官の男が淡々と付け加える。


「光核管理は“シェルナ=グレイス審問官”の命により行う。

 彼女は……セリア・リュミアを特に重要視している。」


「え……わ、わたし……?」


 セリアがルイの袖を掴む。


(光核の少女の扱い、ガチで重いんだな……)


ウィノ=リード

監察局の末端所属。

だが、子どもとは思えない鋭い目と手札の多さ。


 彼はニヤリと笑う。


「オルファス局長からの伝言。“勝手に死ぬな”だってさ。」


(あの人ほんと怖いな!?)



寮の内部は驚くほど広かった。

まるで小さな屋敷。

訓練室、対魔術障壁、影反応感知装置。


(なんか……刑務所と高級ホテルの中間みたいな……)


 するとラザールがボソッと言う。


「ここは元々、“双核持ち”を収容するために造られた。

 長い間、空室だったがな。」


(双核……?

 やっぱりその名称、正式にあるんだ……)


 ミネルが説明を続ける。


「深核を帯びた者“深核保持者アビス・ベアラー”。

 光核を持つ者“光核保持者ルーメン・ベアラー”。

 君は――両方。」


 彼女は少し息を呑む。


「“双核のデュアル・コア”。

 王国史でも前例は一つしかない。」


(え……前例? それ初めて聞いたんだけど!?)


「その詳細は近いうちに“レフトナー副団長”から説明がある。

 魔導師団の研究対象だ。」


(アマリー・レフトナー……

 王都最強の頭脳って言われてる人だよな)



寮に案内されながら、ルイの胸がざわついた。


(……なんか、黒が……落ち着かない)


 深核アビス・コアが微かに脈打つ。


 同時に。


 セリアが胸を押さえて立ち止まる。


「ル、ルイ……なんか……寒い……」


「大丈夫か?」


「うん……でも……光が……揺れてる……」


 セリアの光核ルーメン・コアが反応している。


 その瞬間――



“カラン……”


 寮の奥から金属が落ちるような音。


 全員が反射的に振り向いた。


 ウィノが即座に呟く。


「……出たか。」


 ミネルは短剣を抜く。


「影反応――微弱だが、確実に“触れ”ている。」


(え、もう来るの!?

 王都の中心区画なのに!?)


 ラザールが前へ出る。


 その横顔は――


 いつもの柔和な教師ではない。


 “獣”のような目。


(――まただ。

 さっき一瞬見えた“裏の顔”……あれが完全に出てる)



そして、誰よりも早く気づいたのはルイ自身だった。


(深淵が……こっちを覗いてる)


 背中を冷たい指でなぞられたような感覚。


 黒核(深核)が反応する。


 遠くで、低い声がする。


『……ルイ……みぃつけた……』


(っ!!)


 心臓が跳ねた。


 セリアが震えながら手を握ってくる。


「ルイ……やだ……」


「大丈夫。俺がいる。」


 その一言で、セリアの光がポッと温かく灯る。



だが――

その瞬間。


影が、寮の廊下で“伸びた”。


「……来たな。」


 ラザールの声が低く響く。


「歓迎の挨拶だ。

 “王都編”――ここから本格的に始まるぞ、ルイ。」

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