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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第5話:影獣との初決戦──深核暴走前兆と“二つの光”

 影穴から溢れ出した黒霧は、

 まるで世界を飲み込む前触れのように蠢いていた。


 その中心から――

 “それ”は姿を現した。


 巨大な四足獣。

 骨のような脚、霧の肉体。

 眼の代わりに、不吉にゆらめく赤い光。


「……影獣シャドウビースト……上位種だ。」


 ユリウスが低く呟く。


「こんなの王都で出てくるなんて……」


 祓魔師たちの顔色が一気に変わった。



 影獣は咆哮した。


 地面が震え、空気が歪む。


(ヤバ……なんか今までのと全然違う……

 黒の濃度も……“圧”も……)


 深核が、勝手に震え出す。


『……喰わせろ……

 あれは“影界の真肉”……』


(うわキタ!! 黒の声!!)


 胸の奥で黒が暴れる。

 周囲の影が寄ってくる。


「ルイ!!」


 セリアが必死に腕を掴む。


「光核で押さえるから、絶対に離れないで!!」


(セリア……!)


 彼女の胸から、白く柔らかい光が広がる。

 黒い霧がそれに触れるたび、

 “ジュッ”と燃えるように消えていった。


 だが影獣はさらに声を響かせる。


「――――ォォォォアアア!!」


 地面が弾け飛び、近衛兵が吹き飛ばされた。


「は、速い!!」


「避け――ぐああっ!!」


 兵士数名が影の爪に薙ぎ払われる。


 リュミアが叫ぶ。


「光属性陣、展開ッ!!」


 王女の足元に魔法陣が広がり、

 眩い光が結界のように広がる。


 その光を浴びた影獣は一瞬怯み――

 だがすぐに咆哮した。


「効きが……薄い!?

 殿下の光でも……!」


「この影獣……“深淵寄り”だわ……!」


 リュミアが歯を噛む。


(深淵寄り……つまり“俺の黒”と同質ってことか!?)


 深核がより強くうずく。


『ゆけ……

 あれは“われ”の欠片……』


(何で俺に語りかけてくんだよ……!!)



 ユリウスが動いた。


 影のように滑り込み、

 影獣の顎下に短剣を突き立てる。


「“影穿シャドウピアス”!」


 霧の肉体が裂け、黒い液体が飛ぶ。


 だが影獣は怯まない。

 ユリウスを丸呑みにしようと口を広げた。


「ユリウスさん!!」


 ルイが咄嗟に手を伸ばす。


 瞬間――黒が漏れた。


(う……!?)


 影穴の奥から黒い気配が“応答”し、

 影獣の攻撃が一瞬止まる。


「……ッ!?」


「何が……今の……?」


 祓魔師たちがざわめく。


 ユリウスはその隙を逃さず離脱した。


「ルイ……今のはお前か……?」


「……たぶん、黒が勝手に……」


「勝手に!? 化け物かお前は!!?」


 近衛の一人が叫ぶ。



 影獣が再び吠える。


 深核が反応――

 黒がさらに漏れそうになる。


(やべ……このままだと暴走する……!)


「ルイ!! 見て!!」


 セリアがルイの手を握り、

 光核を最大まで展開した。


光核ルーメン・コア

 “安定域まで上げる……!!”」


 彼女の身体から輝く光が放たれ、

 黒が一気に押し返される。


「ぐっ……!」


「ご、めん! 疲れるけど……

 でも絶対、深核アビス・コアなんかに負けない!!」


(セリア……!!

 お前の光、俺の黒を抑えてくれる……!)


 リュミアが前に出る。


「二人とも……!

 あなたたちの“核”の力……借ります!!」


「え……?」


 リュミアは二人の手の上に手を重ねた。


 淡い光が三人の間に流れ込む。


「光核……“共鳴リンク”……?」


「王家の秘術です。

 光の核を、複数で結び合わせる技。」


(そんな秘術があるのか……!!)


「いきますわ――!」



 三つの光が重なり――

 巨大な魔力の奔流がルイの深核へ流れ込む。


「う、うわ……っ!!?」


 深核の暴走が、一気に抑制される。


『……ガ……ァ……

 白……に……縛ら……』


(いける……! セリアとリュミアの光が……黒を縛ってる……!)


 ルイが息をついた。


「……ありがとう。

 これなら……いける……!」


 ユリウスが叫ぶ。


「影獣が来るぞ!!

 全員構えろ!!」


 ルイは前に出る。


「俺が行く!!」


「ルイ!? 危ないよ!!」


「大丈夫。

 ――今なら、“黒”を使える。」


 深核が静まり、

 白と黒が均衡を取った。


 影獣が飛びかかる。


 ルイは拳を握り、低く呟いた。


深核アビス・コア――

 第一制御形態《フェーズ1》。」


 黒が、静かに拳へと集まる。


「行くぞ……!」


 王都の中心で、

 ルイの初めての“深核制御”が始まった。

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