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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第2話:王都“エルディア”の門──揺れ動く視線、囁かれる“鍵”の名

 王都へ向かう馬車は揺れながら、

 昼下がりの陽光を受けてきらめく大河を越えていった。


「すげぇ……」


 まるで空に届く塔のように伸びる城壁。

 巨大な水門。

 幾重もの魔力障壁が淡い青を放つ。


 これが――人類最大の都市、エルディア。


 セリアが目を丸くする。


「王都……本当に大きい……!」


 フェンリスは尻尾をぴんと立てて警戒。

 ユリウスは腕を組み、城門を睨みつけた。


「気を抜くな。

 影の残滓は、都市の中にも潜む。」


(やっぱりそう来るよね……)



 馬車が門へ近づくと、衛兵が慌てて姿勢を正した。


「し、シャドウハンター副隊長!?

 本部からの迎えですか!?」


「違う。

 俺は、“この少年の護衛”だ。」


「少年……?」


 衛兵がルイを見る。


 その瞬間、ルイは分かった。


(――見てる目が、完全に“特別扱い”だ)


 好奇、恐怖、あやしみ……

 全部混ざった視線。


 門番たちの囁きが聞こえる。


「……あれが……影門事件の……」

「鍵候補だって噂の……」

「王家も教会も動いてるらしいぞ……」


(うわぁ……すでに噂回ってんのか……)


 セリアがルイの腕を握る。


「大丈夫。ルイはルイだよ。

 みんなが何を言っても。」


「ああ。ありがとう。」


 ユリウスは鼻を鳴らした。


「気にするな。

 英雄も怪物も、この街では紙一重だ。」


(フォローになってないんだけど……)



 門がゆっくり開く。


 視界に飛び込んだのは、巨大な市場と石造りの街並み。

 魔導街灯が昼でも輝き、至る所を冒険者や貴族が歩く。


「すご……人多すぎない?」


「これでも平日だぞ。」とユリウス。


 ラザールが軽く肩を叩く。


「ルイ、気をつけろよ。

 王都は良い奴も悪い奴も山ほどいる。」


「悪い奴の方が多い気がする……」


「正しくは“多い”だ。」


(うわ……この街で生きてく自信なくなってくるな……)



 瞬間――空気が変わった。


 “視線”が向けられる。


 いや、視線というより…… 観察されている。


 王都の石畳を歩いた数歩の間で、

 三つの気配がルイを測った。


(……今の……)


 ユリウスが低くつぶやく。


「王城の監視魔導師……

 教会の預言官……

 そして……影の密偵か。」


(え、全部!??)


 ラザールが苦笑する。


「人気者だな、ルイ。

 着いてすぐこれか。」


「勘弁してくれ……!」



 そのとき、馬車の屋根の上。


 黒い影が、静かに身を伏せていた。


 人ではない。

 だが魔物でもない。


 “影の王”の眷属。


「……うつわ

 よくぞ来たな。

 本当の“扉”の前へ。」


 赤い瞳がルイを射抜いた。


「間もなく、試練が始まる。」


 影はスッと霧に消える。


 その存在には、誰も気づかなかった。


――この王都到着の瞬間が、

ルイの運命を大きく動かす最初の分岐となる。

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