第28話:影狩り試験・後半戦──“影の胎動”
光核暴走を抑えた直後。
森の奥で――“カサリ”と音がした。
ユリウスの顔が険しくなる。
「来たか……っ。影の残滓の本体……!」
木陰から二足歩行の影が三体、ぬらりと現れる。
黒い霧をまとい、瞳だけ赤く光る敵。
フェンリスが前に出て唸る。
「ガァァ……!」
「フェンリス、行かせるの?」
「当然だ。影の眷属は、“主”を守る」
ルイは首を横に振る。
「ダメだ。一緒に行く。」
ユリウスが思わず吠える。
「お前、死ぬ気か!」
「影は俺に寄るんだろ?
だったら、逃げても意味がない。」
◆
影が飛びかかった。
ルイは初めて“戦う覚悟”で深核を開く。
黒い波紋が両手にまとわりつき――
【影喰い(シャドウイーター)】
発動。
黒い爪が形成され、影の胴を斬り裂く。
深核の力は、本来のルイが扱うには危険。
だがフェンリスが横から“力の流れ”を制御する。
(……あ、こいつ……手伝ってくれてるのか)
「ガァ!」
フェンリスが残り二体の影を押しとどめる。
ユリウスが叫ぶ。
「ルイ、右! 影が潜った!!」
(潜った?)
地面から影が飛び出す。
咄嗟に体が動き――
深核が波紋となり“空間ごと裂いた”。
ズシャァアッ!!!
影の胴体が斜めに切り裂かれ、黒い霧となって消失。
「……今の……」
「深核流。
本来は一定以上の魔族しか使えん」
「いや、俺そんな大層な……」
「お前はもう普通じゃない!!」
◆
最後の影に向かおうとすると、前にセリアが立った。
「ルイ……今度は、私の番」
光核が静かに輝く。
暴走ではない。
意識的に、光を扱おうとしていた。
(おい、いけるか……?)
「いける。
さっきルイが助けてくれたから……
光が、“ちゃんと聞いてくれる”」
セリアは手を前に向ける。
【光輪結界】
光の輪が爆ぜ、影を浄化の光で呑み込む。
黒い霧は一瞬で吹き飛び――
森が静寂に戻った。
「セリア……」
「ふふ、できた……ね?」
少女の笑顔に、ルイは胸が熱くなる。
ユリウスは深く息を吐き、
そして――頭を下げた。
「ルイ・アーヴェント。
そしてセリア・フローレ。
二人の実力……確かに見届けた。」
◆
影狩り試験・後半戦。
――合格。
だがその影で、別の勢力の気配が動き始めていた。
黒い霧の向こうで、誰かが呟く。
「……ルイ・アーヴェント。
本当に“鍵”だったとはな……」




