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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第22話:覚醒の余波──深核の“望み”が囁く

 影狩り試験場の大地は、まだ震え続けていた。


 深核が実体を持ちかけた余波。

 光核が暴れた爆ぜ。

 そして、ルイの初めての“二核展開デュアル・コア”。


 その全てが重なった結果だ。


 吹き飛ばされた影獣たちは黒い霧に戻り、風に溶けて消えていく。


(……やべぇ……)


 ルイはゆっくりと拳を握った。


 黒の力がまだ皮膚の下でざわつき、

 光の力がそのたびに押し返している。


(完全には収まってねぇ……)



「ルイ!!」


 駆け寄るセリアが、勢いのまま抱きついた。


「戻ってきて……本当に……本当に……!」


「お、おう……」


 涙で光る瞳。

 その深い安堵を前に、ルイも気恥ずかしさを隠せない。


(……なんつーか……可愛いな……)


 だが次の瞬間、セリアは意外にも強い力でルイを離した。


「バカ! どこ行ってたの!?

 ルイ、意識が……全然戻らないから……!」


「いや、俺もよくわかんないんだけど……」



ユリウスが近づく。


 その表情は驚愕と警戒と興奮が入り混じった、複雑なものだった。


「……これが、“深核(Abyss Core)”……か」


「知ってるの?」


ユリウスは短くうなずいた。


「伝承だ。“影の核”を持つ者は、極稀に現れると言われている。

 だが、実際に見るのは……初めてだ。」


 そして冷たい声に戻る。


「ルイ。

 お前の黒は……“呼ばれている”。

 それは喜ぶべきことではない。」


「……分かってる。」


「いいや、分かっていない。」



 その瞬間。


 ルイの視界の端で、黒が揺れた。


 影が、形になりかけていた“あれ”が。


 柔らかい声で囁く。


◇【深核の声】

『器よ……まだ足りぬ。

 もっと、もっと……呼び戻せ。』


(……まただ)


 深核が——喋っている。


『名を……与えよ。

 名があれば、我は“形”を得る。

 お前の影として……存在できる。』


(……影、か)


 この世界にもし召喚獣という概念があるなら、

 深核は“影の召喚獣”に近いのかもしれない。


(名前……)


 だがその囁きは、心の奥でくすぶる程度。

 深核は本気で出てこようとはしていない。


(さっきの覚醒で……力を使いすぎたんだな)



ラザールが静かに言う。


「ルイ。

 お前の中の黒と光……“二つのコア”は、確かに強い。

 だが、今のままでは飲まれる。」


ユリウスも続ける。


「名を与えるのは悪くない選択だ。

 名は契約だ。“縛る”力を持つ。」


「……縛る?」


「そうだ。

 深核が完全覚醒したら、次に主導権を取るのは黒だ。

 お前じゃない。」


(なるほど……そういうことか)


 深核に名前を与える=主従を固定できる。


セリアも不安げに口を開く。


「でも……ルイの“黒”って……危険なんだよね?

 暴走しないようにするための名前……とか……?」


「まあ、そんな感じかな」


「……じゃあ……私も考えたい」


「え?」


「だって……ルイの力なんだよ?

 私も……一緒に名前考えたい……!」


(……そう来るか)



ユリウスは腕を組む。


「だが名をつけるのは今ではない。

 お前の精神が安定していない。

 深核も疲弊している。

 今つければ“適当な名前”になる。」


ラザールも頷く。


「いずれ“名付けの儀”を行う時が来る。

 焦る必要はない。」


(名付けの儀……そんなイベントあるんだ……)



ユリウスは試験場を一瞥し、短く言った。


「――影狩り試験は、第二段階へ移行する。」


「第二段階……?」


「お前の深核は初めて牙を剥いた。

 ならば次は、“光核(Lumen Core)”の制御だ。」


セリアが目を丸くする。


「えっ!? 私も!?」


ユリウスは冷静に頷く。


「二人はセットで監視対象だ。

 ルイだけを鍛えても不十分。

 光核の暴走こそ、この試験場最大の危険だからな。」


(いや光核のほうがヤバい扱いなの!?)


セリアは頬を膨らませる。


「私、暴走なんてしないもん!」


「さっき爆ぜてたのが見えんかったのか?」


「み、見えてたけど……!」


 ルイは笑った。


「な、セリア。

 一緒に頑張ろうぜ。」


セリアは一瞬驚き、それから嬉しそうに笑った。


「……うん!」



こうしてルイとセリアは——


深核(Abyss Core)の“名付け”

光核(Lumen Core)の制御訓練

影狩り試験・第二段階


三つの難題へ、同時に挑むことになる。


その先に待つのは――


まだ誰も知らない “双核持ち(Dual Core)”の真価だった。

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