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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第20話:白核の疼き──セリアに訪れた“光の代償”

 影獣が霧散した直後。


 訓練場には、まだ黒い魔力の名残が漂っていた。

 ルイの深核が暴れた余韻は、空気そのものを重たくしている。


 だがその中で――

 セリアだけが、胸元を押さえて息を荒げていた。


「っ……はぁ……はぁ……」


「セリア……!?」


 ルイが駆け寄ろうとすると、

 彼女の身体が淡く発光した。


 白い光。

 だがいつもの柔らかさとは違う。


 痛みに震える光。


「セリア! 大丈夫!?」


「だ……いじょ、ぶ……

 ただ……胸が、熱いの……っ」


(これ……まさか……)


 ユリウスが叫ぶように言った。


「離れろ!

 光核が“過負荷”を起こしている!!」


「なっ……!」



 白い光が一瞬だけ強くなる。


 セリアの周囲へ、小さな羽のような光が舞う。


(これ……前に一度だけ見た……

 巫女覚醒の“片鱗”……!)


 ラザールが素早く駆け寄り、手をかざして状態を確認する。


「……ルイの深核を押し返した反動だ。

 白核が一時的に“拡張”しようとしている。」


「どうすればいい!?」


「落ち着け。命に関わるものではない。

 だが……これはもう隠し通せないぞ。」


 ユリウスが眉を寄せる。


光核ルーメンコアの使い手。

 王都でも“聖職者級”の扱いになる。」


(終わった……

 セリアまで国家機密入りしちまう……!)



 だがセリアは震える手でルイの袖を掴んだ。


「……ルイ、行かないで……

 今、離れたら……やだ……」


 涙目で必死に。


 ルイはそっと手を重ねた。


「行かない。

 俺はずっとそばにいる。」


 その一言で、セリアの光がふっと落ち着いた。


 白い羽の光が収まり、胸元の疼きも弱まる。


 ユリウスが驚いたように目を細める。


「……ルイの魔力が、セリアの核を“安定化”させている……

 これは、かなり異常な現象だ。」


ラザールも同じく驚きの表情。


「深核と光核……

 本来交わらぬものが、互いに“支え合う”?

 まるで魂レベルで紐づいているようだ。」


(いやそんな簡単に一蓮托生みたいな言い方されても!!)



 セリアは弱々しくも笑った。


「……ルイが触ると、落ち着くんだ……

 なんでだろ……」


(そ、それ俺が聞きたい!)


 ユリウスは腕を組んで思案した。


「“鍵”……か。

 影も光も引き寄せる存在……

 お前たち二人の関係は、思った以上に危険だな。」


「危険って言うな!!」


「事実だ。」


(ぐぬぬ……!!)



 ユリウスは深く息を吐いた。


「いいだろう。

 影狩り試験は――ルイもセリアも“合格”だ。」


「え……私も……?」


「光核の出力を見れば十分だ。

 むしろ、お前の方が価値は上かもしれん。」


 セリアは困惑したようにルイの袖にしがみつく。


「そんな……わたし、ただ……ルイを助けたくて……」


(お前は本当に……すごいよ……)



 ユリウスはラザールと目を合わせると、静かに告げた。


「王都への移動日程を前倒しする。

 二人の核の反応がここに留まるほど、影が寄る。」


本命門ホンモンが動く可能性も高い。」


 ラザールの言葉にユリウスも頷く。


「出発は――明朝。

 急いで準備しろ。」


「明日!? 早すぎるだろ!?」


「影は待たん。」


(いや影ってそんな積極的かよ!!)



 セリアが小さくルイの服を引っ張った。


「ルイ……大丈夫かな、わたし……

 なんか……怖いの……」


 不安に震える肩。

 それでもルイの手を離さない。


「大丈夫だ。

 セリアが光なら――俺はその影を押さえる。」


「うん……信じる……」


(やめてくれ……そんな可愛い言い方……!)



こうして二人は――


深核と光核、初めて“名を持った力”として認識され、

同時に王都へと向かう運命を背負う。


だがこの時、誰も知らなかった。


この翌朝、

王都へ向かう道で

影狩り部隊ですら想定しない“最初の異変”が起こることを。

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