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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第17話:影狩り試験──“黒”の呼応と、光核の震え

 学院裏庭の空気は、いつもより冷たかった。


 朝の光が差しているのに、空気だけが妙に重い。

 ルイとセリアが到着すると、すでに“影狩り部隊”が並んでいた。


 黒い軽装、防具は最小限。

 動きに特化した暗部集団――シャドウハンター。


 その中心に立つのは、昨日の男。


「来たな。ルイ・アーヴェント。」


 副隊長、ユリウス・ヘイゼル。


(やっぱりこの人、存在感だけで怖いんだよな……)


 セリアはルイの袖をぎゅっと掴む。


「ルイ、本当にやるの……?」


「やんない、って選択肢がなかった。」


「……だよね。」



ユリウスが試験の内容を告げる。


「この裏庭には、昨夜捕獲した“影の残滓ざんし”が三体いる。」


「えっ、捕まえるんだ……?」


「生け捕りにするのは骨だがな。

 暴走する前なら、弱い影もいる。」


(軽い口調で言ってるけど、一般人には絶対無理だろ……)


ユリウスは続ける。


「君には“黒”がある。」


(やっぱり見えてるのか……!)


「影はそれに引き寄せられる。

 だから――試験内容は簡単だ。」


「簡単……?」


ユリウスの短剣が地面を“コツン”と叩いた瞬間。


 裏庭の奥が、ぬるりと揺れた。


 黒い影が地面からあふれ出し、三方向に散る。


「――この三体を、逃がさず倒せ。

 ただし、今回“魔法は禁止”だ。」


「魔法禁止!?」


「影狩りは基本、近接戦闘だ。

 魔法頼りでは、生き残れない。」


(いや、それ俺の戦い方ほぼ封じてない!?)



 影の残滓は、黒いもやと獣の輪郭が混ざったような形だ。

 目は赤い光点だけ、動きは速い。


「セリアは後方支援。

 君の光は影に強い。最低限、抑えておけ。」


「わ、私も……戦うんですか……?」


「君の“光核”は、昨日から揺れている。

 制御の訓練にもなるだろう。」


(セリアまで……!?)


 だがセリアは震えながらも頷いた。


「ルイを守れるなら……やる。」


(お前……ほんと強いよ……)



 影が動いた。


 地面を裂くような速度で、三体同時に襲いかかってくる。


「っ、早っ……!」


「ルイ、右!!」


 セリアの声と同時に、ルイの中で“黒”がざわめいた。


 ――来る。


 身体が勝手に動き、第一の影の爪をギリギリで避ける。


(……やっぱり黒は“戦い”に反応する……!

 呼ばれてるみたいに、勝手に身体が動く……!)


 二体目が背後に回り込む。


「後ろ!!」


「分かってる!」


 ルイはくるりと回転し、足を払って影を転ばせる。


 黒い霧が散り、影が煙のように形を崩す。


(大丈夫……まだ“黒”は暴れてない……)



 三体目が一番やばかった。


 霧状ではなく、人型に近い。

 獣の影ではなく、兵士の影のように“意志”がある。


「グルル……ァァッ!!」


 飛びかかる速度が段違い。


「ルイっ!!」


「――っ!」


 黒が跳ねた。


 魂核の奥で、黒い波が“ドクン”と脈動する。


(……来る……!!


 “黒”が出る……!)


 視界が一瞬、陰った。


 影が触れる寸前――


「ルイ!!」


 セリアの叫びと、眩しい光。


 彼女の胸元から“淡金の光”が弾けて、影を吹き飛ばした。


「光核……!」


 ユリウスの声が珍しく驚いていた。


 セリアの身体が小さく震えながら光を放つ。


「ルイに……触らないで……!」


(セリア……!

 これ、完全に覚醒前兆じゃん……!)



 光に焼かれた影は形を保てず、地面に黒い霧を散らしながら消えていく。


 最後の影が消えた瞬間――


 ルイの中の“黒”も、すっと静かになった。


(……助かった……

 危なかった。あれ以上暴れたら、絶対バレてた。)


ユリウスが歩いてくる。


「終わりだ。」


「え、これで……?」


「十分だ。

 黒に飲まれず、光核と連携もできた。

 ――影狩り部隊の基準を満たしている。」


(いや、俺正式に影狩りに入るの!?)


「王都への同行、問題なし。

 だが――」


 ユリウスはルイを真っ直ぐ見つめる。


「君の中の“黒”は、確実に成長している。

 そして“呼んでいる者”も強くなっている。」


(……やっぱりか。)


「王都へ向かえば、もっと大きな影が現れる。」


「……分かってる。」


「いい覚悟だ。

 では――三日後、出発だ。」



 ルイは静かに息を吐いた。


 セリアがそっと寄り添う。


「ルイ……怖い?」


「怖いよ。

 でも、支えてくれるやつが隣にいるから。」


 セリアの頬が赤くなる。


「……うん。」


 その瞬間、ルイの魂核の白がふっと揺れた。


(黒だけじゃない。

 ……白も強くなってる。)


 何かが、確実に動き始めていた。

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