表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第1章:幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/101

第7話:広がる“噂”とセリア家の秘密

 森から魔獣が現れた騒ぎは、その日のうちに村じゅうへ広がった。


「ウルグルが突然倒れたらしいぞ?」

「誰が仕留めたんだ?」

「いや、倒したやつはいないらしい……勝手に崩れたとか」


 井戸端でも道の端でも、皆が不安を抱えた顔で噂している。


(まぁ……赤ん坊の俺が原因だとは誰も思わんよな)


 けれど、あの“影”が俺の魂核の反応だったのは間違いない。

 大きな異変になる前に、どうにか制御を──と思っていたところ。


「ルイ〜! 今日も来たよ!」


 勢いよく扉が開き、セリアが飛び込んでくる。

 その瞬間、家の中の空気が少しだけ明るくなる。


「ほんと仲良しだねぇ、二人は」


 母さんの笑顔。

 セリアが近くに来ると、胸の奥の黒い揺れが不思議と静まる。


(やっぱり……セリアが近くにいると深淵の黒が暴れない)


 昨日の暴走も、彼女に手を握られた瞬間に収まった。


(この子……やっぱりただの幼女じゃない)


 そう感じていた時、玄関から静かな足音が聞こえた。


「セリア、迎えに来たわよ」


 セリアの母だった。

 優しげな雰囲気の女性だが──俺を見る“目”だけが違った。


 一瞬、鋭く俺を見つめる。


「……この子、少し……?」


 その視線は、俺の周りに漂う“魔力の揺らぎ”を確かに捉えていた。

 普通の村人では絶対に気づけない微細な揺れ。


(やっぱ……血筋か。この感知能力)


 すぐにセリア母はいつもの柔らかい顔に戻り、穏やかに微笑んだ。


「ルイ君、また遊んでね。

 セリアも、あまり無茶しないようにね」


「はーい!」


 母娘が帰っていく。

 その背中を見送りながら、胸の奥がぞわりと波打った。


(……今の揺れ。深淵だ)


 気配の残り香のようなものが、ほんの一瞬だけ触れてきた。


『……鍵は動き出す……』


(今の……声? いや──違う)


 耳ではなく、頭の奥の“感覚”へ直接染みこんできた気配。

 言葉というより、意思の断片が触れてきたような。


(完全には消えてなかった。深淵……)


 母さんは何も気づいていない様子で家事を続けている。

 だが夕方になると、村の中央から村長の大声が響いた。


「村人全員に知らせだ!

 近くの森で異常が続いている!

 明日、簡易結界を張る準備をする!」


 村人たちがざわめき始める。


(……簡易結界か)


 魔力を遮断する簡易的な防御壁。

 魔術師が少ないこの村では、本来めったに使わない手段だ。


(影の力……結界に触れたら反応する可能性がある)


 つまり──

 “影=俺の力” が露呈する危険があるということだ。


 不安が胸の奥に浮かんだ、その時。


「ルイ……」


 セリアが再び家の前に現れ、心配そうに俺を見つめていた。

 小さな手が、そっと俺の手に触れる。


「なんかね……村の魔力が、ざわざわしてるの」


(感じてるんだな……セリアも)


 見えてはいない。

 だけど、揺らぎそのものを敏感に察している。


 その瞬間だった。


 胸の奥の魂核が、黒く──静かに脈打った。


(……悪い予感しかしない)


 こうして“村全体を巻き込む小さな異変”が、

 ゆっくりと動き始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ