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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第13話:新たな“同行者”――ノアと向かうラインベルク

 翌朝。


「で、本気で連れていく気か?」


 ギデオンは、馬車の前で腕を組んでいた。


 その隣には、少し大きめの服を着せられたノア。


「だって、この子の“元いた場所”がラインベルクっぽいし」


「放っておいたら、また影に引っ張られるかもしれないしね」


 セリアも当然のように賛成している。


「村に残すって選択肢は?」


「昨日の話、聞いたでしょ。

 あのままここに置いておいたら、また“欠片”が来るかもしれない」


 俺はノアの頭を軽く撫でる。


「だったら、こっちで見張りながら連れてった方がまだ安全です」


「見張りって言い方、やめて?」


 ノアがむくれる。


 完全に普通の子どもの反応だ。



 ラザールは、例によって本を閉じながら言った。


「個人的には、連れていくのに賛成だ。

 “欠片から人へ戻った例”は、研究対象としても貴重だからね」


「先生、言い方」


「冗談だよ。半分は」


「半分は本気なんだ……」



 結局、ギデオンも折れた。


「いいだろう。ただし条件がある」


「条件?」


「一つ。ノアの中の影が再び暴れた場合、

 俺の判断で“処理”すること」


 ノアがびくりと肩を震わせる。


「二つ。ノアを守る責任は、まずルイとセリアが負うこと。

 お前たちが選んだ道だからな」


「……了解」


 覚悟はしていた。


(俺が門の向きを変えた。その結果生まれた“欠片”だ。

 なら、最後まで面倒を見るのが筋ってもんだろ)



 こうして、俺たちの馬車は少しだけ賑やかになった。


「ねぇルイ」


「ん?」


「王都って、どんなところ?」


 ノアが目を輝かせて訊いてくる。


「なんか、いろんな人がいて、いろんな匂いがして――」


「説明が雑」


 セリアが笑う。


「でも合ってるよ。

 王都はね、喧嘩してる人もいっぱいいるけど、

 そのぶん笑ってる人もいっぱいいるの」


「ふーん……」


「ラインベルクも面白いところだぞ」


 ラザールが珍しく会話に入ってきた。


「交易都市だからな。

 いろんな国から人が集まる。

 影門の余波だけじゃなく、世界情勢も見えてくる」


「世界情勢って?」


 ノアの素朴な質問に、ラザールは少しだけ考えてから答える。


「簡単に言えば、“大人たちの面倒くさい事情”だ」


「せんせー、それ絶対授業じゃ言えない説明」


「今は授業じゃないからね」



 道中、俺はずっと胸の奥の感覚に意識を向けていた。


 黒と白。

 ノアと、まだ見ぬ出口。


(……確かに、こっちの方向に“何か”がある)


 薄く、遠くで、深淵が笑っている。


『よく来たな、鍵よ』


(まだ着いてもいないんだけど)


『世界は狭い。

 お前の歩く先は、いずれすべて“ここ”へ繋がる』


(そのフラグ、いつかへし折ってやるからな)


 セリアが隣で小さくくしゃみをした。


「どうした?」


「なんか、嫌な予感がした」


「それは多分正解だと思う」


「え、やだ」


 そんな他愛ない会話を交わしながら――


 俺たちを乗せた馬車は、

 影門の余波が渦巻く街“ラインベルク”へと、確実に近づいていった。

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