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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第50話 学院壊滅寸前――黒い咆哮、光の覚醒

 地面が不規則に震え続けていた。

 影門の主とラザールがぶつかり合う衝撃は、もはや戦いではなく“災害”だった。


 校舎は軋み、結界は悲鳴をあげ、生徒たちは立つことすらままならない。


「くそっ……衝撃が強すぎる……!」


 アレンが剣を杖のように突き立てて踏ん張る。

 その横で、ミリアが青ざめた顔のまま震える声で言った。


「これ……冗談じゃ済まない……本当に……学院が……」


(分かってる。これはただの事件じゃない。学院そのものが……影に沈む)


 ルイの視界も揺れる。

 魂核が暴れすぎて、呼吸が乱れ、胸の奥で白と黒が雷みたいに衝突していた。


(……本当にまずい。このままだと俺……壊れる)


 その瞬間──影門の主が動いた。


 巨体からは想像できない静けさで腕を引き絞り、空気が震えた。


 次の瞬間。


ドォォォォォォォン!!


 影の波動が学院全域に叩きつけられた。


「うわああああっ!!」


「きゃあああ!!」


 影の圧力が地面をえぐり、塔を折り、建物を黒い霧で染めていく。

 防壁に亀裂が走り、結界の光が粉々に砕けた。


「結界が……もたない!!」


「教師陣! 全力で維持しろ!!」


 叫びも命令も、影の奔流に飲み込まれていく。


(まずい……本当に学院が沈む)


 そのなか──セリアが駆け寄ってきた。


「ルイ……!」


 光核が震え、背中の羽の幻影が明滅している。


「ルイ、さっきからずっと……胸、苦しそうで……!」


(見えてたか……)


 ルイの胸では、黒と白が“爆発寸前”みたいに暴れていた。

 視界が波打ち、音が遠のく。


「……っ、あ……」


 膝が崩れる。

 地面に手をついた瞬間、指先から黒い霧が漏れた。


(……嘘だろ……自分で抑えられなく……なってる……)


 影門の主の“眼”が光を灯す。


『……鍵……そのまま……堕ちろ……』


「ルイッ!!」


 セリアが抱きとめたが、彼女の光すら黒の圧に押し返されていた。


「こんなの……止められない……!

 でも……でも、わたし──!」


 セリアがルイの手を強く握った。


 その瞬間。


 まばゆい光が学院中に広がった。


 セリアの背後に、

 再び光翼が広がる。


 今度は幻影じゃない。


 一本一本の羽根が、ひとつの“本物の光”として形を成していた。


 周囲の影の霧を焼き払い、黒の暴走を押し止める。


「ルイ……戻ってきて……

 わたし、ひとりじゃ怖い……!!」


(セリア……)


 その声が、黒に沈む意識を現実に引き戻す。

 白が大きく脈動し、黒を押し返した。


(まだ……闇に落ちたくない……!

 守りたい奴が……ここにいる!!)


 影門の主が低く振動した声を放つ。


『……白の器……邪魔を……』


 巨腕がセリアに向かって振り下ろされる。


「セリア!!」


 だがラザールが割って入った。

 黒い鎧を展開したまま、自分の体を盾にする。


「……ぐっ……!!」


 衝撃でラザールの足場が砕け、地面に巨大なクレーターが生まれた。


(ラザール……お前……本当に何者だよ)


 黒い鎧が軋み、ところどころ剥がれ落ちて血が滲む。

 それでもラザールは倒れなかった。


「……鍵は……渡させん……

 お前たち影にだけは、絶対にな……!!」


 影門の主がラザールを見据える。


『裏切りし者……名を捨て、影を捨て……

 それでも抗うか……』


 ラザールは静かに剣を構えた。


「抗う。

 俺の生は……もう“こっち側”にある」


 ルイの胸で黒と白が完全に暴れ、痛みが意識を削る。


(……ぐっ……!!

 このままだと……俺……)


 影門の主が囁いた。


『堕ちればよい。鍵。

 お前は本来……“深淵側”の器……』


(違う……!)


 その瞬間。


「ルイは……深淵なんかに渡さないッ!!」


 セリアがルイを抱きしめた。

 光翼が大きく広がり、学院全体を照らす。


 その光を浴びた瞬間、黒が一瞬だけ沈黙した。


(……セリア……お前の光……本当に……)


 影門の主が低く唸る。


『光の器……

 お前の存在は……“不自然”……』


 ラザールが薄く笑った。


「不自然だろうな。

 だがその“光”がなければ、ルイは今ここにいない」


 セリアは涙を流しながらルイの頬に手を当てる。


「ルイ……帰ってきて……

 わたし、ずっとそばにいるから……」


 白が爆発するように脈動した。

 黒を押し返し、魂核が大きく鳴る。


(……戻る……!

 俺は……闇に落ちねぇ……!!)


 目を開いた瞬間、

 影門の主の“眼”が大きく揺れた。


『……白に……触れた……!?』


 学院に光が広がる。


 まだ戦いは終わっていない。


 だが──ルイは沈まなかった。


 その光景を見て、

 影門の主は低く呟いた。


『……やはり……“あの男”の系譜……か……』


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