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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第45話:学院総防衛戦――“本門侵入”と揺らぐ二つの核

 旧校舎の深部に開いた“本物の影門”は、もはや裂け目と呼ぶには大きすぎた。

 ギチギチ……ギチッ……と金属がゆがむような音が響き続け、薄闇だった空間が黒い静電気の膜をまとったように震えている。

 その奥には底の見えない暗黒が広がり、まるで巨大な生き物が潜んでいるかのような圧が揺らめいていた。


 学院中へ緊急アラートが轟く。


『全生徒は避難誘導に従え! 教員は第三区画へ!

 影討伐隊は即時、戦闘陣形に移行!』


 校舎全体が震え、結界の紋が連鎖的に光を放つ。


(……本当に開いた……。これが“本門”……!)


 ルイの胸奥で黒い核がぞわりと蠢いた。

 訓練中とは比べ物にならないほどの強烈な“ざわめき”が、脈動として身体中に響いてくる。


 すぐ隣では、セリアが膝をつき胸を押さえていた。

 彼女の身体から零れた白い粒子が、火花のように空気へ散り、爆ぜる寸前の光を帯びている。


(白の核が覚醒に踏み込んでる……!)


「セリア! こっちを見るな! 光を外へ漏らすな!」


 ラザールが鋭い声で制止する。その声色は、いつもの授業のときのそれとはまるで違った。

 低く深く、虚無と灼熱を同時に抱えたような響き。


(ラザール……。今の声……)


 振り返った彼の瞳。その奥で、常人には見えない“深淵の縁”のような色が揺れた。

 まるで別の世界の残光を宿しているように、金色と暗い蒼が微かに交錯している。


(……あんた、やっぱり普通じゃない……?)


 ラザールは視線だけでルイに静かに告げた。


「ルイ。お前は絶対に黒を暴走させるな。

 セリアの白と干渉したら――」


 その言葉が終わる前に、影門が爆ぜた。


 ズドォンッッ!!


 黒い衝撃が廊下ごと薙ぎ払い、天井が軋む。

 影の霧と土煙が身体を抉るように吹き抜ける。


「出るぞ……!」


 影門から“人型”が這い出てきた。


 四足に折れ、逆関節の腕で床を掴みながら進む。

 ぎりぎりと鳴くように身を震わせ、のろりと顔を上げた。


 そこにあったのは、感情の欠片ひとつない“無”の瞳。


「……来たか。〈虚ろ獣ホロウ〉の第一段階だ」


 ラザールの声が低く落ちる。


 同時にルイの魂核が黒と白を同時に発光させた。


(なんで……今……!

 白も黒も震えてる……!?)


 まるで影門の奥から誰かに呼ばれているように、魂が引きずられる感覚が襲う。


「ルイ!!」


 セリアの叫びが飛び、意識がその一瞬で引き戻された。


「だめ……行っちゃ……!

 門と……繋がっちゃ……!」


 セリアの白が暴走寸前の勢いで膨張し、逆にルイの黒は深く沈み、門の闇と呼応していく。


(白が……門に吸われる……! やばい……!)


「二人とも、後ろへ下がれ!」


 ラザールが影を裂くような速度で踏み込み、虚ろ獣を蹴り飛ばす。

 その脚が影を貫く一瞬だけ、深淵色の軌跡が走った。


(……ラザール……

 あれ、俺と同じ側の力じゃないか……?)


 問いを投げる間もなく、影門の奥で二体、三体と新たな人型が立ち上がる。


 ぞ……ぞぞぞ……!


 校舎全体が、底から黒に侵食されていくような重い感覚に包まれる。


(まずい……この圧……押し寄せてくる……!

 学院が……食われる……!)


 その時――

 セリアの身体から白い光柱が天井まで伸び上がった。


「っ……!」


 ルイの黒が反応し、胸が焼けるような熱で満たされる。


(白と黒が……噛み合った……!?)


 魂核が勝手に回転し始め、視界が揺れる。


「ルイ、抑えろ!!」


 ラザールが怒号をぶつけた。


「黒の核を開くな!

 “鍵”が開けば――

 門の主が、お前を見つける!!」


(門の……主……?)


 その言葉が脊髄にまで刺さるほどの恐怖を呼び起こした。


 影門の奥で、巨大な“目”が開いたような圧が響く。


 ぞわっ……


(……っ、今……見られた……!)


 黒が震え、白が悲鳴を上げるように膨らんでいく。


 セリアが泣きながら叫んだ。


「ルイ!! 絶対……絶対に戻ってきて!!

 黒に……行かないで!!」


(当たり前だ……俺は……俺で……!)


 だがその意思が届くより早く、

 影門の奥にいる“巨大な存在”がゆっくりと手を伸ばしてきた。


 学院全体の結界が同時に悲鳴を上げる。


『非常警戒レベル深赤に移行。

 全教員は最終陣へ。

 “鍵の子”の投入を審議開始――』


(俺を……戦力として出すつもりかよ!!)


 視界が黒と白で渦を巻き、胸が焼けるほど熱い。

 魂核が爆ぜるように光をあげる。


 そして――


 影門の奥から、はっきりとした“声”が届いた。


『……見つけたぞ、“鍵”』


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