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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第43話:学院上層部の動揺──“本門”が夜に目を開く

 影門が消えた旧校舎。

 しかし、空気は“消えていない恐怖”で満たされていた。


(……影門が開いたのは、偶然じゃない。

 誰かが、あれを“誘導”してる)


 監察局の隊長は、沈んだ声で言う。


「生徒たちはここから退避させろ。

 本日より旧校舎は完全封鎖だ。」


「お、おい待て。まだ何が起きたのか――」

 アレンが声を上げる。


 だが隊長の視線は、生徒ではなく

“学院の奥”へ向けられていた。


 


◆ ◆ ◆


◆ 学院上層部“評議会室”


 重厚な扉が閉まると同時に、怒号が飛ぶ。


「第二の門だと!? なぜ報告が上がっていなかった!!」


「旧校舎の管理担当はどこだ!?」


「影門の発生は王都教会への即時報告対象だぞ!?」


 学院長代理の老人が机を叩く。


「……答えろ。誰が情報を握り潰した?」


 沈黙。


 視線が数名の教師に向けられる。


 その中で──

 灰色のローブの男だけが、汗一つかかず落ち着いていた。


(……あ、こいつだ。)


 ルイは瞬時に察した。


 そいつの周囲だけ“魔力の流れが不自然に歪んでいる”。

 影の残滓の匂いがする。


「……ふむ、旧校舎の異常は単なる魔力濃度の偏りだと思っていたが?」


 しれっと言う男。


(嘘だろ。あんだけドス黒い影が出てたのに)


 監察局隊長が一歩前に出る。


「その言い訳……雑すぎるな。」


 男の目が細まった。


「ほう、では君は何を知っていると?」


 監察局は即答した。


「──“本門”だろう。」


 室内の空気が凍りつく。


「第二の門が開いた以上……

 本命である“本門”が動き出すのは時間の問題だ。」


「ふ、ふざけるな!

 本門など、ただの伝承に――」


 監察局隊長は淡々と遮った。


「旧校舎の影……

 “人の残滓”を使った操影術……

 あれを隠す理由は一つしかない。」


 男の口元がわずかに吊り上がる。


「言ってみろ。」


「──学院に、影門の黒幕が潜んでいる。」


 全員の心臓が跳ねた。


(やっぱり居るんだな……)


 しかし男は笑ったままだ。


「証拠はあるのか?」


「……第二の門が開いた。それが証拠だ。」


「はっ、そんな曖昧な……」


「──そして。」


 監察局は静かに言う。


「影門は、今夜“本門”を誘導しようとしている。」


(誘導……?)


 男の顔が固まる。

 一瞬だけ、本気で驚いた“素顔”が出た。


(確定だな、お前が黒幕側なの。)


 隊長は続ける。


「本門はまだ場所を確定していない。

 だが深淵の残滓は、学院の……“中心部”を指している。」


「ち、中枢……!?」


「まさか学院の結界核が……?」


「そんな、影門の中心が学院なんて……!」


 


◆ ◆ ◆


◆ その頃──生徒寮


 寮に戻ったルイはベッドに腰掛けていた。


 セリアは涙目でルイの袖を握る。


「ルイ……今日の影……こわかった……

 あれ、人の声だったよ……?」


「……ああ。分かってる。」


 ルイの魂核はまだ微かに黒い波紋を広げている。


(影門の黒……俺の黒……

 あれ、多分……同じ“根”だ)


 セリアが不安げに問いかける。


「ルイ……黒い門って……なに?」


「……まだ言えないけど、

 絶対にお前を巻き込まないようにする。」


 セリアは首を振って言った。


「ルイはわたしが守るの!

 ルイが怖がるほうがイヤ!」


(いや……俺のほうが黒に近いんだけどな……)


 その瞬間だった。


 ゴッ……!!


 学院全体が、低く震えた。


「っ!? 今の……地震?」


(違う……魔力の震動だ)


 魂核が青ざめるほど“反応”していた。


 窓の外。

 学院の中央塔の上空に──


 黒い亀裂が一本、走った。


(……!!)


『……鍵ヨ……』


 意識の奥で声が響く。


『本門ガ……“開ク場所”ヲ決メタ……』


(きた……!)


 空に走る亀裂が、大きく口を開き始めた。


 黒い霧が漏れ、雷光のような線が走る。


「ルイ……これ……なに……?」


 セリアの声が震えている。


(分かってる……これはもう止まらない)


 深淵の声が笑う。


『来イ……鍵ヨ……

 学院ノ中心デ……待ッテイル……』



ついに“本門”が学院上空に姿を現し始めた。

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