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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第30話:学院の“裏訓練場”――ラザールの真意と、“初めての影討伐”

 王立学院の敷地奥深く。

 表の訓練場すら“前座”に過ぎない区域に、教師でさえ数人しか入れない封鎖区画が存在していた。


 その場所を、学院ではひっそりと 裏訓練場ブラックゾーン と呼ぶ。


 ラザールは振り返ることなく歩きながら言った。


「ルイ、ついてきなさい」


 その声は静かだった。叱る気配はない。

 ただ──“確信を掴んだ者の声音”だった。


(……これ、完全に何か気づいてるやつだろ)


 隣を歩くセリアが、不安そうに袖を引く。


「ルイ……怒られちゃうの……?」


「怒られるって感じじゃないな。たぶん……見られるやつだ」


 そう答えながらも、胸の奥では黒核がざわめいた。

 学院は影襲撃を「魔獣の残留反応」として処理したが、ラザールだけは違う。

 本物の“影”だと分かっている者の歩き方だった。


 やがて鉄扉の前に立つ。

 ラザールが鍵をかざすと、低い振動音とともに重い扉が開いた。


 中は岩盤むき出しの広大な闘技場。

 古戦場の記録を再現したような荒々しい地形が広がる。


「……え、ここ。危険なやつじゃない?」


「ここは、ただの訓練場ではない。魔王軍と戦った英雄たちが、“制御不能な魔力や異質者”を鍛えるために使った区画だ」


 ラザールがそう言うと、鉄扉が閉まり、静寂が落ちた。


 ゆっくりとルイのほうへ向き直る。


「まず確認する。……ルイ。お前、本気で魔力を隠しているな?」


「…………やっぱり、分かる人には分かるんですね」


 セリアが慌てて前に出る。


「ラザール先生! あの……ルイは──」


「セリア、下がりなさい」


 彼は淡々と言った。


「この子の魔力は“光”でも“闇”でもない。……いや、両方だな。境界にある“複合核”だ」


(完全に核心まで来てるやん……!)


 ラザールは淡く笑った。


「なぜ私が気づいたか、理由は分かるか?」


「……元から鋭い人、だから?」


「それもある。だが本当の理由は──

 私は《王立監察局・魔力特異班》の元所属者だ」


「えっ……監察局……!?」


「そう。異質者を専門に見てきた。だから、分かる」


(お前、ただの教師じゃなかったのかよ……!)


 そのとき、岩陰から“カサ……カサ……”と音がした。


 黒い影が床を這い、こちらに向かってくる。


「影の残滓……! まだ残っていたか」


 ラザールが剣を抜き、構える。


「ルイ、下がっていろ!」


「いや……来るなら、止めるしかないだろ!」


 影が跳びかかった瞬間、

 ルイの胸の奥で白と黒がぶつかり合い、意図せず“術式”が展開した。


 足元に光の陣が現れる。


「なっ……《対影陣》……!? 何百年も失われた封陣だぞ……!」


「いや! 俺も知らないですって!!」


 影が陣に触れ──


 バチィィィィン!!


 一瞬で蒸発した。


 ラザールは呆然と目を見開く。


「……陣術で……影を単独討伐……? そんな芸当、七大賢者でも容易ではないぞ……」


「ルイ、大丈夫!?」

 駆け寄ってきたセリアが抱きしめる。


「うん……平気。お前がそばにいると、黒も大人しいからな」


 影の残滓が消えたあと、ラザールは深く息を吐いた。


「……ルイ。君は学院……いや王国の均衡を揺るがす存在だ。だが同時に、“世界中の深淵”を引き寄せる危険でもある」


「……そんなの、俺が一番分かってますよ。勝手に反応するし……」


 ラザールは静かに膝をつき、頭を垂れた。


「だからこそ──私は君の盾になる。

 力を隠すなら徹底的に隠せ。表の教員には誰一人として悟らせるな。……私が前面に立ち、全部受け止める」


「……本気で、俺の味方してくれるんですか」


「当然だ。君は“守るべき存在”だ」


 セリアも隣に膝をつき、ルイの手を包み込む。


「ルイはね……わたしが絶対守るの!」


「え、お前まで……」


 それでも胸の奥が温まるのをルイは感じた。


(味方が……初めてできたんだな、俺)


 深淵の黒が微かに黙り込む。


『……盾……監視者……ルイ……守ル……?』


(黙っとけ)


 裏訓練場には静寂だけが残る。


 この影討伐の情報はすぐに

 学院の“裏ルート”を通って王都中枢へ運ばれることになる──

 誰にも知られぬまま、ゆっくりと波紋を広げていった。

ちゃんと読んでもらえてるのだろうか……

頑張って直したりもしつつコツコツ頑張りますね。

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