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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第25話:学院合格者掲示と“最初の敵意”

 学院の魔力量測定器を盛大に吹き飛ばしてから一日後。

 王都は早朝からざわつき、浮き立つ空気に包まれていた。


(まあ……三千人の合格発表日だし、そりゃこうなるよな)


 中央通りは受験生と家族で埋まり、露店には行列。

 兵士の数すらいつもの倍だ。


 学院外壁には巨大な“合格者一覧”が貼り出され、

 泣き声と歓声が絶え間なく交錯していた。


「やった!俺、受かった!」「うそ……落ちた……」

「推薦枠ってズルくね?」「貴族のコネだろ」


(この世界でも受験戦争は変わらんのか……)


 俺とセリアは両親と一緒に人混みを抜けて進む。


 セリア母は手を握ったまま、震えた声で言った。


「セリア……大丈夫よ。あなたなら受かってるわ……」


「う、うん……」


(いやもう……可愛いなぁ)


 そして合格一覧の前まで来た瞬間、母さんが叫んだ。


「セリア! あったわよ!」


【合格者:セリア・ルミナス・レーン】


「本当に……よかった……セリア……!」


 セリア母は泣きながら抱きしめ、

 セリアは俺の胸に顔を埋めてくる。


「ルイ……ありがとう……! 一緒に、がんばろうね……!」


「もちろん。セリアは普通に優秀なんだから心配いらないよ」


 セリアが安心して笑う姿を見て、胸が温かくなる。


 そして俺の番。


「ルイ……番号は……あれ? 無いな……?」


(そりゃそうだ。俺は“特別候補生”扱いで一覧に載らんタイプだからな)


 そこへ学院スタッフがすっと現れた。


「ルイ・グレイフィールド様ですね。こちらが通達書です」


 白い封筒にはこう書かれていた。


【特別候補生:通達】

【入学試験:免除】

【入学手続き:別室案内】


(昨日測定器爆破した俺を、無難に合格処理する気満々で草)


 セリアが胸を撫で下ろした。


「よかった……ルイ、ちゃんと受かってたんだ……!」


「まあ……実質受けてないけど、結果オーライってやつだね」


 そして、その微笑ましい空気を切り裂くような声が背後から飛んできた。


「……ふん。推薦枠は気楽でいいな」


 振り返ると、豪華な刺繍の服に身を包んだ金髪の少年と取り巻き数名。


(出た……テンプレ貴族ムーブ)


「俺はエドワード・クロムウェル。クロムウェル侯爵家の嫡男だ」


(はい、確定で面倒なやつ)


 エドワードは俺を値踏みするように見て、鼻で笑う。


「君が“噂の幼児”か。魔力量ゼロで学院入り? お笑いだな」


(ゼロとは言ってないんだけど……勝手に設定が歩いていくのやめてくれ)


 さらに続ける。


「学院の格が落ちる。弱者を入れるなど……恥だ」


 その言葉に、セリアが一歩前へ。


「ルイは弱くなんかない!知らないくせに勝手なこと言わないで!」


 エドワードの眉がわずかに動く。


「……光核持ちに庇われるとはな。君たち、随分と仲が良いようだ」


 その目には、嫉妬と敵意が同時に光っていた。


(はいはい、分かりやすい敵キャラさん)


 しかしその瞬間、俺の影がピクリと震える。


(……ん?)


 魂核の黒が低く唸った。


『……嫌ナ魔力……混ジッテイル……』


(マジかよ……こいつ)


 確かにエドワードの魔力は“光”の波形をしているのに、

 奥底に人工の“黒い粒”が混じっている。


(呪い系……? 監察官カイが言ってた“異常魔力持ち”って、こいつか?)


 エドワードが胸ぐらを掴もうと手を伸ばした瞬間。


「やめて!」


 セリアの光が弾け、エドワードの手を止めた。


「っ……!」


(セリアの守護、最近バチバチに強くない?)


 舌打ちし、エドワードは去っていった。


 その背中を見つめながら、セリアが呟く。


「ルイ……あの人、怖かったけど……ただ怖いだけじゃない……何か変だった……」


「……気づいてたのか」


 魂核の白が震える。


『……光ガ嫌ッテイル……アノ少年……』


(白が拒絶するなんて、よほどだな……)


 黒も低く呟く。


『……深淵デハナイ……

 ダガ……深淵ノ匂イ……スコシ……』


(人工深淵汚染……魔王軍か、教会の裏か……どっちにしろ碌でもない)


 そう思ったとき。


「やあルイ君。“初めてのライバル”との遭遇はどうだった?」


 監察官カイが人混みの中に立っていた。


「安心していい。あの少年はすでに我々の監視対象だ。

 深淵でも天使でもない。

 だが──君にとっては重要な“鍵”になるだろう」


(また伏線めいた言い方を……)


 カイは薄く笑う。


「学院生活……楽しみにしているよ、“鍵の子”」


 そのまま煙のように姿を消した。


(絶対ただの監察官じゃねぇな……)


 こうして学院入学前からすでに、

 “敵意”と“謎の魔力”がルイの前に立ち塞がり始めていた。

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