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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第2章:学院編前編

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第24話:学院入試――“測定不能”の少年

 王都暴走事件から三日後。

 学院入試の日は、街全体の緊張と共に静かに訪れた。


 宿の外には朝早くから受験生たちが歩き始め、大通りはざわめいている。

 この日を境に人生が変わる者も多いのだろう。


(……とはいえ、俺の場合は“形だけの試験”か。

 でも、油断はできないな)


 魂核の白と黒が同時に、珍しく静かに揺れた。


『……気ヲ付ケロ……今日ノ都市、監視ガ濃イ……』


(知ってる。学院、教会、王家、監察局、深淵対策室……

 全部の目がこっちに向いてる)


 隣でセリアが不安そうに袖を引いた。


「ルイ……今日、ちゃんと受かるよね……?」


「大丈夫。セリアなら絶対受かるよ。間違いなくね」


 そう笑って言うと、セリアも少しだけ安心した顔になった。


 王立魔導学院の巨大な門をくぐると、空気がガラリと変わる。

 高い塔、魔力の水路、張り巡らされた結界。

 そして――


「受験生三千名超え!?」

「今年は推薦枠も異様に多いな」


(まあ、俺とセリア目当てで“権力争い”が激化してるのは分かる)


 遠くで貴族の少年たちが囁き合っていた。


「……あれが噂の“鍵候補”か?」

「ただの田舎の子どもじゃないの?」

「学院が特別扱いする理由があるらしい」


(噂早いんだってば……)


 試験場中央には巨大な水晶装置。

 “魔力量測定器”。


(……これ、絶対壊れるやつだよな)


 そこへ学院推薦官のエリオットがそっと近づき、小声で言った。


「ルイ、測定器の前では……できる限り魔力を抑えてくれ。

 君の魔力、魔道具を壊した前例があるからな」


「分かってるけど……難しいんだよね」


(いや壊れてるのは測定器の方だと思うけど)


 周囲で受験生たちが測定を受けていく。


「魔力値、128。次へ進め」

「魔力波形は安定しているな」


 緊張した空気が続く。


「次、受験番号──ルイ・グレイフィールド」


(よし……行くか)


 セリアが小さく手を振った。


「ルイ、がんばって……! ほんとに壊さないでね?」


「努力はするよ。努力は」


(完全に壊す前提なの笑う)


 水晶の前に立つと、試験官の老人が厳しく言った。


「魔力を流しなさい。“適正値”が測れればよい」


「適正値……出たこと一度もないんだけどな」


 胸の奥が微かに脈動し、白と黒が混ざり合う。


『……抑エロ……ルイ……』


(はいはい、ちょっとだけね)


 ほんの、ほんの“ひとかけら”だけ魔力を表に出した。


 ――瞬間。


バチッ!!!


試験官「なっ……!?!?」


 水晶が青く光り、赤に変色し、


ドゴォォォォォン!!!


「ぎゃあああああ!!」

「爆発した!?」

「魔力暴走反応!? 誰のだ!?」


(やっぱり爆発したァァァァ!!

 しかも本気の“0.1%”なんだけど!?)


 蒼白の試験官が叫ぶ。


「こ、故障だ!! 今年の測定器は老朽化しておってな!!」


(いやいやいや……誰も信じないだろそれ)


「ゼロ魔力なのに壊れるのか!?」

「逆に強すぎるんじゃないのか……?」


 受験生たちがざわつく。


 そこへ“学院推薦官チーム”が笑顔で近づいてくる。


「いや〜驚かせてしまったね。

 ルイ君は“魔力ゼロ扱い”で構わないよ?」


「いやいやいや!!」


 試験官たちは慌てて合わせてくる。


「そ、そうだな! ゼロだ!」

「測定器が壊れたのは偶然だ!うん!」


(雑ゥ!!!)


 しかし“目立たない”という結果だけはクリアした。


「……まあ、目立たないならそれでいいか」


 セリアがクスクス笑う。


「ルイ……今のちょっと面白かった……」


「俺は笑えないよ……いや、少し笑ったけど」


 その頃、少し離れた場所で黒ローブ――監察官カイが静かに呟く。


「……魔力ゼロ? どこがだ。

 あれは完全に“測定不能級”だ。

 学院上層部へ報告する必要があるな」


(うわ……やっぱりバレてる……!)


 こうしてルイの“魔力ゼロ(仮)”設定が確立し、

 学院での壮大な勘違いコメディが静かに幕を開けた。

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