第21話:教会高官の“視線”と、揺らぐ魂核
結界都市の教会施設へ案内される。
白い柱、聖獣の像、純白の床。
空気が重い。
(ここ……空気がピリピリしてる)
魂核の黒が異様に反応している。
『……敵……』
(やっぱりそうだよな……)
◆
奥の会議室には、
数名の教会高官が座っていた。
老齢の司教。
若い女性神官。
鋭い目の魔力解析官。
そして──
一番奥で腕を組む“白銀のローブ”の男。
(あいつ……格が違う)
魂核の黒が濁ったように揺れる。
『……嫌イ……』
(黒がここまで反応するの珍しいな)
◆
「……これが、“複合核”を持つ赤子か」
白銀ローブの男が俺をじっと見た。
「深淵と光……
どちらにも属さぬ危うい存在」
(ご挨拶がひどい)
母さんは強く抱きしめる。
「ルイはそんな存在じゃありません!」
「分かっています。
しかし“力”は常に正義ではない」
(まあそれはそう)
◆
その瞬間──
魂核が激しく脈動した。
(うっ……!)
黒と白が同時に膨れ上がる。
白銀ローブの男の魔力が、
“黒を刺激している”。
『……近寄ルナ……』
(やば……暴走する……!)
白が黒を抑え込もうとするが
抑えきれない。
◆
「下がれ!」
エリオットが叫び、全員が距離を取る。
俺の体が震え始めた。
「ルイ!!」
母さんが抱いたまま泣きそうになる。
◆
その時。
白銀ローブの男が手を振るだけで
空気が凍った。
「──静まれ」
たった一言。
だが、黒が押し返された。
(……え?抑え込んだ……?)
魂核が安定していく。
『…………』
(黒が……黙ってる)
◆
「私は……“光の上位者”だ。
深淵にも多少は干渉できる」
(いやお前絶対ただの神官じゃねぇだろ)
男は静かに続けた。
「この子は、どちらにも偏っていない。
だが、どちらにも“深く繋がる”」
(また物騒な言い方)
男の視線が鋭くなる。
「……君は“鍵”。
世界の行方を左右する存在だ」
(また言われた……)
そしてその男は、
ゆっくりと背を向けた。
「だからこそ──
“王都へ来い”。
覚悟を決めて進むといい」
(覚悟なんてまだ持ってねぇよ)
でも俺は、
確かに世界が動き始めていることを感じていた。




