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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第1章:幼少期編

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第17話:森に潜む“影”深淵偵察の気配

 村を出て半日。

 街道へ向かうため、森の中の小道を歩いていた。


 朝の光は穏やかで、木々は綺麗に揺れている。

 しかし──空気だけは妙に冷たい。


(……嫌な感じがする)


 魂核の奥で、黒がゆっくり揺れていた。


 白も反応している。

 まるで“外敵がいる”と警告しているように。



 先頭を歩くエリオットが足を止めた。


「……誰だ」


 森の奥をじっと見つめる。


 父さんが警戒し、母さんが俺を抱える腕に力を入れる。


「魔獣か?」


「いや……魔力の質が違う」


(そりゃそうだろ。あいつらだよ……)


 深淵側の“偵察魔”。

 魔王軍の情報収集部隊みたいなやつが、

 村の異常に気付いて様子を見に来るのは想定済みだ。


 エリオットは剣に手をかけたまま動かない。


「……気配を隠している。

 だが分かる……

 “こちらを観察している目”だ」


(教会のやつ、感はいいんだよな……性格以外は)



 その瞬間、森の奥の影が――


 “スッ”


 不自然な動きで揺れた。


「っ……!!」


 母さんが思わず俺を抱きしめる。


 エリオットは即座に前へ出た。


「名乗れ。

 応じぬなら、敵と判断する」


 返事はない。


 ただ──静けさだけが深くなる。


(やばい雰囲気になってきたな……)


 魂核がビリビリ震える。


『……鍵……』


(来た……!)



 黒い影が、木の上から“落ちるように”降りてきた。


 人型だが、完全に黒い靄に包まれた存在。

 手足は細長く、目の位置には紫の光。


『……見つけた……鍵……』


 低い声が森に響く。


「深淵系……!?」

 エリオットが剣を構えた。


「な、何だあれは……!」

 父さんが後退る。


「魔獣じゃない……人でもない……」

 母さんの声が震えている。


(偵察魔だろ……くそ、面倒なの来た)



『……鍵……還レ……

 主ノ許ニ……』


(いや帰らねぇよ)


 影の視線が、明確に俺へ向けられる。


 その瞬間、魂核の黒が爆発しそうに揺れた。


(あっぶね……!

 セリアいねぇと黒が制御効かねぇ……!)


 黒が“応答しよう”としている。


 しかし。


 白がふわりと揺れて、黒を包みこんだ。


 静まれ、と。


(助かった……お前ほんと優秀だな白……)



『……抵抗……確認……

 排除シ……奪還スル……』


「来るぞ!!」

 エリオットが叫ぶ。


 影が地面を滑るように迫る。


 異様な速度。


「ルイを守って!!」

 母さんが叫び、父さんが前へ出る。


 しかし影は一瞬で距離を詰め──


「っ……!!」


 エリオットの剣が、影の腕を切り裂いた。


 黒い霧が散る。


『……光ヲ……持ッテイル……?』


「当然だ。

 教会騎士を舐めるなよ」


(いや……お前光属性持ちだったんかい)



 影は再び俺の方へ向かう。


(来るっ……!)


 魂核が反応し、俺の体が反射的に手を伸ばした。


 白と黒が同時に脈動。


 指先から──


 “バチッ”


 白黒の混じった微弱な衝撃が走った。


『……ッ……!?』


 影の脚が揺らぐ。


(え?今……俺……攻撃した?)


 エリオットも父さんも目を見開いた。


「今の……赤ん坊の……?」


「ルイ……!?」


(いや、俺もびっくりしてる)



 影は後退し、

 震えるように体を揺らす。


『……複合核……確認……

 危険……退避……』


 そして霧に溶けるように森の奥へ消えた。


「逃げた……?」

「いや……様子をうかがっているんだ……」

「なんて恐ろしい……」


(マジか……

 また俺、バレたじゃん)


 エリオットが俺を見て、呟いた。


「赤子が……“深淵の霧”を弾いた……

 信じられない……」


(俺も信じてない)



 母さんが泣きそうな声で抱きしめた。


「ルイ……怖かったね……!」


(いや、怖かったのは俺じゃなくて影の方だろ)


 魂核は静まり返っていた。


 遠くで黒が、薄く囁く。


『……来イ……鍵……

 主ハ……待ッテイル……』


(誰が行くかバーカ)


 こうして、旅は最初から波乱の連続となった。

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