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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第1章:幼少期編

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第16話:旅立ちの朝、そして“見送り”

 ――出発の朝。


 まだ陽は昇りきっていないのに、

 村の入口には多くの村人が集まっていた。


 俺を抱く母さんも、

 荷物を担ぐ父さんも、

 どこか決意を固めた顔をしている。


(ついに……村ともお別れか)


 魂核は静かだった。

 だが深く沈んだ黒が、かすかに脈打っている。


 “ここから先の世界は、簡単じゃないぞ”

 と言っているように。



「ルイ!」


 セリアが駆け寄ってきて、俺の服をぎゅっと握る。


「……行っちゃうの?」


(いや、泣くな……やめてくれ……)


 まだ旅に出るだけだ。

 学院に行けばまた会える可能性だって高い。


 だが、幼いセリアにそんな理屈は通じなかった。


「ルイがいないと……

 わたし、また怖くなるよ……」


(お前の白の方が強いんだよ……)


 俺の魂核が白く瞬いた。


 セリアはその光に気づくと、

 涙目のまま微笑んだ。


「……うん。待ってる。

 ずっと、ずっと……待ってるから」


 セリア母が肩を抱き寄せる。


「大丈夫よ。

 いつか必ず、また会えるわ」


(会えるどころか、同じ学院に入る伏線が立ちまくってる)



 その時、背後から声がした。


「準備は整っているか?」


 振り向くと――

 白い外套の青年が立っていた。


(おいおい……教会の“同行者”かよ)


 昨日の調査班とは別の人物らしい。

 しかし胸の紋章は同じ“教会”のもの。


「私はエリオット。

 王都までの護衛兼、監視役を務める」


(監視って言っちゃうタイプね……)


 父さんが苦い顔をする。


「……あまり子どもを疑うような真似は」


「任務です。」


(こいつ、絶対融通きかねぇタイプだ)



 と、その瞬間――

 森の奥で黒い霧が揺れた。


 誰にも見えないほどの微かな波。


 だが、

 俺の魂核はビクリと反応した。


『……行かせはしない……鍵よ……』


(またかよ……)


 黒い霧の気配に、白がふわりと広がる。


 黒を押し返し、沈黙させる。


「ルイ……?」

 セリアが首をかしげる。


(なんでもない。多分“魔王軍の偵察”が近くにいるだけだ)


 そう思った瞬間、

 リオネルが剣の柄に手を置いた。


「……今、何か……感じたか?」


(この人、感覚鋭すぎん?)


 深淵の気配を“薄く”感じ取れるタイプらしい。

 後の伏線にもなる。



 村長が前へ歩み出た。


「ルイ……

 この村は小さく、守れるものも限られている。

 だが王都は違う。

 そこなら……お前を育てることができる」


(育てるとは言ってないが……)


 だが、今は素直に受け入れておく。


 行くしかないのだ。



「ルイ!!」


 セリアが最後に俺を抱き寄せた。


「ぜったい……帰ってきて。

 わたし、ずっと祈ってるから……」


 白い光が、花のように広がる。


 それは俺の魂核に優しく重なり、

 黒い影を完全に鎮めた。


(……ありがとう)



 父さんが歩き出す。


「行くぞ、ルイ」


「王都は遠い。

 だが必ず辿りついてみせる」


 エリオットが先導に立った。


「では、出発します。

 “鍵候補”ルイの護衛任務を、開始する。」


(言い方ァ!!)


 村を出る瞬間、

 セリアが精一杯の声で叫んだ。


「ルイーー!!

 また会おうねええええ!!」


(……うん。またな)


 こうして――

 俺たちの旅は始まった。

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