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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第1章:幼少期編

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第12話:王都からの封書と“黒の呼び声”

 その日の昼過ぎ。

 空気は澄んでいるのに、胸の奥だけがざわつく。


(昨日の黒い痕跡……絶対あれ“魔王軍の端末”だよな)


 魂核の奥で黒が微かにうねる。

 まるで何かを“警戒し、探している”みたいに。


「ルイ、おはよ」

 セリアが笑顔で手を振ってくる。


(お前見ると黒い気配全部消えるのマジで何なんだ)


 本当にセリアは“白の核”を持つ存在なんだと思う。



 村の中央では朝から騒がしい声が上がっていた。


「王都から……手紙だと?」

「こんな村に来るなんて珍しいぞ」


 その中心で、セリア母が王都の紋章入りの封書を持っていた。


「……セリア。あなたに関わる内容よ」


「え……わたしに?」


(来たな……“巫女の血筋”の伏線)


 セリア母は封書をゆっくりと開き、内容を読む。


「王都教会より通知──

 “光属性の素質を持つ者がこの村にいる可能性あり、

 今後正式に調査を行う”……だそうよ」


「し、調査……?」


 セリアが不安そうに俺の手をぎゅっと握った。


(なるほど……もう教会の探知に引っかかったか)


 教会は“光の器”を徹底的に探している。

 天使勢力との繋がりもあるから厄介だ。


 その時、リオネルが横から口を挟んだ。


「珍しいですね……王都が動くなんて。

 ですが確かに、セリアちゃんの魔力反応は──」


「リオネルさん、」


 セリア母の目が鋭くなる。


「言わないでちょうだい。

 娘のこと、軽々しく口にしてほしくないの」


「……失礼」


(こえぇ……この家系、絶対只者じゃない)



 その後、リオネルは俺の方をちらっと見た。

 完全に“意図的に観察してる目”だった。


(やべぇ。完全に怪しんでるじゃん)


「ルイ君……昨日より魔力が安定しているようだね。

 君、本当に……何者なんだろう?」


(赤ん坊だが?)


 だが心臓がドクンと跳ねた瞬間──


 俺の魂核から、白い光がスッ……と滲み出た。


(……あ、出せるようになってきたな白……)


 少しだけ意識して呼吸すると、

 白い光は胸の奥で丸く収束し、黒を押し込む。


(よし……白魔力の制御、安定してきた)


 その瞬間。


「……ッ!?

 今、黒い残留が一瞬消えた……?」


 リオネルが辺りを見渡した。


(ごまかせた……?)


 リオネルの眉が寄る。


「……本当に、この村……何が起きているんだ?」


(俺だよ。たぶん全部俺だよ)



 夜。


 その日は風が不自然に弱く、

 森の方が妙に静かだった。


 その静けさが逆に“何かを隠している”みたいな感じで、

 胸の奥の黒は徐々にざわめき始める。


『……鍵……』


(まただ……昨日より強くなってる……)


 寝ていたはずのセリアが、ふと目を覚ました。


「ルイ……泣いてる?」


(泣いてない。黒が暴れてんだ……)


 魂核の黒い霧がドロッと波打つ。

 昨日より圧が強い。


 息が少し苦しくなるほどだった。


「ルイ……!」


 セリアが俺を抱きしめる。


 瞬間──


 光が走った。


(お、おっ……!?)


 魂核の黒が一気に静まる。

 白が黒を包み、完全に押し返した。


 黒い囁きが、すべて消える。


『…………』


 深淵の声すら沈黙する。


 セリアは震えながら俺を抱いた。


「……ルイ、怖かった……

 胸が、痛くなるくらい……」


(ごめん……お前を巻き込んでるんだよな本当は)


 でもそのおかげで、

 俺は深淵に飲まれずに済んでいる。


 セリアは涙目のまま微笑んだ。


「ルイはね、絶対わたしが守るんだから」


(いや……お前が一番守られてる側だろうがよ)


 けれど今だけは、その言葉を否定できなかった。

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