表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/101

第19話:影の使徒との激突──深核暴走の予兆

 旧礼拝堂の空気は、まるで水のように重かった。


 黒い霧が床から滲み、

 古びたステンドグラスが“黒い涙”を流すように歪む。


『……鍵……』


(こいつ……完全に“俺だけ”狙ってる)


 影の使徒はゆっくりと歩み寄る。

 人型だが、皮膚の代わりに“影”が蠢き、

 顔には表情も口もない。


 ただ一つ――

 胸の奥の“赤黒い核”だけが脈打っていた。


 



「ルイ、下がれ!!」


 ユリウスが叫び、剣を抜く。


 だが影の使徒は、

 ユリウスの動きを“見もしない”。


『……関係ナイ……

 鍵……ダケ……喰ラウ……』


「ッ!!」


 時空が裂け、

 影の手がルイへ一直線に伸びる。


 近い。

 速い。

 さっきのフラグメントより数段上。


(まずい――!)


 ルイは咄嗟に黒核を引き出す。


 深核が脈動し、瞬間的に影を払うように爆ぜる。


「っ……!」


(やべ……これ、制御効いてない……!)


 



 ラザールが影の使徒に切りかかる。


「《影断ち・零》!」


 黒い軌跡が放たれ、

 影の使徒の腕を斬り飛ばす。


 だが――


ズル……ッ


 切り口が黒い液体のように再生する。


 ミネルが顔を歪める。


「再生速度が……早いっ!!」


「普通の影じゃない……!」


(いや、これ……

 影門事件の“奥の影”と同じ匂いがする……!)


 



 影の使徒が再び腕を伸ばす。


 標的は――ルイ、一点。


『……黒……呼ンデイル……』


「……!!」


 深核が脈動した瞬間、

 ルイの視界が一瞬だけ“黒く塗り潰される”。


(っ……!

 来た……暴走の前兆……!)


 頭の奥で、声がする。


『……タリナイ……もっと……出セ……』


(だめだ……これ以上引き出したら……俺じゃなくなる)


 



「ルイ!!」


 ユリウスが割って入ろうとするが――


「あいつ、俺以外を“見てない”!」


 影の使徒がユリウスを無視して、

 縛りつくようにルイへ迫る。


 まるで――

 深核に吸い寄せられているようだ。


 



「仕方ねぇ……!」


 ルイは息を吸い、

 深核を“ほんの一瞬だけ”解放する。


 黒い紋様が腕に浮かび、

 瞳が金色から黒金へ変化する。


(0.1秒だけなら……暴走しない……はず!!)


 黒い力が咆哮した。


「――《影咬きシャドウ・ファング》!!」


 深核由来の上位技。

 本来なら影狩り部隊でも扱える者はほとんどいない。


 黒が獣の牙のように実体化し、

 影の使徒の胸核を噛み砕こうとする。


『……ガ……ァ……』


 一瞬押し込む。

 だが――


『……足リナイ……鍵……ノ……闇……』


(まだ再生する!?)


 影の使徒の全身が“第二段階”のように膨張した。


 ラザールが叫ぶ。


「ルイ!!これ以上深核を使うな!!

 暴走する!!」


「分かってるけど……!!

 止めないと――!!」


 



 その時。


 ルイの胸元で、

 微かな“白”が灯った。


(……え?)


 セリアはいない。

 だが――


 光核が、ルイの暴走を“自動で”抑制している。


『……白……邪魔……』


 影の使徒が初めて“敵意”を露わにした。


(やっぱり……セリアの光だけは、相性が真逆なんだ……)


 



 ルイは深呼吸し、黒と白を同時に引き寄せる。


(大丈夫だ……

 光核がいる限り、黒は暴れない……!)


「いける……!」


 



 影の使徒が吠え、

 深淵の残滓が爆ぜる。


『鍵……喰ラウ……闇ノ……主……望ミ……』


「誰がてめぇなんかに“食われるかよ”!!」


 ルイはデュアルブレードを構え、

 黒と白を同時に通す。


「――《双核斬・断影デュアル・スラッシュ》!!!」


 黒と白の奔流が一閃し、

 影の使徒の胸核を“正確に貫いた”。


 



 影の使徒は、

 苦しげな呻きを漏らし――


『……マ……タ……会ウ……鍵……』


 そのまま霧となって消滅した。


(……はぁ……はぁ……

 やばかった……完全に押されてた……)


 



「ルイ!!」


 ミネルが駆け寄る。


「大丈夫!?

 さっきの、絶対暴走しかけてたでしょ!!」


「……ちょっとな」


 ルイは苦笑しながら胸を押さえる。


(セリア……ありがとう。

 お前の光がなかったら……俺、戻れなかった)


 



 ラザールは影の残滓を確認しながら言った。


「……これはただの使徒じゃない。

 “深淵側の意志”を帯びている。」


「どういうこと……?」


「おそらく……

 深淵は完全に“ルイを鍵として認識した”。」


(……また規模デカい話になってきたな……!!)


 



 ユリウスが険しい顔で告げた。


「ルイ。

 お前はもう“王都の事件”だけじゃ済まない。

 深淵そのものが、お前を見ている。」


(っ……そんな……)


「覚悟しろ。

 次は――もっと重い任務になる。」


 



こうしてアンダーブルグでの初戦闘は幕を閉じた。


だがこの戦いは――

“影の序章”にすぎない。


次に来るのは、

もっと大きな闇。


深淵はルイの名前を、すでに“知ってしまった”。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ