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転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第3章:王都編

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第18話:アンダーブルグ潜入──“影孤児”との遭遇

 アンダーブルグの路地裏は、昼間なのに“夜の匂い”がした。


 薄暗い建物。

 崩れかけた石段。

 排水路に漂う鉄と土のような臭い。


 そのすべてが、ルイの深核を刺激する。


(……影、絶対いる。ここ、やばい場所だ)


 ユリウスとミネルは周囲を警戒しながら歩く。

 ラザールは無言で前を見据えている。


 その表情は、

 学院で見せていた“優しい教師”のものではなく――

 冷静で、どこか“無感情”な狩人の顔だった。


(先生……今は完全に裏の顔だ)


 



 奥へ進むにつれ、

 視線を感じるようになる。


 建物の隙間。

 崩れた屋根の上。

 石壁の陰。


 子どもたちの、細い視線。


(影孤児……ここは本当に“影に食われかけた”子たちの場所なんだ)


 そのうちの一人、

 小さな少女がルイの前にふらりと姿を現した。


 白っぽい髪。

 細い腕。

 虚ろな瞳。


 けれど――ルイを見た瞬間だけ、

 その瞳が反応した。


「……黒……の、ひと……?」


(え……見えてるのか、俺の深核が)


 



 ミネルがすぐに少女の前に出た。


「危ないから下がって! ここは――」


 少女はふらりと首を振るだけで、

 そのままルイの服を掴んだ。


「ちがう……こわく、ない……

 黒……やさしい……」


(は?)


 ルイが驚くより先に、

 少女の肩が“ガクッ”と落ちる。


 その背後――


 影が伸びていた。


『……ケケ……鍵……よこセ……』


「ッ!!」


 ルイは反射で少女を抱き寄せ、跳んだ。


 影の手が地面を抉る。

 石畳が黒く腐食していく。


 ミネルが叫ぶ。


「影だ!! 全員構えて!!」


 



 ユリウスが前に出るが、影が散るように逃げる。


「索敵散開! 影の“芯”を見失うな!」


 だが――ルイだけが、方向を指さした。


「あっち!!」


 深核が震えている。

 まるで“案内”されているように。


 ユリウスが目を見開く。


「ルイ、お前……影を追えるのか!?」


「分かる……黒が教えてくる……!」


(これ、俺……深核の“感応”使えてる?)


 



「任せろ。俺が追う!」


「ルイ、無理に前に出るな!」

 ラザールが声を飛ばす。


 だが影の反応は速い。

 逃せばアンダーブルグ全域に広がる。


「大丈夫! 行ってくる!」


 少女をミネルに渡し、

 ルイは狭い路地を駆ける。


 黒い足跡のような気配だけが道を示してくる。


(絶対……逃がさない!)


 



 影が飛び込んだのは――

 アンダーブルグでも最も危険とされる“旧礼拝堂”。


 崩れた天井。

 割れたステンドグラス。

 空気は冷たく、湿っている。


(ここ……なにかいる)


 深核が震える。


 暗闇の奥から、低い声が響いた。


『……鍵……深淵ノ……器……』


 影の形は“人型”に変わっていた。


(さっきのレイスとは違う……!)


 ラザールの声が後ろから飛ぶ。


「ルイ、油断するな! あれは“影の使徒”だ!!」


「影の……使徒?」


「影門をくぐり、深淵に触れた“元・人間”だ……!」


(元、人間!?)


 



 影の使徒は、

 ゆっくりと人型の腕を広げた。


『……我ラ……深淵ヨリ告グ……

 鍵……返セ……』


 その瞬間、


 礼拝堂が“黒”に染まった。


(うわ、これやばい!!!)


 



「来るぞ!!」


 ルイはデュアルブレードを構え、

 深核と光核を同時に呼び起こす。


 セリアはいない。

 双核同調は使えない。


 それでも――


(やるしかねぇ!!)


 



こうして――

ルイと“影の使徒”との戦闘が始まる。


これはアンダーブルグの闇へ踏み込む

最初の戦いであり、もっと深い闇の序章に過ぎない。

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