表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生したら世界の鍵でした 〜俺と相棒で紡ぐ異世界物語〜  作者: くろうさ
第1章:幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/101

第10話:深まる異変と“夜の囁き”

 その日の夕方、村の空気はやけに重かった。昼間の小魔獣騒ぎから、森の方角はずっと不気味に静まり返っている。静かすぎて、逆に何か潜んでいるような感じがした。


「今夜は子どもを外に出すな。何が起きてもおかしくないぞ」


 村長の呼びかけが家々へ響き、戸口が次々閉ざされていく。


(……やっぱり、俺の影響が強まってる)


 胸の奥の魂核。黒と白が昨日より荒くぶつかり合って、落ち着く気配がなかった。


「ルイ、今日はうちで寝よ?」


 セリアが当然みたいに俺の手を握る。


(お前……本当に毎日一緒だな)


 でもセリアが近くにいるだけで、暴れそうな黒い霧はピタリと止まる。本当に不思議なほど、俺は安定する。


「セリア、今日はやめときなさい」

 セリア母が優しい声で呼び止める。

「夜は危ないわ。それに……」


「……それに?」

 セリアが首をかしげる。


「あなた、最近“感じすぎ”よ。無意識に引き寄せてしまうかもしれない」


(……やっぱり、そういう血筋か)


 セリアの家は光属性の魂核を代々持つ家系。巫女、聖女、神官。そういう才能が自然と生まれる。だからこそ、俺の黒を抑えることができているのだろう。


 そう思った矢先。


(また来た……!)


 深淵の囁きが、魂核に直接触れてくる。声ではない。意味でもない。“存在そのもの”が押し寄せる感覚。


(今日の黒、本当に濃い……やばい)


 セリアが俺の頬を触り、不安げに眉を寄せた。


「ルイ……熱いよ?」


(黒が漏れかけてる……)


 その瞬間、外で木がへし折れるような音が響いた。


「ひっ……!?」「な、何かいるぞ!!」


 あちこちの家で悲鳴が上がる。


「セリア、家の中に入りなさい!」

 母親が急いでセリアを抱き寄せる。


 俺も腕に抱え上げられ、そのまま家へ引き戻された。


 夜。村は完全に封鎖され、男たちが武器を持って見張りに立っていた。外には“何か”がいる。けれど結界のおかげで、中へ入り込めない。


(……外側で黒い気配が揺れてる。これ、俺の深淵とまったく同じ波長だ)


 魂核が外の“何か”と共鳴していた。


(戻らん……来るな……!)


 拒絶の意志をぶつけた瞬間、魂核の白い光がぐっと強く脈打った。


「ルイ……?」


 隣で眠れずに起きていたセリアが、涙目で俺を見る。


「なんかね……胸が苦しいの。ルイが……呼ばれてるみたいで」


(どれだけリンクしてるんだよ、お前は……)


 セリアはそっと俺の手を握る。


 その瞬間、黒が嘘みたいに静まり返った。影のざわつきも、風の逆流も、外の黒気配も、全部、一息で静止する。


 深淵の囁きが止み、外の“何か”の存在感もスッと消え失せる。


(……抑えた、のか……)


 セリアはその安堵のまま、力が抜けたように眠り込んだ。まるで全力で何かを押し返したあとみたいに。


(……セリア……)


 この子がいなければ、俺は今ごろ深淵に引かれていたかもしれない。


 小さく手を握り返すと、セリアの寝息がゆっくり落ち着いていく。


(守らないと……本当に、この子は俺の“光”なんだ)


 その誓いを胸に刻んだ、その時。森の奥で“巨大な何か”がゆっくり動く気配がした。


(……まだ終わってない)


 この夜の違和感は、後に魔王軍・天使勢力・教会──世界を揺るがす大事件の最初の予兆となる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ