【別視点】大王謁見
とあるプレイヤー視点
緑で覆われた獣人の惑星――――――
その王都である《羅煌都》の王宮に、二人のプレイヤーが招かれていた。
可憐な小銃を肩に掛け、城内の壮麗さを興奮気味に目で追う少女。
腰にエナジー・ブレードの柄をぶら下げ、穏やかな微笑を崩さない青年。
歩みは対照的だが、二人の存在が大理石の回廊に小さな波紋を作るように響く。
「なんか、二人でデートしてるみたいだね」
彼女の名はトリガーHappy――――――――【猟友会】のギルドリーダーであり、脅威を狩るハンターでもある。
彼女に撃ち抜かれたプレイヤーは数知れず、逃げ切れたプレイヤーなど片手しか数えられない。
ちなみに、その中に美食家は居る。
「……こんな時に冗談かい? あまり思わせぶりな発言すると、ギルドメンバーに怖い目で見られるから、困るんだけどな……主に女性陣から」
青年は少し照れくさそうに苦笑した。
彼の名はオレンジ――――――【オーロラ団】のリーダーで、宇宙開拓を主軸に急成長するギルドの顔役だ。
指揮の才とカリスマ性で「リーダーの代名詞」と評されることもある。
剣の腕前も一級で、その流れるような剣技は見る者を唸らせるのだ。
そんな彼らが何故この《羅煌都》の王宮に訪れたのか、それはとある人物に招待されたからだ。
「よく来たな、我が盟友達よ」
玉座に悠然と鎮座するその巨躯は、まさに百獣の王のそれだった。
獅子の獣人、ビスタロト大王――――――
豪快で、どこか陽気な気風さえ滲ませる王の笑顔が、広間の空気を和らげる。
「それで、今回はどのような要件かな?」
オレンジが問えば、大王は気兼ねなく答えた。
「うむ、来訪者は堅苦しい形式は好まないと聞く。ならば単刀直入に参ろうか。我直々に【オーロラ団】、そして【猟友会】に依頼を頼みたいのだ」
「依頼ね……どのような依頼かしら?」
トリガーHappyが興味深げに首をかしげると、影から一匹の狐獣人が滑り出た。
白い毛並みが王宮の光を受けて柔らかく輝く。
「詳しい話は私から申し上げます。最近、《羅煌都》近辺に【エクリプスレギオン】という賊集団が出没しています。彼らの討伐を要請したく存じます」
「任せて下さい。その任務、承りました」
その話を聞いたトリガーHappyは即答する。
彼女の眼差しに仕事人の鋭さが一閃しているようだ。
「僕からも誠心誠意協力させて貰うよ」
同じくオレンジは一層真剣な様子で頷く。
それを聞いた大王は満足そうに笑うが、その隣の白い狐の獣人が少し神妙な顔で、とある話を切り出した。
「それと、依頼というよりお願いですが……最近、禁薬の類が市中に流通しているとの事です。その出所を突き止めてくれれば、是非知らせて欲しいと存じます。無論、報酬は惜しみません」
「了解だ。何か分かり次第、すぐに連絡するよ」
王宮の窓の向こう、《ビーステッド》の深い緑が翳り、風が古い旗を揺らす。
依頼と祈願が交差するその場に、三人の運命が静かに軌道を取った。
しかし、彼らはまだ知らない。
これより雷鳴が轟く事を――――――




