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第六十五話:限界突破

Scene.231 世界を駆け巡る凶報


そんな中、ウチらが成し遂げた「偉業」は、ウチらのあずかり知らぬところで、世界中を駆け巡っていた。

一つは魔王軍の完全壊滅。

もう一つは、誰もその存在を知らなかったはずの七つの大罪の内、二柱の連続撃破。


その情報は各国の王侯貴族や諜報機関だけに、極秘の凶報として伝わった。

魔王という分かりやすい「悪」が消え去った安堵。

そして、それすら凌駕する正体不明の災害級の力を持つ存在が現れたことへの恐怖。

世界は一時の平和の裏で、次なる混沌の時代を迎えようとしていた。

そしてその混沌の中心にいるのが、どこの馬の骨とも知れない『黒狐』と『白星』という二人組であるということも。



Scene.232 ウチの疑問


「…莉央様」


いつものようにリラが作り出した『女王の閨房』でくつろいでいたウチに、リラが神妙な顔で報告してきた。


「私たちが二柱の大罪を滅したことで、残りの五柱が我々を明確な“敵”として認識したはずです。…これからは追われる立場になるやもしれません」


「追われる、ね。上等じゃん。こっちから探しに行く手間が省けるし」


ウチはワイングラスを傾けながら答えた。

だけど、ウチの頭の中は、別の疑問でいっぱいだった。


(…あの白ギャル神、『大罪を倒すには、キミの『絶対支配』の力が必要不可欠!』みたいなこと、言ってなかったっけ?)


(…でも、どうよ?強欲も嫉妬も、支配の力なんかなくても倒せたじゃん。特に樹里との最後のケリは、たったレベル1のウチがつけたんだ)


(…やっぱアイツ、何か隠してる?)


ウチは忌々しげに舌打ちした。

アイツの計画通りに事が進んでるってのが、何よりもムカつく。


(そーいや…)


ウチは自分のステータスを開いた。

最後に確認してからずいぶん経つ。


(ウチの、『絶対支配』って、今、どーなってんの?)


ウィンドウをスクロールさせ、例のスキルの欄を確認する。

そしてウチは、そこに表示された文字に目を見開いた。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【スキル】

絶対支配アブソリュート・ドミネーション: 使用不可(女神の定めた『条件』が未達成のため、封印中)

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


(…は?…女神の定めた条件…?)


なんだよそれ。

こんな表記だったかな?

条件っていったい…


そしてウチは自分のステータスの一番上に表示された、信じられない数字に気づいた。



Scene.233 限界突破レベルオーバー


【レベル:101】


「…は?」


思わず声が漏れた。

ウチは自分の目を疑い何度も何度も瞬きをした。

だが数字は変わらない。


101。


「ど、どうしたんですか、お姉ちゃん?」


「レベル…101?なんで?人間の限界は99じゃなかったの!?」


エリナがウチのステータスウィンドウを覗き込み、そしてはっとした顔で息を飲んだ。


「…お姉ちゃん」


エリナは真剣な眼差しでウチを見た。


「99は、確かにこの世界の理の中で生きる定命のモータルの限界レベルです」


「でも、お姉ちゃんは違う」


「お姉ちゃんはこの世界の理の外から来た『転生者』。そして…神殺しにも等しい『大罪殺し(シン・スレイヤー)』の偉業を二度も成し遂げた」


エリナは続ける。


「大罪はこの世界の理そのものを歪める概念存在。それを滅ぼすということは、世界の理を一部書き換えるのと同じこと…。だからお姉ちゃんは限界を超えたんです」


「お姉ちゃんは、もう…」


「ただの人間では、なくなった、ということなのかもしれません…」


ウチは自分の手のひらを見つめた。

ただのギャルだったウチ。ただの復讐者だったウチ。

それが今、人間を超えた何かになり始めてる。


「…マジかよ」


ウチは乾いた笑いを漏らした。

この力は果たして祝福なのか。それとも新たな呪いなのか。

その答えはまだ誰も知らない。



Scene.234 三番目の二つ名


「黒狐に白星、か」


ウチはリラが淹れた高級な茶をすすりながら、そのしょーもない二つ名を口の中で転がした。


「まぁ悪くない響きじゃん?エリナっちは聖女様だし、ピッタリだよね」


「わ、私はお姉ちゃんの『白星』でいられるならそれで十分です…!」


「はい。莉央様はまさに闇夜を駆ける妖艶な黒狐。そしてエリナ様はその闇を照らす希望の白い星。…お二人に相応しいお名前ですわ」


エリナとリラがうっとりとした目でウチを見ている。

…まぁこいつらがそれで気分いいならどうでもいっか。


だけどそうなると一つ疑問が残る。


「じゃあキミはどうなのよ、リラ」


ウチはリラを顎でしゃくった。


「絶賛大活躍中のウチの三番手。キミの二つ名は何になるわけ?…『紅蓮のストーカー』?」


「なっ…!そ、そのような不名誉な…!」


リラが顔を真っ赤にして抗議する。


「私は莉央様の忠実なる『剣』です!ですからその…『紅蓮のクリムゾン・エッジ』、とか…」


「却下。ダサい」


「そ、そんな…!」


ウチはニヤニヤしながらリラをからかって遊ぶ。

エリナがくすくすと笑っている。

平和な時間。

でも、ウチの腹の底では新しい疑問が、マグマのように煮えたぎっていた。



Scene.235 女神ご指名!


ウチはいきなり立ち上がると、リラが作り出した豪華な部屋の壁を思い切り蹴り飛ばした。

ズドンと鈍い音がして壁に蜘蛛の巣のようなヒビが入る。


「お、お姉ちゃん!?」


「莉央様!?」


二人が驚いてウチを見る。

ウチは異空間の外へと飛び出すと、何もない荒野の真ん中で天を仰いだ。

そしてありったけの声で叫んだ。


「ねぇ、ルナ様ー!ちょっと話あるんだけどー!」


「ちょーっと、教えてほしいことあるんだけど、いーい!?」


「出てきてくんないと、マジでキミの世界、壊れちゃうかもよー?」


ウチは天に向かってウインクした。

さあどうする女神様?

ウチはもう怒ってない。ただ純粋な好奇心で、キミをご指名してるだけだよ?

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