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第六十三話:色欲を超えて?

Scene.225 憂さ晴らしの宣戦布告


レジスタンスのリーダーオリオンが、ウチのあまりにも無謀な提案に言葉を失っている。


「ま、待て、無謀だ!奴の巣の中心がどこかも分からんのに!」


「はっ、無謀?上等じゃん!」


ウチは狂犬のように獰猛に笑った。

そして隣に立つエリナとリラに言い放つ。


「こっちはな、憂さ晴らしに来てんだよ!」


「魔王の件でムカムカしてて、ムラムラしてんだ!分かるでしょ!?」


ウチの瞳に宿る狂気と欲望の炎を見てエリナはこくりと頷き、リラは恍惚とした表情を浮かべた。

こいつらも分かってやがる。ウチが今何を求めているのかを。


「蜘蛛ってのは巣を派手に荒らされたら、自分からノコノコ出てくんでしょ?」


「だったらやることは一つ。このクソみたいな人形のドールハウスを片っ端からぶっ壊して、主を引きずり出してやんの!」


ウチは二人に命令する。


「エリナっち!キミは聖なる力で、操られてる哀れな人形たちの糸を切ってあげな!正気に戻してあげて!」


「リラっち!キミはウチと一緒に、派手に花火を打ち上げるよ!街中に張り巡らされた監視用のクソ蜘蛛どもを、残らず炎で焼き払いな!」


「「はいっ!」」


ウチらは酒場の扉を蹴破って、外へと飛び出した。

そして、ローリアの偽りの平和を破壊し尽くす嵐となった。

エリナの聖なる歌声が街中に響き渡り、操られていた人々が次々と正気に戻り、悲鳴を上げ逃げ惑う。

リラの紅蓮の炎が空を舞い、建物の屋根や壁に潜んでいた無数の監視用の魔蜘蛛を焼き尽くしていく。

そしてウチはその混沌の中心で、ただ破壊の限りを尽くした。


やがて。

街の一番高い時計塔のてっぺんに、一つの人影が現れた。

夜空を背に立つ細身の女。

黒いドレスを纏い、その背中からは八本の鋭い蜘蛛の足のような影が伸びている。


『…下等な虫ケラどもが』


脳内に直接響く冷たい声。


『私の完璧な庭で騒ぎ立てるとは。その無礼、死をもって償わせてやろう』


「やっとお出ましだね、蜘蛛女!」


ウチはその美しい姿を見上げて、舌なめずりをした。


「大好物の女同士の殺し合いじゃん。…でも、勘違いしないでよね」


「キミがいくら魔王の幹部様だろうが、七つの大罪『色欲』よりも色欲っぽい、ウチのテクに勝てると思うな!」


ウチはまだ見ぬ『色欲』に対して、微妙なキャラ被り感じることから芽生えた、変なライバル心をぶちまける。こいつにはかんけーないけど。そして地面を蹴り、時計塔のてっぺんにいるウェパルに向かって、弾丸のように跳躍した。

ダメ押しに空中で最後の挑発を叩きつけてやる。


「キミをぐっちゃぐちゃにしてあげる!(性的な意味で)」



Scene.226 色欲よりも色欲なショー


時計塔のてっぺんでウチと蜘蛛女ウェパルがどうなったか。


…まぁ、これも野暮なことは聞かないでほしい。


宣言通り。

ウチの七つの大罪『色欲』よりも色欲っぽいテクニックで。

あのプライドの高そうな蜘蛛女を、文字通りぐっちゃぐちゃのめちゃくちゃにしてやっただけだ。

ヤツは結局一度もまともな反撃もできずに、ウチの腕の中で人生最高の絶頂と共に昇天しやがった。

その魂ごと快楽で焼き尽くされて絶命。

…まあ女に生まれたからには、最高の死に方だったんじゃない?


ウチは後始末を終えると、時計塔のてっぺんからふわりと飛び降りた。

下ではエリナとリラが呆然とした顔でウチを待っていた。


「おら、終わり。片付け完了」


ウチがニッと笑いかけると二人はビクッと肩を揺らした。


「お、お姉ちゃん…」


エリナが若干引いたような目でウチを見ている。


「あ、あのやり方がえげつないというか…。その…なんというか…」


「…莉央様の戦闘術は常に私の想像を遥かに超えております…」


リラも顔を真っ赤にしながらウチから視線を逸らしている。

その時だった。リラの体がいきなり金色の光に包まれた。


「えっ…!?」


「は?なに、レベルアップ?」


ウチがリラのステータスを確認すると確かに【レベル:78 → 79】と表示が変わっていた。


(は?なんで戦ってもないリラがレベルアップ?…ああそっか。こいつ『ウチの剣になる』とか忠誠誓ってたっけ。その契約みたいなもんで、ウチが稼いだ経験値のおこぼれでも貰ってんの?…ウケる。マジで便利なペットじゃん)



Scene.227 解放とご褒美


ウェパルの死と共に、街を覆っていた見えない蜘蛛の巣は完全に消え去った。

操られていた人々は正気に戻り、街は解放された。

数日後。街の新しい代表になったレジスタンスのリーダーオリオンが、ウチらの元へ礼を言いにきた。


「莉央殿…。この御恩は何と返せばいいか…。街の宝物庫のものを何でもお持ちくだされ」


「ウチはいらないよ。憂さ晴らしができたし。…でも」


ウチは隣に立つリラを顎でしゃくった。


「そこのエルフ。こいつの炎の魔法もっと強力にできるような装備なんか無いの?今回ちょっとは役に立ったし。ご褒美」


「は、はい!もちろんです!」


ウチらは元市長の屋敷の地下にあった宝物庫へと案内された。ウェパルが溜め込んでいた世界中のお宝が山のように積まれている。

その中から、ウチはリラに似合いそうな二つのアイテムを選んでやった。


一つは、太陽の光を凝縮して作った魔石『太陽石サンストーンのブローチ』。炎の魔法を数十倍に増幅させる超レアアイテム。


もう一つは、伝説の火トカゲの皮で作られた『サラマンダーの抱擁ローブ』。あらゆる炎を無効化し魔力の回復速度を上げる。


「莉央様…!こ、こんな高価なものを…!」


「いーから着ときなよ。キミはウチの『剣』でしょ?だったら常に最高の切れ味でいなよね」


ウチがそう言うと、リラは感極まったように涙ぐみながらその場に跪いた。


「はいっ…!この命、未来永劫、莉央様に捧げます…!」


…また忠誠心が上がっちゃった。

まぁいっか。

強くて便利な仲間は何人いても困るもんじゃないしね。

さて、四天王もあと二人。

次のサンドバッグはどいつかな?

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