表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/116

第四十四話:本当の敵

Scene.160 砕け散る黄金


ウチの全霊を込めた一撃が、魔人コガの赤熱した鎧の隙間に突き刺さる。


「ギィィィィィィアアアアアアアアアアアッッ!!」


断末魔の絶叫。

ヤツの体から黄金の魔力が光の粒子となって爆散する。

巨体はその場にゆっくりと崩れ落ちた。禍々しい金の鎧はガラスのように砕け散り、元のただの傷だらけの鎧武者の姿へと戻っていく。

勝負は決した。



Scene.161 英雄の慈悲?


アリーナは静まり返っていた。


「殺せ!」


「とどめを刺せ!」


という野蛮な声が観客席から飛んでくる。

ウチは息も絶え絶えに砂の上に横たわるコガの前に立ち、血に濡れた剣を振り上げた。


…だが。


その剣を振り下ろすことはできなかった。

ウチの目に映っていたのは魔人でも敵でもなく、ただ、マモンという絶対的な悪意に利用されただけの、一人の哀れな男の姿だったからだ。


(…いや、待ちなよ)


ウチは剣を下ろした。


(こいつ…別に、何も悪くないじゃん。ただ強くて忠義に厚い武士だっただけ。マモンのクソみたいなショーの一番デカい道具にされただけ)


(ウチがマモンを倒したら…こいつの呪いも解けたりすんのかな?…まぁ、どーでもいいけど。勝手に生き残りなよね)


ウチはもう地面に転がるコガには興味を失っていた。

アリーナ全体がウチのその不可解な行動に戸惑い、静まり返っている。



Scene.162 本当の敵


ウチの氷のように冷たい視線はアリーナのはるか上。

貴賓席で恐怖に顔を引きつらせている、全ての元凶…『強欲』のマモンだけを捉えていた。


(でもね、マモン。キミは別だから)


ウチは聖人君子でも勇者様でもない。

でも、人の命をオモチャにして、弱いヤツからなにもかも奪い尽くす。キミみたいなやり方は、一番ムカつくんだよね。


(だからキミがこの後、どんなに無様に命乞いをしようが関係ない)


(キミがこの街で築き上げてきた全てのモノ。その金も権力も、そしてそのくだらないプライドも。全部ウチが奪ってあげる)


ウチは血に濡れた剣の切っ先を、マモンに突きつけた。


(覚悟しなよね。…ショーの主役はもうウチなんだから)


それはこれから始まる、本当の“決勝戦”の開始ゴングだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ