表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/116

第四十二話:神殺しの一撃

Scene.155 神殺しの一撃


ウチの「ショータイム!」の合図。

それは三つの場所で同時に地獄の火蓋を切るためのゴングだった。


まず観客席。

エリナがローブを脱ぎ捨て、その手に握られた『星屑のプリズム』が神々しい光を放つ。


「聖なる星の御子エリナの名において命じます!理の外より来たれ神罰の槍!『ホーリー・ジャベリン』!」


観客の悲鳴を置き去りにしてアリーナを横断する純白の光の槍。それはこの世界の法則を無視した絶対的な“外部”からの攻撃。貴賓席ロイヤルボックスを覆う半端な魔力障壁など、バターを切り裂く熱いナイフのように貫通していく。


次にオアシスの街中。

東西南北の四方でザハラ率いる『デザート・ドーン』が一斉に行動を開始した。武器庫への襲撃、関所の爆破、富裕層の屋敷への放火。街の衛兵組織は完全にパニックに陥る。


「陽動開始!全員派手に暴れな!王城の兵力を一兵たりとも闘技場に向かわせないよ!」


ザハラの檄が仲間たちの闘志に火をつけた。


そしてアリーナの中心。

ウチはもはやそこにいなかった。

地面を砕けるほど強く蹴り、レベル99の脚力で砲弾のように貴賓席へと跳躍していた。

エリナの光の槍が障壁を砕いたコンマ一秒後。

ウチの二本の剣がマモンのその醜悪な脂肪の塊へと突き刺さった。


「ぐぎゃあああああああっ!」


マモンの口から悲鳴にならない断末魔が迸る。

黄金色をした粘液のようなおぞましい血液が噴き出した。

直撃!やった、大成功じゃん!


ウチはヤツの肉を抉りながら確信する。


(効いてる!マジで効いてるじゃん!この世界のヤツらの攻撃は全部マモンの“所有物”。でも、ウチとエリナは違う!)


ウチらの攻撃はヤツの『所有権』の外側からの一撃。

ウチらの攻撃“しか”ヤツには効かないんだ!


「これで終わりだよ、タマネギ!」


ウチはヤツの首を刎ね飛ばそうと剣を振りかぶった。



Scene.156 最悪の“褒美”


だがマモンはただのデブではなかった。七つの大罪の一人。

深手を負いながらもその瞳は憎悪と狂気の色にギラついていた。


「…き、キサマら…!我が“所有物”でもない虫ケラが…!」


ヤツはウチを睨みつけながら、アリーナで呆然と立ち尽くすもう一人の決勝進出者…『不動』のコガにその太く短い手を向けた。


「褒美をやろう、我が最強の犬よ!」


「我が“富”と“力”、その身に飽くほど注いでやろうではないか!」


貴賓席からおびただしい量の黒ずんだ黄金色の魔力が奔流となってコガの体に降り注ぐ。


「…マモン様…!おやめ、くださ、い…!」


コガの苦悶の声。だが、もう遅い。

彼の体が、ありえない形に膨張し始めた。筋肉は岩のように盛り上がり、漆黒の鎧を突き破って金色の禍々しい装飾が生成されていく。その目は理性の光を失い、ただ純粋な欲望の色に赤黒く染まっていた。

ただの武士じゃない。マモンの力の一部と化した、『強欲の魔人グリード・デーモン』だ。


「は?あの武士野郎、魔人化されたんだけど?」


ウチは貴賓席からアリーナへと飛び降りながら悪態をついた。

マモンは傷を押さえながら強化された魔力障壁の奥へと後退していく。


「…チッ。キミは戦わないわけ?」


ウチの目の前に立ちはだかるのは、もはや、さっきまでの孤高の武士の面影もない、涎を垂らした巨大な金の化け物。


「マジ、めんどいんですけどー」


観客はパニックに陥り我先にと出口へと殺到している。

だがアリーナと観客席を隔てる巨大な鉄格子がガシャンと音を立てて降りてきた。

ここは閉ざされた殺戮の舞台。


ウチは剣を構え直した。


「しょーがないなー。前座の第二ラウンド、始めよっか」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ