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第二十四話:金色の監獄

Scene.99 金色の監獄オアシス


サンドゲイルを降りてウチらはソルダート王国の首都オアシスの正門に立っていた。

…マジ引くレベルで悪趣味。

門は黒曜石を磨き上げた壁に純金でできた巨大なレリーフがはめ込まれてる。描かれてんのは山積みの宝石の上で笑う太った王様。多分この国の建国者か何かだろうけど品性のかけらもない。


「止まりなー。よそ者?」


門番はエルフの衛兵みたいな気品なんてゼロ。全身を金ピカの装飾鎧で固めた見るからに脳筋な傭兵たちだ。ウチらを上から下まで舐め回すように見て値踏みしてくる。


「入市税として一人金貨10枚ね。払えないなら砂漠にバイバーイって感じ?」


「…チッ」


法外な値段。でもここでゴネても時間の無駄だ。ウチは黙って金貨を投げ渡した。傭兵は舌なめずりしながらそれを受け取る。この街じゃ金がないヤツは人間扱いすらされない。そういうルールなんだ。


一歩街の中に足を踏み入れた瞬間、ウチらはその熱気に圧倒された。

すごい。マジですごいわこの街。

メインストリートは真っ白な大理石が敷き詰められてて、道の両脇には見たこともないような商品で溢れた露店が無限に続いてる。色とりどりの絹織物、山と積まれた香辛料、檻に入れられた珍しい魔物、妖しく光る魔法のアイテム…。


「うわ…派手すぎウケる」


「お姉ちゃん…!あの噴水、水じゃなくて葡萄酒が流れてます…!」


エリナが指差す先には広場の中心でワインを噴き上げる巨大な噴水があった。砂漠のど真ん中で水を、それも酒をこんな無駄遣いできる。この街の富がどれだけ異常か一発で理解できた。

行き交う人々もアルベリアとは別人種だ。高価なローブを纏った商人、宝石ジャラジャラの貴族、殺気立った目つきの冒険者、そしてその足元で物乞いをする骨と皮だけになった子供たち。天国と地獄が同じ通りに同居してる。誰も物乞いになんて目もくれない。ここでは富を持つ者が正義で貧乏は罪なんだ。


「へっ。どいつもこいつも欲望にぎらついた良い顔してるじゃん」


まるでウチがいた歌舞伎町の100倍デカくて1000倍タチが悪いバージョンだ。全員が他人を蹴落としてでも上に行こうとしてる。


メインストリートを外れて一本路地裏に入る。

するとさっきまでの煌びやかな光景は一瞬でドス黒い闇に変わった。

そこは奴隷市場だった。

鉄の檻がずらりと並び中には美しいエルフの少女や屈強な獣人の男、そしてまだ幼い人間の子供までが家畜同然に詰め込まれている。値札が付けられ商品として買い手を待っている。


「買わねぇなら失せな、ヒやかしは迷惑だぜ」


奴隷商人が汚い歯を見せて笑う。ウチは何も言わずにそいつの目を睨みつけた。ウチの目の中の凍てつくような殺気に気づいて商人は「ひっ」と短い悲鳴を上げて後ずさった。


「…行くよ、エリナっち」


ウチは歯を食いしばりながらその場を後にした。ムカつく。マジで胸糞悪い。人間を命を金で売り買いする。これ以上に『強欲』を体現した光景はない。


街の中心に近づくにつれて建物はどんどん天に向かって高くなっていく。

そしてその頂点。

街のどこからでも見える一番高い場所にソイツはそびえ立っていた。

白亜の巨大な塔。そのてっぺんには太陽の光を反射して目を焼くほどに輝く黄金の巨大なドームが乗っている。

あれがこの国をこの街を支配する『砂漠の王』…七つの大罪『強欲』のマモンが住む王城。

城っていうかアレはただのクソデカい金庫だ。

下々の民から搾り取った富を独り占めにするための醜悪な欲望の塊。


ウチは黄金のドームを睨みつけた。


「…見つけたよ、マモン」


「アンタがそのタマネギ頭ん中に貯め込んでるお宝、根こそぎいただいてあげる」


ウチの口元に獰猛な笑みが浮かんだ。

さあ第二ラウンドの始まりだ。この腐った金の街で派手に暴れてやろうじゃん。

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