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第十五話:カンスト御礼!

Scene.65 英雄への祝宴


シルヴァンでの激闘から数日。

街はすっかり落ち着きを取り戻し、その夜はウチらを英雄として称える盛大な祝宴が開かれていた。

ウチはエルフの偉いさんたちと同じテーブルで美味い酒を飲んでいた。


「…莉央殿」


あの石頭だった衛兵隊長が神妙な顔でウチに話しかけてきた。


「我々があの魔物の残骸を調査した結果、とんでもないことが分かった」


「あん?」


「あの『深淵の指揮者』はただの魔族の幹部などではなかった。古の文献によれば、あれは魔王に匹敵する力を持つと恐れられた太古の精神捕食者…『魂を喰らうソウル・イーター』の一種。…我々の総力をもってしても、本来なら決して勝てる相手ではなかったのだ」


…マジかよ。

ウチらそんなヤバいヤツと戦ってたのか。

どうりで手も足も出なかったワケだ。



Scene.66 呪いの臨界点


祝宴の後。宿の部屋でウチは体の異変に気づいていた。

なんだか内側から力が溢れてきて、体がピリピリする。


「お姉ちゃん…。魔王様の呪いですが…」


エリナが心配そうにウチの魂のオーラを見つめている。


「ずっとお姉ちゃんの魂の成長を抑えつけてきました。でも、お姉ちゃんは人一倍、いえ何十倍も努力して、戦って、無理やりレベルを上げてきた…。その膨大な経験と力が行き場をなくしてお姉ちゃんの魂の中でダムの水のように溜まっていたんです」


「…」


「そしてあの強大すぎる敵を倒した衝撃…。それがダムを壊す最後の一撃になったんだと思います…!もう呪いが耐えきれなくなって…!」



Scene.67 カンスト御礼!


エリナの言葉と同時だった。

ウチの体から金色の光が爆発するように溢れ出した!

ダムが決壊したんだ。

今まで魔王の呪いに抑えつけられていたウチの半年分の泥臭い努力の全てが奔流となって、ウチの魂を駆け巡る!


「きゃあああああっ!」


熱い!力が、熱い!

ウチの目の前にステータスウィンドウが勝手に開く。

レベルの数字が凄まじい勢いで回転していく。


38…50…70…90…!


【レベル:99 (MAX)】


「レベル99…!? カンストしてんじゃん! マジかよ…!」


HPもMPも意味不明な数字になってるし、スキルもなんか進化してる!

【絶対支配】の呪いの文字は砕け散っていた。…まぁ、代わりに女神の封印がかかってるけど!

ウチは興奮してエリナに叫んだ。


「ねぇ、エリナっち! 99って人間の限界なんじゃないの!?」


「は、はい…!古の伝承では、人の器が到達できる極致だと…!」


「じゃあウチはもう、人間最強ってことでOK?」


「そ、そうなります…! 私も…レベルが、一気に…!」


エリナのレベルもウチの余波を受けて大幅に上がっていた。


(あのタコ野郎、よっぽどヤバい存在だったんだな。あんなのを倒したんだ。これくらいのレベルアップ当然っちゃ当然か)


ウチは自分の拳をぎゅっと握りしめた。

力が漲ってる。

これなら。


これならあのクソ魔王にだって、届く。

いや、超えられる!



Scene.68 新たなる誓い


「…ふっ」


思わず笑いが込み上げてきた。最高だ。マジで最高に気分がいい。


「エリナ」


「はい、お姉ちゃん」


「準備運動はもう終わりだ」


ウチはバルコニーに出ると遥か遠く。

魔王がいるであろう闇の大地を睨みつけた。


「見てろよ、クソ魔王」


挿絵(By みてみん)

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